一般向け/高校生向け楽しい化け学
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さっき、江戸時代の或る芸術家を紹介する番組がやっていました。

その番組で当時の墨を追求するシーンがありました。

そこで"にかわ"に迫っていました。

書道などで使われる墨は、油を燃やした時に出るススと、動物の骨を煮詰めて得る"にかわ"を混ぜて練って作られます。

"にかわ"とは要するにゼラチンのことで、皮膚や骨等の結合組織の成分であるコラーゲンを加熱し抽出した、たんぱく質を主成分とした物質です。

にかわは加熱するとゾル化して水に溶け、冷えると固まります。

ちなみにこの物質は食用とされるときはゼリーなどでおなじみの「ゼラチン」、墨や絵の具に使われるときは「にかわ」と呼び分けられます。


なぜ墨を作るときににかわが必要なのでしょうか。

これは非常に化け学な理由があるのです。

まず墨汁を作るためには黒の色素であるススを水に溶かさなければなりません。

しかしスス、すなわち炭素は普通水には溶けません。

そこで加えるのがにかわ。

にかわはたんぱく質で、水に混ぜると一様に分散しコロイド溶液になります。

すなわち、にかわは親水コロイドです。

一方、にかわは疎水性のコロイドを取り込み凝析を防ぐ能力があります。

すなわちススににかわを混ぜると、炭素の微粒子であるススはにかわに取り込まれ黒い色素として水中に分散することができます。

すると硯で墨をすったとき、水は綺麗に黒い液体となるのです。

逆に言えば、墨汁はにかわによって保護された炭素微粒子が分散したコロイド溶液なのです。

このように疎水コロイドを凝析から守ってくれるにかわのような親水コロイドを保護コロイドといいます。



※ 筆者は高校時代美術部でした。
(みんな意外だと言う。)

結構な時間墨と戯れたものです。

作品を作るときににかわを煮て溶かすこともありました。

画材用のにかわを食べてみたこともありました。
(硬いし、噛んだら歯にくっつくし、美味しくなかった。)

にかわは地味に青春の思い出です。

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