一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今日(日付変わってるから厳密には昨日)は、塾で有機化合物プリント作ったりしていました。
我ながらなかなかの出来。
化合物名が書いたマス目がたくさんあって、そのマス目に自分で構造式を書き込めるプリントです。
しかも縦に炭素数、横に「アルカン」「アルコール」「アルデヒド/ケトン」「カルボン酸」等が書いてあって、 その炭素数のアルカンに対応する化合物を並べてある。
こうすれば「エタン、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸」というように変化がわかりやすい。
まとめプリントにもテストプリントにもなって便利。
しかしいくらか問題が生じた。
例えば化合物名。
高校化学では化合物名がわからなくても系統的に構造が書ける必要が出てくる。
例えば1-ペンタノールCH3CH2CH2CH2CH2OHを酸化したら、
炭素数5のアルデヒド CH3CH2CH2CH2CHOを経由して
炭素数5のカルボン酸 CH3CH2CH2CH2COOH
になると理解しておく必要がある。
このアルデヒドとカルボン酸の名前を知っているだろうか。
「CH3CH2CH2CH2CHO」は「バレルアルデヒド」
「CH3CH2CH2CH2COOH」は「吉草酸」
参考書には載ってたりするが、まず名前は問われないから覚えている必要はない。
「バレルアルデヒド」等の余計ややこしくなりそうな名前をプリントに入れるべきだろうか?
やはりややこしいと思い、入れないことに。
しかしそうすると化合物名のところにどう記入すべきか・・・・
っと悩んでいました。
しかしもし高校でもうちょっと命名法を習ったら全てが解決することなのだ。
上のアルデヒドやカルボン酸の例のように、名前がわからなくても系統的に構造は理解できる。
逆に、系統的に名前を付けることが出来れば構造を見たら炭素数に対応して名前が付けられるはずだ。
例えば炭素数2のアルコールは、エタンの語尾「ン」が「ノール」に変わって「エタノール」という名前になるのはご存知の通り。
同じように炭素数1のアルコールもメタンの語尾を変えてメタノールになる。
アルコールの系統的な名づけ方は高校で習うわけなのだ。
しかしアルデヒドやケトン、カルボン酸は習わないという不思議。
実はアルデヒドならアルカンの語尾「ン」を「ナール」に、ケトンなら「ノン」に変え、カルボン酸なら「(アルカン)酸」というような名づけ方をする。
この名づけ方で言うと、エタンに対応するアセトアルデヒドは「エタナール」、酢酸は「エタン酸」となる。
同じように、上のマニアックな炭素数5のアルデヒドとカルボン酸は「ペンタナール」、「ペンタン酸」と簡単かつわかりやすくに名づけることが出来る。
何も難しくない。
これを習ったら名前で悩むことはないし、まとめプリントを作るのも簡単なのに・・・
練習問題:
・ CH3CH2CHO (プロピオンアルデヒド)
・ CH3COCH3 (アセトン)
・ CH3CH2COOH (プロピオン酸)
を命名せよ。 → 答え
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アクセス解析でこのサイトの検索ワードを見ていると、二週間に一回くらい「高校化学 ウソ」というワードで調べてくる人がいます。
思いっきり「ウソ」は書いていないでしょうが、難易度の問題上ややこしい話は避けるので、そういう意味では化学的に微妙なところもあります。
そこまで言ってしまうと、「化学平衡の式はあんまり成り立たない(場合が多い)」や「理想気体の状態方程式やファントホッフの式で計算してもずれが大きい(場合が多い)」等など、いくらでも言えてしまう。
しかし中には本当に「いや、そうでもないぜぇ~?」って言うのもある。
例えば筆者が高校のとき使っていた教科書にはこう書いてある。
「炭酸H2CO3は単独では存在せず、水溶液中においてもほとんど存在しない。」
確かに普通炭酸そのものはお目にかかれないし、水溶液中でほとんど存在していないため、「H2CO3」と記する化学反応式を書くのはあまり賢明ではない。
多くの「化学のできる人」は炭酸H2CO3の形では存在しないと思っているような気がします。
しかし最近、どうにも炭酸H2CO3は、それ単独では非常に安定な化合物であることがわかってきたらしい。
・・・と筆者の大学の教科書には書いてある。
高校の教科書の敗北。
しかし出版年を見ると、どうにもその教科書が発行された時期はまだ炭酸の安定性が知られていなかったようです。
このような自然科学の分野では、ちょっと研究が進んだだけで今までの考え方がひっくり返ったりすので注意が必要です。
勉強のために本を買うときも、できるだけ新しいものを買いましょう。
ちなみに、炭酸がH2CO3の形で普通存在しないのには、或る致命的な問題があるからです。
H2CO3は水を触媒として容易に分解する性質があるようです。
しかも炭酸が分解してできるのは二酸化炭素と水。
どんどん分解していく。
純粋な炭酸を作ろうとすると、水が少しでも入っているとアウトということである。
しかし炭酸を作るためには水が必要・・・・純粋な炭酸を作るのはかなり難しそうです。
◎ 参考
- 『ボルハルト・ショアー現代有機化学〈下〉』, K.Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore著, 野依良治監訳, 化学同人; 第4版 (2004/06)
今日(日付変わってるから厳密には昨日)は市役所に行ったり献血に行ったりバイトに行ったり忙しい一日であった。
ちなみに献血に行くと自分の健康状態がわかります。
献血前の検査で血液状態や、血圧や脈拍もお医者さんに測られます。
筆者の血圧は非常に良いらしい。
上下ちょうどいい具合で、それに毎回安定しているらしい。
一人ひとりカルテがあるので、累積したデータとともに医師が問診してくれる。
普通若者はあまり血圧測ったりしないので良い機会である。
(特に健康なときにデータを取るのはめったにない。)
他人のために献血しているわけだが、自分の健康管理にも立つ。
「情けは人のためならず」ってやつですね。
さて、昨日(正確には一昨日)はグリセリンの話でしたが、その日もうひとつ面白い話がありました。
就職のために塾のバイトを辞められる方がお菓子の詰め合わせを置いて言ってくれたのですが、 その中に奇妙な味のものがありました。
ある講師さんが「なんかケミカルな味がする。」と。
他の講師さんも食べてみて「ケミカルですな。」と。
で、筆者も食べてみてよ、と。
筆者が食べると
「なんの化学物質?」
と無茶な質問をしてきました。
しかし筆者はそれを口に含んだ瞬間、なんの物質かわかってしまったのです。
筆者「ベンズアルデヒドや!!」
周りの講師もびっくり。
すぐに「それは何に使われる物質?」と聞いてきました。
筆者「杏仁豆腐の風味の原因。」
講師たち「あぁ~~!!」
それが杏仁豆腐の味(というかベンズアルデヒドの匂い)だとすぐにわかりました。
杏仁豆腐って不思議な味がしますよね。
確かにケミカルな味です。
ベンズアルデヒドC6H5CHOは2010/11/2の「今日の分子No.24」で紹介しました。
非常に杏仁豆腐の不思議な匂いのする液体です。
化学物質の匂いや味がわかる能力があれば宴会芸程度には役立つ・・・かも。
ちなみにその日はこれとグリセリンの味以外にも、「このクッキーの毒々しい青は何の物質?」という質問もされました。
(ちなみに箱の表示を見ると「青色1号」という物質でした。)
なんだろう。
筆者は歩く化学便覧だとでも思われているのだろうか。
そう思われているのならむしろ光栄であるが、しかし既に変人扱いである(笑)
一昨日バイト先の塾で他の講師さんに
「グリセリンって甘い?」
と唐突に聞かれた。
「はい。甘いです。」
と答えると
「あ~だからあのティッシュ甘いのかな。」
と返されました。
ということで、今日はグリセリンの話で。
今日の分子 No.47 グリセリン CH2(OH)CH(OH)CH2OH
Jmolで描画
別名グリセロール。
CAS正式名称:1,2,3-プロパントリオール。
IUPAC正式名称:プロパン-1,2,3-トリオール。
炭素数が3で、それぞれの炭素にヒドロキシ基(-OH)が付いた三価のアルコール。
親水性のヒドロキシ基がたくさん付いているため、非常に水に溶けやすい粘っこい液体である。
炭素数3の糖が還元された形の糖アルコールであり、非常に甘い。
(糖アルコールには例えばキシリトール等がある。語尾がアルコールの「オール」である。)
「グリセリン」という名前は「甘い」というギリシャ語から来ているらしい。
いわゆる油脂(例えばオリーブオイル)というものは、このグリセリン1分子と3分子の高級脂肪酸のエステルである。
このようなグリセリンエステルをトリグリセリドという。
(2010/10/5の「今日の分子No.12」参照)
グリセリンは通常食べる物に入っている油脂が、消化液で分解されたときに生じる。
そのためグリセリンは日常でたくさん摂取しているものであり、無害。
非常に水に溶けやすく、吸湿性・保湿性があり、さらに人畜無害な物質であるため化粧品の保湿成分等に用いられる。
例えば最近人気な、湿り気のあるティッシュ。
(ウェットティッシュではない。)
花粉症等で鼻をかみまくっても鼻がガピガピにならないという、ちょっと高級なティッシュである。
数日前、塾のティッシュの箱の裏を見ると「保湿成分グリセリン配合」と書いてあった。
先輩講師さんはこのティッシュを舐めてしまったところ、非常に甘かったらしい。
そして筆者に上のように問うてきたのだった。
(ちなみに筆者も舐めてみたが、味も食感も綿飴みたいな感じでした。)
他に利尿剤や浣腸など、医療分野でも活躍している物質である。
一方で純粋なグリセリンは引火性のある危険物である。
消防法では第4類危険物第3石油類に指定されている。
また、ニトログリセリンの原料としても重要。
ニトログリセリンは、グリセリン1分子と3分子の硝酸から生成する無機酸エステルである。
(2010/10/3の「今日の分子No.10」参照)
◎ 参考
- 『パソコンで見る動く分子辞典』本間善夫, 川端潤著, 講談社(2007)
熱化学方程式の解法のページできました!!
この解法を習得できればヘスの法則の計算スピードは倍増するはず。
だって超機械的に問題解けるからね。
汎用性のある機械的な解法というのは便利なもの。
しかし筆者はこの解法が予備校の授業等で聞いたことがない。
絶対オススメなのに・・・
熱化学方程式中の化学式は物質を表してはいない。
その物質が持つエネルギーを表している。
このことがわかっていない人があまりにも多い。
だから熱化学方程式がエネルギー保存の式であることがわからない。
ヘスの法則が熱力学第一法則(エネルギー保存則)の化学反応版であるということがわからない。
この解法さえ理解できれば熱化学方程式の持つ意味がかなりわかると思います。
しかも計算速度も速くなるので、絶対オススメなんですがね。
なぜか全くこの解法が世に出ていない!
まあ熱化学方程式が得意な人も、1回読んでみれば理解が深まると思います。
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