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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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2013年、明けましておめでとうございます!

さてさて、今年は巳年

蛇と言えば、やはりベンゼンですよね!!




ベンゼンC6H6という物質を発見したのはファラデーですが、いわゆる亀甲構造を考案したのはケクレという化学者です。

彼は夢の中でが自分の尾を咥えてグルグル回っているのを見て、ベンゼンの環状構造を思いついたと言います。

この蛇の逸話は、本当は彼のユーモアで後付けされたという説もありますが、どちらにせよなかなか面白い話です。

・・・ということで今年はベンゼン年です。


今年もよろしくお願い致します。

新年のご挨拶まで。

Chemis.



ちなみに、高校の教科書にも載っているケクレは、フルネームが

「フリードリヒ・アウグスト・ケクレ・フォン・シュトラードニッツ」

というドイツ人化学者です。
(実は以前にも紹介しているのですが。)

他にも、炭素の原子価が4であることを発見したり、二重結合の概念を作ったり、彼の功績はすごい。

リービッヒ(冷却管)の弟子で、ウィリアムソン(エーテル合成法)の友達。

デュマ(分子量測定法)の元に留学しに行ったり、ブンゼン(バーナー)の部下になったり。

弟子にバイヤー(フェノールフタレイン)がいる。

なかなか世界が狭くて面白い。
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球棒式の分子構造模型ってありますよね。


ドデカヘドランC20H20の球棒式分子構造模型。2012/2/11筆者撮影


こういう分子模型を作っていると、

ボンドが折れて、折れた破片がブロック(原子)の穴に詰まってしまった!

ってことありませんか?

分子模型をよく作る人なら、たぶんよくあることだと思います。

ボンド(原子と原子を結ぶプラスチック製の棒)は折れやすく、無理な構造の分子を作ろうとしたり、ブロックからボンドを抜こうとしたりするときによく折れてしまいます。

※ ボンドはポリアセタール樹脂製で普通のプラスチックと比べて柔軟で結合のひずみ(曲がり)もよく表現でき、正直かなり曲がってすごいと思うのですが、それでも折れるときは折れてしまうのです。


数日前もやってしまいました・・・・

ベンゼンの1つのC=CがC≡Cに変わったベンザインC6H4という分子の分子模型を作ろうとしたのです。


ベンザインの分子構造模型・・・のできそこない。2012/2/11筆者撮影


もう明らかに無理な構造をしています。
(実際のベンザインも無理な構造をしていて、たった0.00000002秒で壊れてしまいます。)

上の写真でも既にボンドが折れ曲がっていますが、この後パキッと折れてブロックに詰まってしまいました・・・

折れて詰まってしまうと、ブロックのその穴は使えなくなってしまいます。

すなわち、それだけでそのブロックは死んでしまうわけです。

※ ブロックは、炭素原子(4穴)で10個580円、金属原子(20穴)で10個3000円、高いのです!!(値段は丸善HPより)

以前から解決法もしくは修復法はないものかと思っていたのですが、アイデアは突然降って湧いてくるもの、修復法を思いつき成功しました!


折角の大発明、普通に解説しても面白くないので「深夜にやってるテレビショッピング風」でお送りいたします。


「ああ、もう最悪!」

「やあジェニーどうしたんだい?」

「ポール!聞いて!私の分子模型のボンドがポキっと折れて詰まっちゃったの!」

「ああ、それは残念。でも僕に任せて!」


ボンドの破片が穴に詰まったブロック(炭素原子)たち。2012/2/12筆者撮影


「ポール、それは何?」

「これは僕が電子工作のためにコーナンで買ったドリルさ!」

「そんなものでどうするつもり?まさか穴を開けるなんて言わないでしょうね?」

「Hahaha!まあ見ていておくれよ!」


筆者の電子工作用ドリル(コーナンで購入)とブロック。2012/2/12筆者撮影


「まずはこうやって、詰まった所を一番細いドリルで掘り進むのさ!」

「ポール、でもそれじゃ穴の大きさが合わないわ。」

「ここからが本番さ。ある程度掘るとドリルが詰まったボンドに噛み込む、そして引っこ抜くと!!」


ドリルを噛ませて引っ張ると破片が抜ける! 2012/2/12筆者撮影


・・・っということで、折れたボンドを抜くことができるのです!

実は元々は「くそう!もうドリルで穴開けてやれ!」という暴挙に出て、一番細い刃でまず小さな穴を開けてそれをちょうどいい大きさまで広げる・・・というつもりだったのですが、刃を変えるために抜こうとしたとき都合良く破片も抜けたという成り行きだったのです。


これで折れてブロックが使えなくなる心配をせず、心おきなく分子模型が作れますね!

ぜひお試しあれ!


>> bunsikun様への拍手レス


◎ おまけ;筆者が使ってる分子構造模型



の2つ。(この記事書いてる現在。)

この2つがあれば有機も無機も大体イケます。


テストやプレゼンがあって今週は全然更新できていませんでした。

大丈夫です、なんとかまだ筆者は生きています。



ところで、一昨日久し振りにウェブフォームに投稿が。

なんでも、『ヨードホルム反応の仕組み 』の記事を見てくださり、気に入ってもらえたようです。

以前Twitterで感想をくれた方もそうでしたが、この記事なかなか人気です(笑)

このサイトのアクセス解析を見ても、検索ワードはほぼ毎日「ヨードホルム反応」がダントツの一位。

世の中にはそんなにヨードホルム反応の需要があるのだろうか・・・

世の中の人たちがこんなにヨードホルム反応を"ググる"という事実はちょっと驚きではあるが、しかし確かにヨードホルム反応のメカニズムを詳細に記しているwebサイトは少ない。

特に、素反応に全てバラしてひとつずつ解説しているサイトはココ以外に今のところ見たことがない。

筆者のこの記事で化学の知的探究心を満たし、化学教育に少しでも貢献できたということであれば光栄である。


あと今回の投稿では、その感想に加え銀鏡反応の質問もありました。
(質問・回答;「Q11」

上のリンクの回答を読んでいただければわかりますが、実は銀鏡反応の詳細なメカニズムは未解明です。(たぶん)

だから教科書やネットを探しまくっても「答え」は見つけられません、誰も知らないから。

一般に、固相が関係する化学反応のメカニズム解明は難しいとされる。

分子一個一個の反応だけでは不十分で、固体として析出するためにたくさんの周りの物質となんらかの相互作用をしなければいけないからだ。

例えば電気分解の電極表面上での反応の解析も困難である。


しかし研究結果を自由に書ける論文になら、不完全ではあれど妥当っぽい記述が見つかります。

昨日大学で論文を探してみると、下のような反応が提案されていることがわかりました。




銀鏡反応でアルデヒドが酸化される機構。文献[1]を一部改変


青巻き矢印は電子1つが奪われる一電子移動反応(酸化反応)ですが、この部分が未解明なようです。


銀鏡反応の面白いところは容器の内壁に銀が析出して銀鏡が成形されることである。

と言うことは、容器の壁の表面で反応が起こっているのではないかと予想されます。

実は化学反応において「壁」(相と相の境)とは重要なファクターになっています。

壁の表面で起こる反応を専門的には「wall reaction」(壁面反応)といいます。

銀鏡反応では次の図のように、試験管の内壁(ガラス;Si-OH, Si-O-)と銀(I)錯体が相互作用し、そこに水和アルデヒドが電子を渡しに来るのではないかと考えてみたりしました。




銀鏡反応の「wall reaction」?


「わからないこと」を考えるのは楽しいです。

自由に考えることができるから。


◎ 参考

[1]. Hisao Kurotani, What is the work of ammonia in the silver mirror reaction?, 化学教育 18(3), 223-225, 1970-07-20, 日本化学会



3週間程前から地道に作っていた電源装置が完成しました!!

電子工作は楽しい。



筆者手製の電源装置:豆電球に送電


・出力;DC 0.1V~30V

・入力;家庭用コンセント(商用AC100V, 50~60Hz)

コンデンサやトランス、三端子レギュレータ、ダイオード等などを買ってきてハンダ付け。

実際は外箱の作成に主に大部分の時間を取られていましたが。

最初はプラスチックのスケルトンを予定していたのですが、強度の関係で試行錯誤の末アルミ製に変更。

アルミはプラスチックや木より穴あけに技術(主に工具)が必要ですが、粘り気が強くて多少乱暴にドリルかけても割れないのでむしろ楽だったかも。

結局なかなかの見栄えの物ができたから満足です。

少なくとも中学校の理科の実験で電源装置を使った記憶がある大部分の人は、これが電源装置だとわかるでしょう。


以下謎の写真集。



正面


電流計、電圧計、出力端子(赤;+、黒:-)、出力ボリューム(可変抵抗)、スイッチ(トグル)、パイロットランプ(アンバー色LED)、ヒューズが取りつけられています。



背面


家庭用コンセントにつなぐためのプラグが伸びています。



底面


ゴム製の足が付いています。

ねじ止めがたくさんあるのは中の基盤やトランスを留めるため。



内部


このアルミ箱は側面と上面の三面がガバっと取れる構造になっています。

真ん中のどでかいのがトランス(変圧器;二つのコイルが向い合せになったもの)です。

100Vを変圧するとなるとかなり結構大きなトランスが必要になってきます。

右上にあるのが三端子レギュレータ(整流素子の1つ)ですが、整流時の余分な電気エネルギーをジュール熱として放出するのでヒートシンク(放熱板)を装備する必要があります。

あんまり見えないけど左上がコンセントにつながる線ですが、引っ張った時に抜けないようにPET製のベルトで抜け止めしています。
(そのさらに左にある黒いのはコンデンサ。)

左にあるのがメインの基板。

全体的にリード線がスパゲッティ状態で雑、ハンダ付けも下手になってしまったのを反省。
(今まで片ラグ板(地面と垂直に立てる基板)を使ったことがなかったから要領がね・・・)

しかし箱を閉じれば綺麗に見える!!(←こういう考え方は良くない。)


さて、なぜ電源装置を作ったかと言うと、

(1) 分子模型用の発泡スチロール球を切るための電熱線カッターの電源にする。

(2) 電気分解して楽しむ。

(3) 色々な水溶液や素子(ダイオード、LED、FET等)の電圧-電流特性を測定する。

と言うことです。


分子模型を作るために電源装置から作ったと言うと滑稽に聞こえますが、いやこれがなかなか重要。

電熱線カッターは電熱線に電気を流してジュール熱を発生させる装置ですが、すなわち抵抗が小さくて大きな電流が流れるので消費電力大。

乾電池で駆動させるとすぐ電池切れしてしまいます。

あと、乾電池では1.5Vの倍数しか電圧がかけられないので、望みの電圧がかけられなかったり・・・・

しかしもうこれで問題ない!!

それと中学生のころに理科で分子模型を作った時はあの重くて高価な電源装置を使っていたので、そのイメージからぜひ電源装置を使いたいと思っていまして。


電気分解に関しては、これも電圧可変な装置がないと無理。

試しに炭素電極(鉛筆の芯)で食塩水を電解してみましたが、嗚呼想定通り陽極から塩素臭・・・
(危険なので真似せぬこと!)

食塩水の電解

陽極; 2Cl- → Cl2↑ + 2e-

陰極; 2H2O + 2e- → H2↑ + 2OH-


電流-電圧特性の測定に関して、とりあえず電源装置の性能(表示電圧/電流)の確認がてら抵抗器とLEDで試してみました。



抵抗器のI-V特性(電圧計のブランクとして0.5V引いている)


電圧Vが電流Iに綺麗に直線関係になっています。

オームの法則です。抵抗をRとすると

V = RI

測定点に対し「最小二乗法」という統計学的手法で近似直線を引くと、上の式よりその直線の傾きが抵抗になります。

すなわちこの測定結果からは

R = 33.0Ω

となります。

一方、この抵抗器に印字されている抵抗は・・・

あれ?古くて第二帯が茶色か橙か判別できない・・・

「橙橙黒金」(=33Ω)か「橙茶黒金」(=30Ω)です。

前者ならばっちり合っていることになります。

どちらにせよ、電源装置の表示電圧/電流はおかしくはないようです。

しかし近似直線に少なからぬ値の切片があることからわかるように、あくまで目安であり厳密な測定には向かなさそうです。




LEDのV-I特性(電圧計のブランクとして0.5V引いている)
※ 抵抗のグラフとは軸が反対であることに注意


アンバー色(琥珀色)のLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)の電圧-電流特性。

最初は電圧をかけても電流が流れず、閾値2Vを超えると一気に電流が流れだす(&光る)。

理論通りのとても奇麗な結果にちょっと感動。

LEDは半導体をpn接合して作られた無機電解発光素子。

半導体ではオームの法則は成り立たない
(ちなみに電解質水溶液でも成り立たない;オームの法則はある電子が自由に動ける理想的な条件下でのみ有効。)

アンバー色なのでAlInGaP系材料が使われているのでしょうか。
(たぶんAsは使われていないでしょう。)

組成は

AlxInyGa1-x-yP

となります。

Al、Ga、Inは13族で三価、Pは15族で3価なのでAlInGaのモル数の合計とPのモル数は等しい。

材料の組成を変える(xとyを変える)ことである範囲で自由にLEDの発光色を変えることができます。

このように複数の元素を混合して(バンドギャップを調整して)作られた半導体材料をテーラードマテリアルと言います。


ちなみに筆者の十八番は有機半導体素子。

化学(有機化学・無機化学・有機金属化学・物理化学)と物理(電気)が組み合わさった領域。

化学だけではなく電気も好き。

「メイン + サブ」の学問の合成でより発展的で面白い学問領域が開拓されます。

そういうのが頭を使って面白い。


ああ、あともう1つLEDで面白いことがわかりました。

LEDは20Vくらい電圧をかけると爆発する。

無茶なことはやめましょう。


◎ 参考

『電子工作大図鑑』伊藤尚未著, 誠文堂新光社(2006)

↑これは電子工作の入門書としてかなり素晴らしいオススメの本です。

電源装置の作り方も載ってます。

大きくて分厚くて2000円足らず。

抵抗の読み方から基板回路の作り方、テスターの使い方やドリルの改造法まで載ってるバイブル。


前回記事で紹介した分子のステレオグラム(立体画像)の作り方を書いてみます。

前回記事;『ステレオグラム~グルコース・ベンジルアルコール~』

<クリックで拡大>

α-D-グルコースの球棒モデルのステレオグラム
『パソコンで見る動く分子辞典』を利用。



まずパソコン上で3Dで分子を描画できるソフトを用意します。

JmolWinMOPACChemSketch等です。

例えば『パソコンで見る動く分子辞典』に付属しているJmolを使ってグルコースのステレオグラムを作る例を示します。


まずリストからグルコースを選んで3Dで表示させます。

前回記事でも書きましたが、どうも空間充填モデルより球棒モデルの方がステレオグラムに向いていそうなので、ここでは球棒モデルで表示させます。



Jmolでグルコースを表示した画面


画面をドラグ(クリックしたままマウスを動かすこと)すると分子の向きを変えることができるので好きな角度にしておきます。

その状態で画面を画像として保存します。
(ここで保存した画像を「画像①」と名付けることにします。)

「File → Export → Export Image or script...」で保存できます。

もしくはパソコン画面を、キーボードの「Print Screen」を押して画像としてクリップボードに取り込み、「ペイント」等の画像処理ソフトに貼りつけても保存できます。

このとき、PNG形式で保存すると劣化しないで済むのでよいでしょう。
(JPEG形式で保存すると不可逆圧縮により画像が劣化し色が悪くなります。PNG形式は劣化しない可逆圧縮です。)

ここで保存した画像が左目で見る画像、すなわちステレオグラムで右に配置されている画像です。

重要!
この間、Jmolに表示されている分子の角度を変えてはいけない!
なぜなら次にこの状態から少し角度を変えるからである!



次に、3Dのグルコースを少しずらす作業に移ります。

保存した画像と同じ状態からスタートです。
(もし動かしてしまっていたら最初からやり直し。)

Y軸回りに回転させます。
;画面の縦方向をY軸、横方向をX軸、垂直方向をZ軸とする。
(言いかえるとX-Z平面上で回転させるということ。)

すなわち下図のように、マウスで真左にドラグして分子を回転させます。



Y軸周りに回転させる。


少し回転させたらまた画像を保存します。
(「画像②」とします。)



Y軸回りに少し回転させたグルコース。


ここで保存した画像が右目で見る画像、すなわちステレオグラムで左に配置されている画像です。


最後に画像処理をします。

「ペイント」等の画像処理ソフトを用いて画像②を左に、画像①を右になるように並べます。



画像①と②を並べる。


このとき2つの左右の画像が

1. 大きさ比1:1
 ※ 左右の画像の大きさが違っていたら重ならないのでダメ。

2. 真横に並んでいる
 ※ 左右の画像の上下がずれているとうまく重ならないのでダメ。

ということに注意してください。

また、二つの画像の距離も調節します。

近すぎると;立体視で生まれた立体像が左右の画像と被って見にくいのでダメ。

遠すぎると;より目の焦点をずらさないといけないのでしんどいのでダメ。

ということになります。

二つの画像の大きさ、上下、距離を調節したら画像を保存して、完成!!

<クリックで拡大>

α-D-グルコースの球棒モデルのステレオグラム
『パソコンで見る動く分子辞典』を利用。



という感じです。

簡単なのでぜひ作ってみてください。
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