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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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さっき高校化学の教科書を読んでいて思ったのですが、個々の有機化合物の説明ってほとんどないですね。

有機化合物の反応性・物性は官能基の種類などで系統的に理解できるし、あまりに種類が多いので説明を省いているのでしょうが、でもちょっとさびしい。

例えばクロロメタン類。

環境化学的・工業化学的にかなり重要な物質なのに、なんと説明が脚注に細々と書いてあるだけ・・・

これでは教科書を読んだ初学者は、有機化合物が個性のない記号であらわされた暗記物として認識する恐れがあるんじゃないかと思います。

本当は、有機化合物は実に個性的です。


今日の分子No.60 クロロホルム CHCl3


Jmolで描画


IUPAC正式名称はトリクロロメタン。

メタンの水素が塩素(クロロ-)に三つ(トリ-)置き換わったもの。

特徴的な臭気と灼けるような甘い味をもった透明で無色の蒸発性の液体である。

1831年にユストゥス・フォン・リービッヒ博士らが発見したという。


優秀な有機溶媒である。

引火性もない。

比重は1.5で、水より重い。

だからクロロホルムを分液ろうとでの抽出溶媒に使うと、有機層は下になることに注意。重要!!
(ジクロロメタンCH2Cl2、テトラクロロメタン(四塩化炭素)CCl4でも同様。だたしクロロメタンCH3Clは引火性の気体。)

一方でハロゲン化メタン類は人間の健康を害し、また環境汚染物質である。

クロロホルムは「トリハロメタン」の一種であり発がん性・環境汚染性があるため、化学工場ではできるだけクロロホルム溶媒を用いないようにシフトしつつある。

四塩化炭素やジクロロメタンも同様に規制がかかっている。


クロロホルムには麻酔性があることが有名である。

サスペンスなどで「クロロホルムをしみ込ませたハンカチで口と鼻をふさいで眠らせる」という表現が度々あるが、現実はいくらか違う。

まずクロロホルムにはそんなに微量・短時間で効果があるわけではないため、サスペンスのように数滴のクロロホルムをしみ込ませたハンカチで口と鼻を押さえたくらいでは多少せき込むくらいだという。

が、量が多いと恐ろしいことになる。

こんな話を大学の先生に聞いたことがある。

以前、某大学の化学系の学生が面白がってこれを友達に試したらしい。

すると相手は昏睡状態に陥り、すぐに病院へ運ばれ、3日間眠り続けたという。

このときは3日寝ただけで目覚めたわけであるが、目覚めないこともあるという。

かなり危険な薬品であることを理解しなければならない。


ちなみにクロロホルムはマグネシウムや強塩基と混ぜるな危険!である。

これらとは反応するため、クロロホルムを溶媒として用いるときに注意が必要。

※ マニアック

クロロホルムはマグネシウムと反応すると炭素原子のメタル化反応が起きる。

また、クロロホルムは強塩基と反応するとジクロロカルベン(CCl2)という炭素の手が二本しかない異様な化学種を生じる。(合成化学的には重要な反応。)


◎ 参考
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