一般向け/高校生向け楽しい化け学
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前回記事の問題の解答;
・ CH3CH2CHO (プロピオンアルデヒド)・・・・プロパナール
・ CH3COCH3 (アセトン)・・・・2-プロパノン
・ CH3CH2COOH (プロピオン酸)・・・・プロパン酸
前回の記事でカルボン酸の化学式にHが無駄に多かったです。スミマセン・・・
横着してコピペするからミスるんですよね・・・
よく誤字脱字やミスをするので、よくこっそり修正しています。
特に誤字脱字は「あーまたやっちゃってるなコイツ」程度にスルーして下さい、気づいたらこっそり直します。
で、上記のようにアセトンはプロパノン(より正確には2-プロパノン)という正式名称です。
アセトンはフェノールを作るためのクメン法の副産物でありものすごく無駄に大量に生産されるので、他の有機溶媒と比べてかなり安い。
そのためアセトンは実験器具を洗うために使われる。
(普通で考えたらすごく勿体無い。)
アセトンは優秀な溶媒で、有機物を溶かししかも水とも交じり合うため洗浄力は大きい。
さらにアセトンの蒸気圧は大きく、沸点が低くすぐ乾くので、洗った実験器具はすぐ乾き都合がいい。
そんなありふれたアセトンであるが、アセトンのことを「アセトン」と呼ばずに「プロパノン」と呼ぶ人も意外と多い。
「アセトン」等の物質の名前を慣用名といい昔からそう呼ばれているが、最近は正式名称で呼ぶことも多くなってきた様。
特に「エテン」なんかは本当に最近からそう呼ばれるようになったとかなんとか。
「エテン」とはなんの物質でしょうか?
骨格の「エタン」+アルケンの「エン」なので、エテンはエチレンCH2=CH2のことです。
慣用名は昔から親しまれてきた呼び名であるが、学術的な場においては名前を聞いただけで構造が理解できる正式名称が主流になってきているようです。
「エテン」に代表されるように、正式名称を言われるとわかりにくくなる物質はたくさんあります。
命名法をマスターし、正式名称で構造がすぐわかるようになりたいところです。
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アクセス解析でこのサイトの検索ワードを見ていると、二週間に一回くらい「高校化学 ウソ」というワードで調べてくる人がいます。
思いっきり「ウソ」は書いていないでしょうが、難易度の問題上ややこしい話は避けるので、そういう意味では化学的に微妙なところもあります。
そこまで言ってしまうと、「化学平衡の式はあんまり成り立たない(場合が多い)」や「理想気体の状態方程式やファントホッフの式で計算してもずれが大きい(場合が多い)」等など、いくらでも言えてしまう。
しかし中には本当に「いや、そうでもないぜぇ~?」って言うのもある。
例えば筆者が高校のとき使っていた教科書にはこう書いてある。
「炭酸H2CO3は単独では存在せず、水溶液中においてもほとんど存在しない。」
確かに普通炭酸そのものはお目にかかれないし、水溶液中でほとんど存在していないため、「H2CO3」と記する化学反応式を書くのはあまり賢明ではない。
多くの「化学のできる人」は炭酸H2CO3の形では存在しないと思っているような気がします。
しかし最近、どうにも炭酸H2CO3は、それ単独では非常に安定な化合物であることがわかってきたらしい。
・・・と筆者の大学の教科書には書いてある。
高校の教科書の敗北。
しかし出版年を見ると、どうにもその教科書が発行された時期はまだ炭酸の安定性が知られていなかったようです。
このような自然科学の分野では、ちょっと研究が進んだだけで今までの考え方がひっくり返ったりすので注意が必要です。
勉強のために本を買うときも、できるだけ新しいものを買いましょう。
ちなみに、炭酸がH2CO3の形で普通存在しないのには、或る致命的な問題があるからです。
H2CO3は水を触媒として容易に分解する性質があるようです。
しかも炭酸が分解してできるのは二酸化炭素と水。
どんどん分解していく。
純粋な炭酸を作ろうとすると、水が少しでも入っているとアウトということである。
しかし炭酸を作るためには水が必要・・・・純粋な炭酸を作るのはかなり難しそうです。
◎ 参考
- 『ボルハルト・ショアー現代有機化学〈下〉』, K.Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore著, 野依良治監訳, 化学同人; 第4版 (2004/06)
昨日電気屋をうろうろしていたら火災感知器が売っていました。
天井につけるヤツです。
今や設置が義務付けられたりしている火災感知器。
しかしその原理は多くの人が知らないと思います。
それもまさかある種のそれには天然には存在しない放射性元素;原子番号95番のアメリシウム(Am)などが使われていようとは・・・
煙感知器という感知器の一種があります。
これは設置した部屋で火事が起きると、その煙を感知して自動的に火災報知機に信号を送るものです。
この煙感知器の一種に、イオン化式煙感知器というものがあります。
これにはアメリシウム241という原子が使われています。
周期表を見てみてください。
アメリシウムはウランよりも重い、周期表の最後の方に位置する天然に存在しない元素です。(ちなみにウランが天然に存在する一番重い元素です。それ以降の元素を超ウラン元素といいます。)
95番アメリシウムは94番プルトニウムの原子炉内の核反応で生成します。
非常に強い放射能を持ち、高レベル廃棄物に含まれます。
質量数241のアメリシウムは半減期432.2年で、常にアルファ線(ヘリウム原子核)を放出しながら崩壊します。
煙感知器では崩壊時に放出するこのヘリウム原子核、すなわちHe2+イオンを利用します。
簡単に原理を説明します。
感知器は、2つの電極を離して設置し、近くにアメリシウムを置いています。
この電極には電圧をかけておきます。
普通電極を離していると回路が切れているため電極は流れません。
しかしアメリシウムが電極間にヘリウムイオンを出し、これは荷電粒子なので電極間で移動可能なため電流が流れます。
電気分解でイオン性の溶液に電極を入れると電流が流れますが、これの気体版です。
この状態で火事が起きて煙が電極間に入ってくると、それが邪魔になるので流れる電流が小さくなります。
この電流の変化を計測することで煙を感知するのです。
かなり高感度であり、費用対効果が優れているので諸外国では主流らしいです。
一方、アメリシウムの合成は難しく、さらに放射能も強く、廃棄も困難であるためある程度は高価になってしまいます。
放射性の激重元素が役に立つ珍しい例です。
ほとんどの超ウラン元素は日常生活には役立たずで、むしろ放射線を出すので危険です。
今原発事故で放射能がよく取り上げられていますが、「首都圏の大気に0.00何ミリシーベルトの放射能が~~」なんて値は微々たるもの。
その値が相対的にどのくらいの危険さに相当するのかを理解しないまま、とても危険であると強調して報道している。
自分の部屋の天井で核反応が起こっていたりするのも知らずに、微々たるレベルの放射線で騒ぐメディアは滑稽。
マスメディアは話題性を重視していて、時にはただ世の中を不安にし混乱させるためだけの情報を流すことがあるので要注意。(だってそっちのほうが視聴率取れるし、雑誌が売れるからね。)
ちなみに、福島県の屋外をうろうろしてガンになる危険性よりも、タバコを吸っているほうがずっとガンになる可能性が高かったりするとかなんとか。
(正しい調査結果を見たわけではないので本当か筆者は知らないが、たぶんその通りタバコのほうが危ないと思う。)
知識を付ける、これがわが身を守るための一番大切な方法かと思う。
旅先から帰還しました。
双子パンダ見に白浜のアドベンチャーワールド行ってました。
想像以上にかわいかったです。
後、白熊は実は肌は黒くて毛が半透明ということを知りました。
白熊 2011/2/12筆者撮影(アドベンチャーワールド)
これが寒い北極で体温を得る知恵なのです。
物質の色とは、その物質が吸収する光の補色になります。
というのも、白色光は赤・青・緑の光の三原色が足し算されたものですが、 そこから物質による吸収によって赤色が欠損したとすると、跳ね返ってくる光は青+緑=青緑になります。
逆に言えば青緑色の物質は赤色の光を吸収します。
黒色は赤・青・緑をすべて吸収してしまう色といえます。
光はエネルギーを持つので、物質は吸収するとエネルギーを得て主に熱として発散します。
黒色は可視光の全ての波長を吸収できるので太陽の光を効率よく熱に変換できます。
だから白熊は黒色の肌で、かつ体毛は光を透過する半透明が都合がよいのです。
今日はセンター二日目、いわゆる「理系の日」でした。
さっきネットに上がったセンター化学を早速解いてみました。
解いて見ましたが、特別難しい問題はありませんでした。
ここ数年に比べて今年は計算問題が楽だった気がします。
あと、有機化学も優しめだったと思います。
が、強いて言えば第4問の問4、クメン法を覚えてなかったら厳しい。
クメン法の反応は高校化学では説明ができないので、覚える他にない。
受験では「覚えるしかない」っという面がどうしても存在するのが悲しいところ。
あと第3問の問1、ヘリウム・ネオン・アルゴンの問題。
「これらの気体は、いずれも空気より軽い。」が、アルゴンが空気より重いからあやまり。
気体の空気と比べての「重い・軽い」は、その気体の分子量が空気の平均分子量29より大きいか小さいかで判断する。
例えば水素は分子量2で29より小さいから空気より軽く、風船に詰めると浮いて飛んでいく。
ベンゼンの蒸気なら分子量78だから空気より重く、床に滞留する。
アルゴンは40なので空気より重い。
しかしアルゴンの分子量(単原子分子だから原子量と等しい)を覚えているかどうかも問題。
ここで、原子量は"だいたい"原子番号の2倍になるという裏技がある。
例えば酸素は原子番号8番だから原子量16、合う。
硫黄は16番だから32、合う。
原子番号は周期表を書いたらわかるので、周期表さえ書ければ原子量は大体わかるということになる。
だがあくまで目安であり、例えば原子番号1番の水素は原子量1で合わない。
あと原子番号が大きくなると合わなくなってくる。
53番のヨウ素は原子量127で全く合わない。
アルゴンも、原子番号18だが原子量40でぴったりは合っていない。
しかしまあまあ近いので、今回の問題のようにざっくり大きさがわかればいい場合はかなり有効な方法だと思う。
第3問の問3、黄リンと赤リンの問題なんかも意外と悩む人多いかも。
単体のリンは身近にないからわかりにくいようで。
が、マッチの赤い頭、赤リンです。
マッチの頭は擦ったら燃える。
リンは可燃性と言うことです。
でもマッチは自然発火しないでしょう。
自然発火したらスモーカーは怖くてマッチを持ち歩けませんね。
こう考えると、赤リンは身近にあるし、身近な例から考えると覚えやすい。
一方黄リンは危険で身近にありません。
猛毒で触っただけで皮膚がただれ、空気中で自然発火します。
だから水中に沈めて保存します。
あと、文句を言うなら第3問の問6。
要するにどのイオンの組み合わせなら沈殿するかという問題。
条件の指定がなさ過ぎる。
温度と濃度の指定がないと沈殿するかの評価は出来ない。
"溶ける"食塩だって濃度が高すぎると沈殿する。
温度が変わると物質の溶解度は大きく変わり、「溶解度の低い物質」と「溶解度の高い物質」の溶解度が逆転することなんてよくある話。
「次のイオンの組み合わせの塩は"水に可溶かどうか"~~~」っという問題なら良かったと思うのだが・・・
まあ批判したいわけじゃないのでこのへんで。
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