一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今日(厳密には「昨日」だけど)はこの前の実験レポートを書いていたらほぼ一日終わってしまいました。
それに出てきた分子をピックアップ。
今日の分子 No.34 ブロモベンゼン C6H5Br
Jmolで描画
臭化フェニルやモノブロモベンゼンとも言われる。
芳香臭のある透明な液体で、吸引したり皮膚に付くと有毒。
引火性があり、危険物第四類引火性液体第二石油類非水溶性液体とされる。
要するに危ない物質。
が、非常に有用であり医薬品の合成などの原料となる。
特にマグネシウムと反応させてから二酸化炭素と反応させると安息香酸が合成できる等の反応が有用。
臭化鉄(Ⅲ)触媒下、ベンゼンに臭素を反応させると置換反応が起こりブロモベンゼンが生成する。
C6H6 + Br2 → C6H5Br + HBr
大学レベルでは「この反応を起こしたければこの物質を触媒として使うべきだ」というのがわかるようになる。
センター試験の問題なんかで触媒を選ばせるのとかがあるけど本当にただの暗記で面白くないと思う。
大学ではどんな経路をたどって反応が進むかというのを考えるのが主だから、もちろん触媒も考えないといけない、ということになる。
同じ要領で塩化鉄(Ⅲ)触媒下でベンゼンに塩素を反応させるとクロロベンゼンが生成する。
C6H6 + Cl2 → C6H5Cl + HCl
ベンゼンは面白い分子で、普通二重結合がある分子にハロゲンが反応すると付加反応を起こすのに対して置換反応を起こす。
が、これも大学レベルで考えて反応条件を変えると結果が変わる。
ベンゼンに塩素を混ぜて紫外線を照射すると付加反応が起こり1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサンが生成する。
C6H6 + 3Cl2 → C6H6Cl6
1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサンはこの反応で作られるため、慣用名で「ベンゼンヘキサクロリド」(BHC)とも呼ばれる。
同じ反応物からでも反応条件によって生成物が全く異なることはよくある。
大学レベルまで理解できるなら良いが、やはり難しいので大学入試では取り合えず反応条件(触媒)と生成物の組み合わせは覚えておきましょう。
◎ 参考(↓触媒選び詳しく載ってます。)
- 『ボルハルト・ショアー現代有機化学〈下〉』
, K.Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore著, 野依良治監訳, 化学同人; 第4版 (2004/06)
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クリスマスですねぇ。
キリスト教徒ではないので別にお祝いしたりもしませんが・・・
ただ、「クリスマスフェア」とかきらびやかに書いてると色々ほしくなってくるような・・・
今ほしいのはコレ、世界で一番美しい元素図鑑という元素の百科事典。
まさに美しいとしかいえない。
店頭で現物見てみても、もう表紙だけでほしくてたまらなくなりました。
そのときは「いや待てよ・・・」っとあきらめたのですが・・・
数日前も買うか買わぬか、大学の売店で悩んだ挙句所持金の関係で断念したが・・・うん、月曜買おう。
なんていったって美しい。
カラーで元素の写真がズラーっと。
しかもこの本の推薦者がすごい。
なんとノーベル化学賞受賞者のロアルド・ホフマン教授である。
※ 大学生向け--------------------------------------------------------------------------------------
ウッドワード=ホフマン則(ペリ環状反応の逆旋的とか同旋的とかのやつ)のホフマンである。
ホフマン脱離とかホフマン転移とかのアウグスト・ヴィルヘルム・フォン・ホフマンではない。
ちなみに後者はかのリービッヒ教授の弟子である。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
ロアルド・ホフマン教授の写真がウィキペディアに載っているので見てみましょう。
もう写真から良い人オーラがすっごい出てる!(なんと科学的でない表現(笑))
彼は京大の故・福井謙一博士とともにフロンティア電子理論という理論により、
現代物理学(量子力学;アインシュタインやシュレディンガーが開拓)が化学反応にも応用できるということを示しました。
今やこれなくして化学は語れぬといった状況。
いつも筆者が分子軌道計算ソフトWinMOPACで計算している分子軌道という計算結果も、この理論により反応を予測するためにある。
それほどの偉業を成し遂げたお方なのです。
で、本題に戻ると、そんな大先生が推薦するなら間違いない!!
っと本を買うお金を財布に突っ込んでる筆者です。
最近忙しくて更新頻度が低下傾向に・・・
今週提出した実験レポートは25ページに上りました。
う~む・・・実験レポートにはなかなか時間を取られる・・・
さて、その実験レポートに出てきた分子を紹介しましょう。
今日の分子 No.33 アセトアニリド C6H5NHCOCH3
Jmolで描画
昔使われていた解熱鎮痛剤。
副作用があるのでアセトアミノフェン(アセトアニリドのp位にヒドロキシ基が付いたバージョン)に取って代わられた。
化学的には、酸とアミンが脱水縮合した-NH-CO-というアミド結合を持つアミドと呼ばれる有機化合物である。
アニリンC6H5NH2と酢酸CH3COOHが脱水縮合したものであるが、普通アニリンと無水酢酸(CH3CO)2Oから合成される。
C6H5NH2 + (CH3CO)2O → C6H5NHCOCH3 + CH3COOH
この前の実験ではアセトアニリドを混酸(硝酸と硫酸の混合物)でニトロ化してp-ニトロアセトアニリドを合成しました。
C6H5NHCOCH3 + HNO3 → C6H4(NHCOCH3)(NO2) + H2O
ちなみにアニリンはオルト-パラ配向性なので、ニトロ基で置換されるのはo-位かp-位ですが、立体で的な込み合いのためにp-位に入りやすいです。
アセトアニリドやアセトアミノフェン、アミドやニトロ化、無水酢酸との反応などは、高校化学でもかなり重要なものなので要チェック。
今日は、筆者の勤める塾の或る高校三年生の生徒さんの最終授業となりました。
理由は・・・
全入試が終わったから!!
そして先週、第二志望の合格はゲット!
素晴らしい。
とりあえずしばらくのんびりして受験の疲れを抜くべきですね。
が、大学に入ってからも戦いは続く、というか真の戦いに突入していくので気は抜けぬ。
一方筆者はというと月曜からさっそく寝不足で・・・
昨日の晩、クロマトグラフィーの結果を集計しつつ、その結果が各分子と一致するかを延々と分子軌道計算したりで・・・
特に双極子モーメント(分子の極性の指標)や紫外線を当てたときの変化などを考えていました。
WinMOPACで吸収スペクトルや双極子モーメントを計算
気づいたら朝7時。
寝ずに慌てて学校へ・・・
大学生も忙しいのです。。。
最近は更新頻度が低かったです。
テストに実験、レポートとあれもこれも一気に押し寄せるからしんどかった・・・
ま、実験やらレポートは常に毎週あるんだけどね。
さてさて、今日は計算化学演習という授業がありました。
これは分子軌道計算ソフト「WinMOPAC」というソフトの計算練習をしたりするんですが、
慣れないパソコンでの化学計算であるためかみんな結構苦戦してます。
しかし、筆者はこのソフトを高校生の頃から使っているのでなんのその。
このHPにある多くの分子の画像はこのソフトを使って描いています。
このソフトは分子の形や電子の密度、分子軌道の形、生成熱などを計算することができます。
例えば先週の「今日の分子」の硫酸では、分子の形の計算結果は
WinMOPACで計算・描画 ※二重結合省略
生成熱;188.13025 kcal/mol
水素原子の電荷:+0.325(水中)
となりました。
分子の形が分かれば分子模型を組んだりして遊べて楽しい。
また、今回はH原子が+0.325の電荷を持っているという結果です。
すなわちこのHはもともと強くδ+になっているためH+になって電離しやすい、
すなわち硫酸は酸である、ということも計算で予想できます。
他にも先月(2010/11/29)のブログのように、結合角を捻じ曲げるシミュレーションなんかもできます。
という面白くて便利なソフトで、ゲームよりハマると思うんですけどね。
このソフトはオープンソースでフリーなのでネットで製作者HPからダウンロードできるのですが、
専門の英語のページだしソフト自体の使い方も結構難しい。
(だから授業でやってるんですけどね)
しかし「実践 量子化学入門」という素晴らしい本があって、これにWinMOPACの使い方(遊び方ともいう(笑))が詳しく
載っていて、その上ソフトもCDで付いているという優れもの。
筆者も高校生の時これで勉強したし、大学で今その授業でも使っています。
ホントお勧めです。
(なんか宣伝みたいになってしまった)
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