一般向け/高校生向け楽しい化け学
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いつまでも地震の話をしていても暗くなるだけなので、今日はちょっと話題を変えてみます。

ここ数日、金属を溶かして遊んでいました。

たぶんスズ(Sn)とビスマス(Bi)の合金です。

これは低温融解合金と呼ばれ、138℃という低温で融解します。
(ちなみに鉄が溶けるのは1535℃)

また、Sn-BiにさらにAg等を足した合金も低融点を示し、無鉛ハンダ(鉛フリーはんだ)と呼ばれています。

本来のハンダはスズと鉛の合金で、180℃くらいで溶けます。

鉛は体に良くないので、最近は少し高価でも鉛を含まないハンダに移行しているようです。


ちなみに上で「たぶん」とつけたのは、この金属を手に入れたのが筆者が中学生の頃で今となっては何の合金かよくわからないからです。

技術の授業で鋳造でキーホルダー作りをするとき使ったのですが、中学生の筆者が技術室からみんなの余りを大量にパクって帰ったというは青春の思い出。

ま、まあどうせ捨てられる物なんだから有効活用できたということで・・・

この前ガラクタ入れからその合金を見つけたので溶かしたりして遊んでいました。

溶かした合金を一気に水に流し入れるとこんなオブジェができました。




低温融解金属を一気に冷却したもの。2011/3/14 筆者撮影



曲線的な感じがまさに動的な液体がそのまま固まったという感じで・・・
う~む・・・芸術!


金属で銀色でキラキラしているのに、溶けて液体になってプルプルしているのはなかなか不思議な感じです。

常温で液体である水銀も、銀色の金属が変幻自在に形を変えるので幻想的です。

錬金術で盛んに水銀が用いられたのも、水銀のその幻想さと金等他の金属を溶かす不思議な性質(アマルガムを作る性質)が原動力らしいです。

最近はめっきり見かけなくなりましたが、水銀温度計が割れたときに銀色のコロコロとした粒が出てきますが、本当に液体の金属は不思議な見た目です。


水銀は唯一の常温で液体の金属元素だと持てはやされますが、よくよく考えてみると常温で液体の非金属元素も一種類だけです。

すぐ思い浮かびますか?

そう、臭素です。

しかし同じように筆者の塾の塾生に問うてみても、そのレスポンスは水銀と比べて遅い。

かわいそうな臭素・・・


ちなみに、マイナーですがガリウムは融点が27.78℃(※29.8℃とする文献もあり)で夏場限定の液体金属です。

また、アルカリ金属も低融点で、周期表で下に行くほど融点が下がっていってセシウムで28.4℃です。

意外と液体もどきの金属元素は多い。

一方、非金属の単体で0℃~40℃の常温付近で液体なのは臭素しかない。

強いて言えばリンが44℃で溶けるが、夏場でもなかなかその温度にならないだろう。

だからむしろ水銀よりも臭素の方がより唯一の液体元素なのに!!


さらにちなみに。

他にも金属は合金にすると融点が下がる例は色々ある。

ナトリウムとカリウムの合金(通称NaK、ナック)は融点-11℃(Na:K=22:78のもの)でなんと常温で液体の合金である。

金属が液体で使えることにはメリットがある。

例えばNaKを化学反応系に入れれば攪拌するだけで反応物と金属が混ざり合うので、単に固体のNaやKを使うより高い反応性が期待できる。

また金属は熱伝導性が非常に良いので、液体金属使えば変幻自在に充填できる熱媒体として使える。

多量の熱が出る原子炉や高速増殖炉で熱を逃がすためにNaKや加熱して融解したNaが用いられる。

しかしNaKやNaが漏洩すると、そのおなじみの反応性により空気中で発火・爆発するので非常に危険である。

そして実際液体Naの漏出が高速増殖炉もんじゅで過去に起こっている。

・・・不本意ながら結局原子炉は危険という話になってしまった。

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