忍者ブログ
一般向け/高校生向け楽しい化け学
[234]  [233]  [232]  [231]  [229]  [228]  [227]  [226]  [225]  [224]  [223


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



テストやプレゼンがあって今週は全然更新できていませんでした。

大丈夫です、なんとかまだ筆者は生きています。



ところで、一昨日久し振りにウェブフォームに投稿が。

なんでも、『ヨードホルム反応の仕組み 』の記事を見てくださり、気に入ってもらえたようです。

以前Twitterで感想をくれた方もそうでしたが、この記事なかなか人気です(笑)

このサイトのアクセス解析を見ても、検索ワードはほぼ毎日「ヨードホルム反応」がダントツの一位。

世の中にはそんなにヨードホルム反応の需要があるのだろうか・・・

世の中の人たちがこんなにヨードホルム反応を"ググる"という事実はちょっと驚きではあるが、しかし確かにヨードホルム反応のメカニズムを詳細に記しているwebサイトは少ない。

特に、素反応に全てバラしてひとつずつ解説しているサイトはココ以外に今のところ見たことがない。

筆者のこの記事で化学の知的探究心を満たし、化学教育に少しでも貢献できたということであれば光栄である。


あと今回の投稿では、その感想に加え銀鏡反応の質問もありました。
(質問・回答;「Q11」

上のリンクの回答を読んでいただければわかりますが、実は銀鏡反応の詳細なメカニズムは未解明です。(たぶん)

だから教科書やネットを探しまくっても「答え」は見つけられません、誰も知らないから。

一般に、固相が関係する化学反応のメカニズム解明は難しいとされる。

分子一個一個の反応だけでは不十分で、固体として析出するためにたくさんの周りの物質となんらかの相互作用をしなければいけないからだ。

例えば電気分解の電極表面上での反応の解析も困難である。


しかし研究結果を自由に書ける論文になら、不完全ではあれど妥当っぽい記述が見つかります。

昨日大学で論文を探してみると、下のような反応が提案されていることがわかりました。




銀鏡反応でアルデヒドが酸化される機構。文献[1]を一部改変


青巻き矢印は電子1つが奪われる一電子移動反応(酸化反応)ですが、この部分が未解明なようです。


銀鏡反応の面白いところは容器の内壁に銀が析出して銀鏡が成形されることである。

と言うことは、容器の壁の表面で反応が起こっているのではないかと予想されます。

実は化学反応において「壁」(相と相の境)とは重要なファクターになっています。

壁の表面で起こる反応を専門的には「wall reaction」(壁面反応)といいます。

銀鏡反応では次の図のように、試験管の内壁(ガラス;Si-OH, Si-O-)と銀(I)錯体が相互作用し、そこに水和アルデヒドが電子を渡しに来るのではないかと考えてみたりしました。




銀鏡反応の「wall reaction」?


「わからないこと」を考えるのは楽しいです。

自由に考えることができるから。


◎ 参考

[1]. Hisao Kurotani, What is the work of ammonia in the silver mirror reaction?, 化学教育 18(3), 223-225, 1970-07-20, 日本化学会

PR
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
ブログ内検索
Twitter @Chemis_twit (管理人)
Copyright 放課後化学講義室 All rights reserved



忍者ブログ [PR]