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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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新しい元素が周期表に増えるらしいです!!

3ヶ月程前から言われていたらしいが不覚にも全然知らなかった・・・

------------追記2012/6/3------------
元素名・元素記号が決まりました!
青字部分が追記です。
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今回増えるのは114番と116番の元素らしいです。


赤色の元素が今回追加される114番と116番。
また、水色の元素はまだ未承認。2012/6/3現在


で、先に確認しておきたいのは「増えるとは何ぞや」ということです。

114番と116番元素(と思われるもの)はそれぞれ1999年と2000年に、重イオン加速器で核反応を起こして生成され「発見」されました。

114番(uuq)と116番(uuh)のできた核反応は

48Ca + 242Pu → 287uuq

48Ca + 245Cm → 291uuh

とのこと。

「発見」とはその原子が2個以上、複数の研究所で見つかる(生成される)ことを言います。
(※ 1つの研究所で「できた!!」と言っても嘘や間違いかも知れない。このくらいの重さの原子になると何秒間も生きていられないので、後でサンプルを提出したりして確認することができないのである。)

「発見」するのは要は作ればいいのですが、元素に名前がついて周期表に追加されるのは大変で時間もかかる。

まず発見の関係者が先取権を腹黒く奪い合い、そしてその元素の物性等もある程度確認され、委員会がゴーサインを出すまで納得させなければならない。

今回、2011年6月1日に114番と116番元素がIUPAC(国際純粋・応用化学連合)とIUPAP(国際純粋・応用物理学連合)に正式に認可されたようです。


今まで114番はウンウンクアジウム、116番はウンウンヘキシウムという系統名で呼ばれていました。

※ 「ウン」は「1」、「クアジ」は「4」を表します。
 すなわち「ウンウンクアジウム」は要するに「114」を表しています。

認可されたので名前が付けられます。

114番元素=フレロヴィウム(Flerovium)、116番元素=モスコヴィウム(Moscovium)が提案されているようです。

もう少ししたらそのうち「Fv」とか「Mv」とかそんな感じの記号の元素が増えることでしょう。

→114番はフレロビウムFl、116番はリバモリウムLvになりました!
116番は何回か名前案が変わったりしてややこしかったようです。



ちなみに2009年に112番元素が「コペルニシウム」元素記号「Cn」として周期表に加わったばかり。

ロマンですねぇ。



あとさらにちなみに・・・

我々日本人が切望するのは113番元素の認証!!

113番、系統名ウンウントリウムuutは日本の理化学研究所で2004年に発見された元素。

まだ命名には至っていない。

ちなみに寿命は0.000344秒らしい。

名前を付けるなら「ニッポニウム」とか「ジャパニウム」とかだろうか。


特に「ニッポニウム」は日本の核物理学界にとってはイロイロ思うところのある元素名。

1908年、現在43番のテクネチウムTcを日本人の小川博士が発見したと言い、ニッポニウムNpと名付けた。

しかし実は測定機器が悪くて、実は75番のレニウムRe(当時未発見)だったという。

もう少しうまく測ることができていたらレニウムはニッポニウムだったかもしれない。

惜しかったのである。

ちなみに元素記号「Np」は今は「ネプツニウム」に使われていて被るのでもう使えない。残念。

あと「ジャパニウム」はマジンガーZですね。

アニメ由来の元素名なんてとっても日本的で良いじゃないですか?

と言いたい。

まあ実際のところは「ジャニウム」記号「Jp」(周期表初の「J」!?)か「リケニウム」記号「Rk」(理化学研究所でできたから)が提案されているようですが。


このようにまだ名前のない113~118番は一応発見されているわけですが、どんな名前になるか楽しみですね。



◎ 参考
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さっき、江戸時代の或る芸術家を紹介する番組がやっていました。

その番組で当時の墨を追求するシーンがありました。

そこで"にかわ"に迫っていました。

書道などで使われる墨は、油を燃やした時に出るススと、動物の骨を煮詰めて得る"にかわ"を混ぜて練って作られます。

"にかわ"とは要するにゼラチンのことで、皮膚や骨等の結合組織の成分であるコラーゲンを加熱し抽出した、たんぱく質を主成分とした物質です。

にかわは加熱するとゾル化して水に溶け、冷えると固まります。

ちなみにこの物質は食用とされるときはゼリーなどでおなじみの「ゼラチン」、墨や絵の具に使われるときは「にかわ」と呼び分けられます。


なぜ墨を作るときににかわが必要なのでしょうか。

これは非常に化け学な理由があるのです。

まず墨汁を作るためには黒の色素であるススを水に溶かさなければなりません。

しかしスス、すなわち炭素は普通水には溶けません。

そこで加えるのがにかわ。

にかわはたんぱく質で、水に混ぜると一様に分散しコロイド溶液になります。

すなわち、にかわは親水コロイドです。

一方、にかわは疎水性のコロイドを取り込み凝析を防ぐ能力があります。

すなわちススににかわを混ぜると、炭素の微粒子であるススはにかわに取り込まれ黒い色素として水中に分散することができます。

すると硯で墨をすったとき、水は綺麗に黒い液体となるのです。

逆に言えば、墨汁はにかわによって保護された炭素微粒子が分散したコロイド溶液なのです。

このように疎水コロイドを凝析から守ってくれるにかわのような親水コロイドを保護コロイドといいます。



※ 筆者は高校時代美術部でした。
(みんな意外だと言う。)

結構な時間墨と戯れたものです。

作品を作るときににかわを煮て溶かすこともありました。

画材用のにかわを食べてみたこともありました。
(硬いし、噛んだら歯にくっつくし、美味しくなかった。)

にかわは地味に青春の思い出です。


数日前実験でセリウム(元素記号Ce)を使いました。

Ce4+は強力な酸化剤で、有機反応等に使えます。

で、Ceなんですが、あんまりなじみのない元素ですよね。

周期表で探してみると、原子番号58番、ランタノイド第二元素です。

単体は結構電気的に陽性で、酸化されやすい金属です。

あまり聞かない元素ですが、実は身近に結構使われています。

例えばライターの火打石(シュッ!ってするとこの金属)。

これは発火合金と呼ばれ、Ceが70%、Feが30%ほどの合金らしいです。


あと、間違える人が多いのですが、セリウムCeであってセシウムCsではありません。

今原発事故で放射性のセシウムが注目されていますが、混同しないように。


そういえば数日前、筆者の友人が放射性セシウムを使う実験をしていて放射線浴びまくっていました。

筆者も放射性セシウムを実験で使ったことがありますが、案外放射線は浴びても平気です。

日常でも我々は宇宙線という名の放射線を浴びているし、レントゲンではかなりの量を浴びています。


一方、一昨日こんなことがありました。

筆者のバイト先の塾うちのひとつ(小4~中3対象)の卒業生の女子高生と喋っていたのですが、なにやら健康法に興味があるそうです。

で、その人曰く、青汁が良いとか、ビタミンがたくさんとか、カリウムが多くて良いとかなんとか。

で、

筆者「じゃあ青汁はカリウムが多いから放射能を持ってるな。カリウムは放射性元素。バナナもカリウムが多くて、放射性物質なんだよね。」

っと言うと、

「え~!それって体に悪い?印象悪くなった・・・」

だってさ。

あーおもしろ(笑)

カリウム40は人間の内部被爆(体内に取り込んだ放射性元素に長期的に被爆すること)の大きな原因物質になっている。

が、みなさん知ってのとおり、そんな影響ほとんどない。

こういう科学の雑学(というか一種の嫌がらせ話(笑))を知っていると話のタネになって面白いですよ。

ちなみに大気中に約1%も含まれるアルゴンは、その大部分がカリウム40の崩壊によって生じたらしい。
(ということを中学生の頃「アトキンス 分子と人間」という本で読んでかなり印象に残った。)

あなどれぬカリウム40!


◎ 参考


造幣局行って来ました。

「桜の通り抜け」なるイベントをしていたので。



造幣局の枝垂桜 2011/4/17 筆者撮影


とても色鮮やかで綺麗でした。

桜の桃色はアントシアニン類らしいですよ。
(『Anthocyanin Accumulation in Developing Petals of Cherry Plants』論文抄録参考)


ちなみに、日本で"化学工業"を一番最初に始めたのは造幣局らしいです。(1872年)

明治に入って日本が産業革命を起こすとき。

日本で初めて行われたその化学工業は硫酸の製造らしいです。

高校で習う現代の「接触法」ではなく「鉛室式」と呼ばれる古い製造法だったらしいです。

なぜ造幣局が硫酸を製造したかと言うと、作った硬貨を洗浄するのに硫酸が必要だったとか。


またその次、二番目に化学工業を起こしたのは大蔵省印刷所らしいです。(1880年)

それは水酸化ナトリウムの製造。

ちなみにこれも高校で習う「イオン交換膜法」ではなく「ルブランソーダ法」という昔の製造法だったそうです。

こっちは紙幣を作るためです。

というのも、紙幣には良質な紙が必要であり、それを作るためにはパルプと水酸化ナトリウム水溶液で煮る必要があったからとか。

日本の化学工業はお金の製造とともに始まったわけですね。

・・・・・っと、無機化学研究室の准教授が言ってました(笑)


◎ 参考

・ 筆者の大学の先生の有難いお話


来週から毎週化学英語の小テスト(単語・読解・リスニング etc)が実施されるらしい。

というわけで、CD付きテキスト買ってリスニングを始めた筆者。


結構、かーなり難しい・・・

まず、日本人が思っている化合物名と実際の発音があまりにも違う。

例えばo-キシレン(ortho-Xylene)が衝撃的。

日本語では「おると・きしれん」、高校でもそう習う。

でもCDで聞いてみると

「アッソゥザイリン」

と聞こえる。

メタン(methane)は「メセイン」。

日本人のイメージに反して、「x」は「クス」より「ズ」、「y」は「イ」より「アイ」、「-ene」は「-エン」より「-イン」、「a」は「ア」より「エイ」と発音される場合が多いようだ。

だからキシレンはザイリンになるし、メタンは日本人のニガテな「th」の発音もあってメセインと聞こえる。

また、キセノン(Xenon)は「ズィノン」と発音され、なんだかカッコいい。


後、アルカン・アルケン・アルキンが最高にややこしい。

上のように、アルカンは「アルケイン」、アルケンは「アルキン」、アルキンは「アルカイン」と聞こえる。

だからアルカン→アルケン、アルケン→アルキン、アルキン→アルカンに聞き間違う例が多いらしい。

ホントややこしい・・・


また、日本はその化学工業の歴史的に、化学用語は伝統的にドイツ語寄りである。

だからカリウム(英:ポタシウム)やナトリウム(英:ソディウム)に独英の相違が出る。

また、ボンベやシャーレ等も独語なので通じない。

ちなみにピンセットはオランダ語。

どうせ英語を使わないといけないのなら、いっそのこと中学や高校の理科の段階でできるだけ物質や実験器具は英語名で習ったほうが良いかと思う。


しかし英語に億劫な筆者であるが、化学英語のリスニングならかなりやる気が出る。

とりあえずいつでも音源を聞けるようにケータイに入れた。

もちろん文章には化学の単語以外の一般の英単語も出てくるわけだから、自然に普通の英語のリスニング力もアップするはずである。

ガゼンやる気が沸いてきた。


しかし「thionyl chloride」(塩化チオニルSO2Cl2:硫酸の-OHが-Clで置きかわった化合物)がどうしても「ファイナルクロライド」に聞こえる・・・

RPGの呪文か!!

しばらくは「th」の発音と、「y」、「e」、「a」の発音のイメージとの相違に悩まされそうである。


◎ オススメ;

筆者が使ってる化学英語の教科書で、CDもついてて「アッソゥザイリン」とかネイティブの発音聞けます。


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