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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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最近忙しくて更新頻度が低下傾向に・・・

今週提出した実験レポートは25ページに上りました。

う~む・・・実験レポートにはなかなか時間を取られる・・・

さて、その実験レポートに出てきた分子を紹介しましょう。

今日の分子 No.33 アセトアニリド C6H5NHCOCH3


Jmolで描画


昔使われていた解熱鎮痛剤。

副作用があるのでアセトアミノフェン(アセトアニリドのp位にヒドロキシ基が付いたバージョン)に取って代わられた。

化学的には、酸とアミンが脱水縮合した-NH-CO-というアミド結合を持つアミドと呼ばれる有機化合物である。

アニリンC6H5NH2と酢酸CH3COOHが脱水縮合したものであるが、普通アニリンと無水酢酸(CH3CO)2Oから合成される。

C6H5NH2 + (CH3CO)2O → C6H5NHCOCH3 + CH3COOH

この前の実験ではアセトアニリドを混酸(硝酸と硫酸の混合物)でニトロ化してp-ニトロアセトアニリドを合成しました。

C6H5NHCOCH3 + HNO3 → C6H4(NHCOCH3)(NO2) + H2O

ちなみにアニリンはオルト-パラ配向性なので、ニトロ基で置換されるのはo-位かp-位ですが、立体で的な込み合いのためにp-位に入りやすいです。

アセトアニリドやアセトアミノフェン、アミドやニトロ化、無水酢酸との反応などは、高校化学でもかなり重要なものなので要チェック。
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放課後化学講義室「演習」のページに置いてある問題/解答をPDFファイルにしました!

これで体裁が奇麗になったし、分数を見やすい様に変更!


そして・・・またやられた・・・

硫酸の野郎め・・・まさか靴まで飛んでやがったとは・・・

今朝靴履くときに、靴が円形に穴空いてました・・・

てなわけで今日は憎き硫酸を紹介。


今日の分子 No.32、硫酸 H2SO4


WinMOPACで計算・描画 ※二重結合省略


酸化数Ⅵの硫黄のオキソ酸。

硫酸の工業的製法は接触法と呼ばれ、高校化学では重要。

1. 硫黄の酸化

S + O2 → SO2

2. 二酸化硫黄の酸化(酸化バナジウム(Ⅴ)触媒下)

2SO2 + O2 → 2SO3

3. 三酸化硫黄の水への吸収

SO3 + H2O → H2SO4

☆ 濃硫酸にさらに三酸化硫黄を吸収させて得る硫酸を発煙硫酸という。


通常のブレンステッド酸の中ではかなりな強酸である。

さらに熱濃硫酸には酸化作用があり、

H2SO4 + 2H+ + 2e- → SO2 + 2H2O

という反応で還元されて二酸化硫黄を発生する。

すなわち酸化力のある酸であるため銅や銀とも反応できる。(※鉛は表面に不溶性塩を作るため溶けない。)

また濃硫酸には脱水作用があり、物理的な乾燥剤として用いられたり脱水反応の触媒として用いられる。

・糖(グルコース)の炭化;

C6H12O6(グルコース) → 6C + 6H2O

・アルコール(エタノール)の脱水縮合(130℃);

2CH3CH2OH → CH3CH2OCH2CH3 + H2O

・アルコール(エタノール)の脱水(180℃)

CH3CH2OH → CH2=CH2 + H2O


不揮発性の酸であるため、希硫酸であっても乾燥して濃硫酸となり脱水作用や酸化作用を示すことがある。(前日の記事参照)

他にも、(求核性のない)酸として・スルホン化剤として・硫酸エステル化剤として・ニトロ化剤として(硝酸と混合;混酸)幅広く使われ、非常に重要な化学物質である。


◎ 希硫酸と濃硫酸の使い分け

希硫酸は酸として使い、濃硫酸は酸化剤・乾燥剤・脱水反応触媒として使う。

ただし、濃硫酸は加熱しなければ酸化作用を発揮しない。


昨日の続き的な内容で。

昨日は十酸化四リンを加水分解するとリン酸になるという話だったので、それに関連してリン酸です。

今日の分子No.31、リン酸 H3PO4


WinMOPACで計算・描画 ※二重結合省略


別名オルトリン酸。

このオルトリン酸が脱水縮合で数分子くっついたポリリン酸(2分子ではピロリン酸、環をまいていたらシクロリン酸という)や、酸化数の小さな亜リン酸、次亜リン酸など仲間がたくさんいる。


昨日の記事を見てほしいが、十酸化四リンを加水分解すると生じる。

昨日の画像の右下のリン(黄色の原子)を見てみると、上のリン酸の構造と同じようになっていることがわかるだろう。


代表的なリンのオキソ酸(ヒドロキシ基と酸素が付いてる酸)であり、水に溶けて三価の酸として電離する;

H3PO4 ⇔ H+ + H2PO4-

H2PO4- ⇔ H+ + HPO42-

HPO42- ⇔ H+ + PO43-

(平衡を表す「→」と「←」が上下に組み合わさったのがPCでは出ないから「⇔」で代用)


リン酸塩には、例えば代表的なものにリン酸カルシウムCa3(PO4)2がある。

リンの製造や肥料の製造に使われる、また我々の骨の主成分でもある。

また、リン酸カルシウムに硫酸を反応させて得る過リン酸石灰(リン酸水素カルシウム)は重要な肥料である。

Ca3(PO4)2 + 2H2SO4 + 2H2O → Ca(H2PO4)2 + 2CaSO4・2H2O

この反応は高校化学でも出てきて重要!

ちなみに肥料である骨粉(リン酸カルシウム)に硫酸を反応させると、過リン酸石灰になり肥料としての能力が上がるということを発見したのは、筆者が最も尊敬する化学者;リービッヒ博士である。

他にもDNAや細胞膜はリン酸エステルから出来ていたり、知らないところで身の周り(というか身の中!?)でとても役立っているのだ!!


◎ 参考


ついに1000hit越え!!

本サイト訪問者皆様に感謝感謝。

しかし今週はやたらと忙しくて全くサイト更新ができませんでした・・・

テストにレポート・実験・バイトと、被ると結構しんどいです。


さてさて。

この前の月曜、塾で高校生がリンや硫黄系の入試問題を演習していたのですが、身近に感じないのかリン系の化合物は特に覚えていませんでした。

ということで、今日はリンの化合物の代表的な物のひとつ、十酸化四リン(五酸化二リン)について。


今日の分子No.30、十酸化四リン P4O10


WinMOPACで計算・描画 ※二重結合省略


単体のリンが燃えてできる酸化物。

腐食性があるので素手で触るのはとても危険な白色の固体。

P4O10という分子式を持つ分子であるのでその分子式どおりに「十酸化四リン」である。

が、無機化合物はしばしば組成式であらわされ、P2O5となるので「五酸化二リン」とも呼ばれる。

どっちを答案に書いても正解だが、分子式はあくまでP4O10である。


水と音を出し発熱しながら激しく反応する。

そのため脱水剤・乾燥剤として実験等で用いられる。

十酸化四リンをお湯で煮沸するとリン酸ができる;

P4O10 + 6H2O → 4H3PO4

この反応が結構わかっていない。

リン酸ができるということを覚えていないようだ。

しかし、上の構造を見てみると"PO4"の単位が繋がっているだけの構造をしていることがわかる。

このP-O-Pを水で加水分解して P-OH + HO-P にするのだから、自然とH3PO4が4つ生成するのが予想されるだろう。

高校ではこの十酸化四リンの構造をちゃんと習わないが、他の物質であっても構造を知っていればこのように生成物が予想できるのだ。

・・・っということを、黒板でP-O-Pの結合を切りながら塾生に説明すると「それはわかりやすい!」っと喜んでました、はい。


◎ 参考


今日はこの前実験で使ったヘキサンを紹介しましょう。

今日の分子No.29、ヘキサン C6H14


Jmolで描画


炭素数6の直鎖アルカン。

示性式で言うとCH3CH2CH2CH2CH2CH3

灯油やガソリンに含まれている、常温で液体の典型的な石油系の油であり、吸引すると体にかなり悪い。

非極性溶媒で、油系の分子をよく溶かす。一方水とは全然混ざらない。


同じC6H14のアルカンは他に2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、
2,3-ジメチルブタン4種類あり、これらは構造異性体の関係にある。

これら同じ炭素数のアルカンを総称してヘキサンということもあるから注意。

特に直鎖アルカンのヘキサンをn-ヘキサン(ノルマルヘキサンと読む)と言って区別することもある。


上の分構造(ジグザグが真っ直ぐ)は教科書やwikipediaで載ってますが、実は他にも形があります。

C-C結合は回転できるので、実際にはグニャグニャと鎖は形を変え続けます。

しかし安定な形と不安定な形があり、隣同士の水素原子が空間的にぶつかってしまうような中途半端な構造は不安定です。

ぶつかり合わなければ(ぶつかる程度が小さければ)、他の形もとり得ます。

計算してみると、下に示す構造も安定・妥当な構造になるようです。


WinMOPACで計算・描画


主鎖(C-C-C-C-C-C)が曲がっています。

この構造でも水素同士は距離が離れていて大丈夫です。
(専門的には「ゴーシュ配座を取っている」といいます。難。)

このように主鎖が曲がる現象はブタン以上の炭素数のアルカンで起こります。
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