一般向け/高校生向け楽しい化け学
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先日バイト先の塾の遠足があり、子供(主に小学生)たちと科学館に行ってきました。
筆者が小さな頃から慣れ親しんだ科学館です。
子供のころも、大人(まだ一人前ではないが)になっても、いったい何回通ったでしょう。
展示場は2階から4階までで、1階にはプラネタリウムもある結構大きな科学館です。
子供たちは体験系の展示物が好きです。
(化学コーナーは華麗にスルー(泣))
例えば、背が伸びたり縮んだりする鏡、グルグルハンドルを回して発電するやつ、フィギュアスケートのスピンのように回転する床・・・
子供たちはそれで遊んで、次の展示物に走っていくのですが・・・
しかし、それらは遊具ではないのです。
教材なのです。
その体験から何を学ぶのかが大切。
例えばその不思議な鏡はなぜ背丈が変わるのか。
鏡を見て「へぇ~」と言って走り去ろうとする子を引きとめ
筆者「ちょっと待て。さあ問題です。なんで背が伸びたり縮んだりするでしょうか?」
と聞くときょとんとするんですよ。
たぶんそんなこと全く考えていなかったからです。
鏡を近くで見て仕掛けを探しておいでと言うと、一生懸命鏡の裏とかを見るのですが、なかなか見つけられず、ギブアップ。
答えは定番の凹面鏡、凸面鏡のわけですが・・・
個人的には、別に仕掛けを見破れなくてもいいかなと思うんです。
ただ、自分から不思議に思って探って欲しいのですが・・・なかなか難しいですね。
まあ最初は周りの大人が援助してあげるべきなんでしょうが、あんまり考えろ考えろと言ったりヒントを挙げても、子供の成長にはあまり役立たないだろうからさじ加減が難しい。
ホント、それら展示物からは無限の学びの可能性があるのです。
ハンドル回して汗かいた → 電気を作るのは大変。大切にしなければ。
グルグル回る時ポーズによって回転スピードが変わる → 手足を伸ばして中心から端まで距離をとると遅くなる。
等など・・・
さあ、理科教育はいかにすべきなのだろうか。
子供たちが自ら不思議に思い探究心を持ち行動・思考してくれるような教育法を、筆者はなかなかまだ思いつくことができない。
プラネタリウムも面白かったです。
星座は興味ないんですが(だって神話とか、科学的じゃないし)、銀河モデルやブラックホールはかっこいい。
面白いことに、極大の宇宙の物理現象と、極小の量子の物理現象には、ある種の共通点があるのが不思議なところ。
(ただし全く同じでなく、決定的な差があるのも面白い。)
量子力学も結構好き(専門的なことはわからないが趣味的に)なので、ブラックホールとか暗黒物質とか聞くとテンションが上がります。
知っていますか?
実は宇宙の95%くらいの物質・エネルギーが暗黒物質・暗黒エネルギーと呼ばれるまだ解明されていないモノでできていて、我々が知っている水素やヘリウムは数%しか存在していないそうです。
まだまだ世の中は謎に包まれていて、面白いですよ!!
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今日は酸素分子を紹介します。
「そんな簡単な分子!」っと思うかもしれませんが、酸素はなかなか複雑な難しい分子です。
塾で授業してると、高校化学ではO=Oという構造式を習うのでそう教えますが「実は違うんだよね~・・・」と思いながら教えています。
まず物性から、そして酸素の本当の姿を説明しましょう。
今日の分子 No.51 酸素 O2
酸素の単体。
無色無臭の、水に少し溶ける気体。
液化酸素は淡青色、固体は青色である。
(酸素分子の会合体が生じていると予想されている。)
酸素は気体でも液体でも固体でも常磁性体であり、特に液体酸素が磁石に引き寄せられてくっつくのは有名。
同素体にO3がある。
(酸素または空気中で無声放電すると生じる。)
非常に身近な分子であり、空気中に約20%存在する。
生物は酸素を吸い、細胞内で燃焼反応を起こすことで化学エネルギーを得て生命活動を行う。
植物は光合成により二酸化炭素と水に光エネルギーを与え反応させ、炭水化物(ブドウ糖)を作り出す。
そのとき副産物として酸素を生じる。
6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6H2O + 6O2
(この反応式の両辺に水があるのは、まず12個の水を消費して反応が始まり、結果最終的にたまたま6個の水が再生しているということをあらわしています。)
中学生の理科の引っ掛け問題でよく出るが、日中植物も酸素を吸って呼吸している。
ただ、日中は光合成が活発なため、酸素の消費より生産のほうが多い。
通常、酸素は酸化剤として反応する。
(ただしフッ素や六フッ化白金との反応のときのみ還元剤として振舞う。)
酸素は化学的に活性な物質であり、希ガス、ハロゲン元素、貴金属元素(金・白金など)以外の全ての元素と直接化合して酸化物を作る。
特に熱や光を出して酸素と化合することを燃焼という。
ある物質がそれ以上酸素と化合しなくなるまで燃焼することを完全燃焼という。
例;C + O2 → CO2
一方、燃焼反応の生成物がまだ燃焼できる化合物であったとき、その燃焼反応を不完全燃焼という。
例;2C + O2 → 2CO
ただし、普通に燃やしても進まない酸素との化合は普通燃焼反応といわない。
例;2CO2 + O2 → 2CO3
(コロナ放電で生じる。二酸化炭素は不燃物であり、この反応は燃焼ではない。)
燃焼反応は一般に複雑であり、多段階の素反応から成る。
また、酸素濃度や圧力が変わると可燃物の発火のしやすさが変わるなどの重要な現象がある。
そのため「燃焼学」という独立した学問・学会があるほどである。
酸素の実験室的製法としては過酸化水素の分解がある。
このとき、触媒として二酸化マンガンやカタラーゼを使う。
2H2O2 → 2H2O + O2
工業的製法は、主に空気の液化分離法である。
また、中・小規模では吸着分離法(ゼオライトに酸素を吸着させ、分離する方法)も使われ、膜分離法による酸素富化等も行われている。
他にも、酸素濃度・酸素ラジカル除去能力と老化速度が関係していることや、酸素元素発見のもととなった「フロギストン説」等の逸話も面白いが、今日は割愛する。
では、本題(?)。
高校では酸素の電子式、構造式は次のように教わる。
高校で習う酸素分子
が、これは現実的ではない!
実際、常温常圧の我々の周りの空気中に、上のような構造をした酸素分子はほとんど存在していないという。
驚くべきことに、実際的に存在している酸素分子は次のようにビラジカル構造(ラジカルを二つ持った構造)をしている。
酸素分子の実際的な構造
普通、ラジカルは不安定であり、しかも分子内に二つもラジカルを持つ分子なんてめったにない。
理由は、量子化学的に考えると明快だが少し難しい。
次のように古典的に考えるとわかりやすいかもしれない。
(が、この古典的な説明は本当みたいな嘘みたいな本当みたいな嘘って感じで、誤魔化した説明であるが・・・)
酸素原子は孤立電子対を二つも持っているので、酸素原子二つが近づくのは電子同士の反発を招き不利である。
なので、二重結合せず単結合してちょっと原子間に距離を置くことでつりあいを保っている。
もしくは逆に、二重結合するほどの距離には反発により近づけない、と考える。
このように、酸素の本当の姿はビラジカルなのだ。
通常状態でラジカルだから、酸素が関係する多くの反応はラジカル反応で進む。
たとえばクメン法のクメンヒドロペルオキシドの生成反応や、脂肪の酸化などは酸素がラジカルであると認めると生成物が-O-O-結合を持つことが理解できる。
また、ラジカル(不対電子)を持つ物質は磁性を持つので、酸素が常磁性であることも説明できる。
環境問題や健康などで話題になっている「一重項酸素」や「三重項酸素」という物も、上の構造式から理解できる。
(広島大学大学院の生物圏科学研究科のページにわかりやすく載ってます。)
以上。
酸素は実は安定な分子ラジカルだったのです。
学校で習うことが必ずしも全て「妥当」であるとは限らない。
(「ウソ」ではなくとも。)
だから酸素を教えるとき「う~ん・・・」と思いながら教えるのですが、勉強にはステップというものがあるので、まずは基本の八電子則で構造を考えるんですよね。
◎ 参考
・ 『高圧ガス保安技術 第8次改訂版』高圧ガス保安協会著(2011)
昨日、仕事仲間とパーティー用のいわゆる"ヘリウム"を吸って声変えて遊んでました。
パーティ用のいわゆる"ヘリウム"はヘリウム約80%、酸素約20%の混合気体です。
ヘリウム分子や、ヘリウムと酸素の混合気体については今日の分子No.45ヘリウムを参照ください。
ヘリウムを吸って声が高くなる現象を、その独特の声色からドナルドダック効果と言います。
なぜヘリウムを吸うと声が高くなるのでしょうか。
まず音とはどのような現象であり、物理化学的に音速はどのように表現されるかから考え、気体の種類と音の高さを考えてみましょう。
まず、音とは波です。
音波は空気を媒質として伝わる疎密波です。
ここまでは高校物理で習います。
ここで、実は音波の疎密波は空気が断熱過程で圧縮・膨張していると知られています。
なので高校物理の熱力学でちょこっと習う断熱過程の式
PVγ = 一定
の関係を使うことができます。
この式を微分して、気体の弾性率と音速の関係式(難)・理想気体の状態方程式を使うと※注、音速vは
・・・・(1)
と表されます。
ただしRは気体定数、Tは絶対温度、Mは気体分子のモル質量(単位:kg/mol)です。
また、高校の物理Ⅱでも習いますが、γは比熱比でγ=Cp/Cvです。
ただしCpは定圧モル比熱、Cvは定積モル比熱。
気体がN原子分子の場合
Cv = (N+0.5)R
Cp = Cv+R = (N+1.5)R
よって
・・・・・(2)
です。
(1)式と(2)式を使えば(理想)気体中での音速を計算することができます。
例えば25℃の窒素中での音速を求めてみましょう。
窒素N2は2原子分子なので、(2)式にN=2を代入すると
γ=1.4
γ=1.4、T=298K、M=0.028、R=8.31J/(K・mol)を(1)式に代入すると
v窒素 = 352 m/s
となります。
次に、ついでに空気中での音速を見積もってみましょう。
簡単のため、空気はほぼ酸素と窒素の混合物なので、分子量29の理想気体で、2原子分子だと仮定しましょう。
すると室温25℃すなわちT=298Kでは
v25℃ = 346 m/s
となり、0℃すなわちT=273Kでは
v0℃ = 331 m/s
0℃における乾燥空気中での音速の実測値は331.3m/sらしいので、うまく一致しました。
一方で、(1)式より音速は気体の分子量の平方根に反比例することがわかります。
すなわち軽い気体ほど音速は速くなります。
(ただし構成原子数が異なるとγも変わります。)
25℃のときのヘリウム中では音速は
vHe = 1014 m/s
(単原子分子でN=1よりγ=5/3)
速い!!
なんと音速はヘリウム中では空気中での音速の三倍ほどの速さになります。
このように、音速は気体の分子量(と構成原子数)に関係します。
では本題の音の高さに参りましょう。
波の基本式
v=fλ
より
f=v/λ
です。
ただしfは振動数、vは波の速さ、λは波長です。
気体中を伝わる音波の場合、vは音速になります。
仮に笛を吹いたときなど、λが一定のときを考えましょう。
(1)式よりvは分子量が小さい程大きいので、すなわち分子量が小さいとfは大きくなります。
中学理科で習うように、振動数が大きいほど音は高くなります。
したがってヘリウムのような軽い気体中では音が高くなります。
これが、ヘリウムを吸ったら声が高くなる理由です。
物理の波動や熱力学、熱化学は関係なさそうで密接に関係があり、式変形により日常の現象においても有益な数値を与えてくれます。
※ 音速の式の導出過程は東京学芸大学の松浦研究室様HPのページhttp://topicmaps.u-gakugei.ac.jp/physdb/heat/moleculartheory.aspの上から三分の一くらいの項目に詳しく載っています。
およそ2ヵ月半前、結晶作りにチャレンジして失敗しました。
2011/02/19の記事
前回失敗した原因は結晶がすぐ落ちてしまったことと、飽和水溶液と思っていたのに種結晶がどんどん溶けてしまったことでした。
今回、もう一度ホウ砂Na2B4O5(OH)4・8H2Oでチャレンジしました。
前回のホウ砂水をあの時のまま、約2ヶ月半放置して水を蒸発させ、ビーカーの底に結晶を作りました。
この結晶を種結晶として、あらかじめ用意しておいたホウ砂飽和水(今回こそ飽和してるはず)に入れて蒸発法で結晶を作ります。
手順;
1. エナメル線の先をアルコールランプで加熱・赤熱させ、ホウ砂種結晶に突き刺し、結晶を一部融解させエナメル線にくっ付けた。
2. 同様に、計5本の種結晶付きエナメル線を作った。
3. 5つの容器を用意した:ペットボトルを切ったもの×2、ビーカー、試験管、ツナ缶。
4. 各容器にホウ砂飽和水溶液を入れ、種結晶付きエナメル線を垂らした。
5. 5つの容器にほこりが入らないように次の措置を施した。(通気性は損なわないようにした。)
・ ペットボトルを切ったもの、ツナ缶;ティッシュの一枚(二枚組みのを剥がした)をかぶせた。
・ ビーカー;ペットボトルの口のほうを切ったものをかぶせた。(要するに天井の穴を小さくした。)
・ 試験管;措置なし。(はじめから口が小さい。)
6. (予定) 数ヶ月放置し、水を蒸発させ過飽和状態を作り、種結晶を成長させる。期間中必要あらばホウ砂飽和水溶液を足す。
種結晶付きエナメル線
今回のポイントは二つ。
まずエナメル線に、種結晶をくくりつけたのではなく、溶かし付き刺した点。
こうすることにより、より強くエナメル線に種結晶を固定し、落ちてしまう可能性を低くした。
ミョウバンの結晶作りではこうするようだが、ホウ砂の場合でも「ジュッ」と音を立ててエナメル線が結晶内部に突き刺さりくっつけることができた。
二つ目のポイントは、容器のバリエーションを増やしたこと。
口の大きさが大中小となっている。
口が広い容器のほうが空気との接触面積が広いため水が蒸発しやすいと考えた。
一方で口が広いとほこりが入りやすくなるリスクがある。
ほこりが入ると、ほこりを結晶の核として小さな結晶ができてしまい、種結晶が成長が妨げられる。
さ、今回は成功してほしいな~
取り合えず種結晶が落ちないことを願う!!
あと、5つもあるから成功確率は大きいはず!!
とりあえず数ヶ月待ちましょう(気長!!)
さっき、江戸時代の或る芸術家を紹介する番組がやっていました。
その番組で当時の墨を追求するシーンがありました。
そこで"にかわ"に迫っていました。
書道などで使われる墨は、油を燃やした時に出るススと、動物の骨を煮詰めて得る"にかわ"を混ぜて練って作られます。
"にかわ"とは要するにゼラチンのことで、皮膚や骨等の結合組織の成分であるコラーゲンを加熱し抽出した、たんぱく質を主成分とした物質です。
にかわは加熱するとゾル化して水に溶け、冷えると固まります。
ちなみにこの物質は食用とされるときはゼリーなどでおなじみの「ゼラチン」、墨や絵の具に使われるときは「にかわ」と呼び分けられます。
なぜ墨を作るときににかわが必要なのでしょうか。
これは非常に化け学な理由があるのです。
まず墨汁を作るためには黒の色素であるススを水に溶かさなければなりません。
しかしスス、すなわち炭素は普通水には溶けません。
そこで加えるのがにかわ。
にかわはたんぱく質で、水に混ぜると一様に分散しコロイド溶液になります。
すなわち、にかわは親水コロイドです。
一方、にかわは疎水性のコロイドを取り込み凝析を防ぐ能力があります。
すなわちススににかわを混ぜると、炭素の微粒子であるススはにかわに取り込まれ黒い色素として水中に分散することができます。
すると硯で墨をすったとき、水は綺麗に黒い液体となるのです。
逆に言えば、墨汁はにかわによって保護された炭素微粒子が分散したコロイド溶液なのです。
このように疎水コロイドを凝析から守ってくれるにかわのような親水コロイドを保護コロイドといいます。
※ 筆者は高校時代美術部でした。
(みんな意外だと言う。)
結構な時間墨と戯れたものです。
作品を作るときににかわを煮て溶かすこともありました。
画材用のにかわを食べてみたこともありました。
(硬いし、噛んだら歯にくっつくし、美味しくなかった。)
にかわは地味に青春の思い出です。
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