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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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昨日・今日は大学のいろんな先生たちが講義毎に「ノーベル賞がノーベル賞が」と言うほど現在化け学専攻は活気付いています。

現在、少なくとも今回のノーベル賞の研究が発表されたときは、日本の化学のレベルは世界トップレベルにあるorあったと言えます。

正直そんな化学大国日本で化け学を勉強できている自分は幸せだなと思います。

しかしノーベル賞の根岸さんもテレビで言っていましたが、日本は居心地がいいがもっと留学などで世界に出ろと。

筆者も留学には興味はあるのですが、ちょっと英語に自信が・・・

ちゃんと英語勉強しよっと・・・


さて。昨晩以前掲載した雷酸の分子構造の画像を訂正しました。

というのも、どうも筆者がWinMOPACでの設定をミスっていたようで、要するに計算ミスです。。。

申し訳ございません・・・が、他にもミスをすることもあると思うので、そのときは言ってください。

しかし今回の計算ミスで面白いことに気づきました。

雷酸の"正しい"構造と"誤った"構造の計算結果を見てください。


"正しい"雷酸の構造WinMOPACで計算・描画



"誤った"雷酸の構造WinMOPACで計算・描画


要するに水素がCについているかOに付いているかです。

水素イオンが電離した雷酸イオンの構造は

-C三N+-O-

です。なので上の構造は水素イオンが炭素に帰ってきたか、酸素に帰ってきたかの違いです。

結論を言うと、水素イオンは炭素に帰ってきます。

また、珍しいことに炭素についている水素が電離しています。

なぜ雷酸イオンは炭素が水素イオンを受け入れるのでしょうか。

なぜ雷酸は本来あまり電離する例のない炭素の水素が電離するのでしょうか。


あともうひとつ気づきました。

"正しい"構造では H-C三N+-O-

"誤った"構造では -C三N+-O-H

です。この構造式を見ると、どちらもC-O-Nは直線のはずなのですが、上の構造の計算結果を見ると"誤った"構造は少し曲がっています。

なぜでしょうか。

この二点について昨晩ひたすら考え、計算し、研究しました。

するといくつか仮説がたちました。

それはできればそのうち研究レポートとしてまとめてアップしたいと思います。


で、言いたいことは、こんなしょうもない計算ミスでも考えてみれば面白い発見ができるということ。

ノーベル賞もそういうことが多いですよね。

たとえばクラウンエーテルの発見など。

これも違うものを作ろうとしていたとき偶然見つかったらしいです。

このように偶然発見することを「セレンディピティー」といいます。

今回ちょっとしたそんなのが体験できたので、いい経験になったと思います。


失敗は成功の素
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日本人がノーベル化学賞に選ばれましたね!!

パラジウム触媒の功績ですが、筆者もまだあんまり情報を仕入れてないので今後のニュースに期待。


さて、昨日に引き続き電磁波と身の回りの化学の話をします。

赤外線という電磁波を当てると O-H 結合の振動は活発化しました。

ではマイクロ波という電磁波を水 H2O に当ててみるとどうでしょうか。

今度は結合の伸縮運動ではなく、分子の回転を活発化します。

マイクロ波で回転する水分子


この場合も分子の運動が活発化しているので温度が上がります。

マイクロ波の持つ振動数が水分子を回転させるのにちょうどよいのです。

この現象を応用したのが電子レンジ。

電子レンジは英語で言うと"マイクロウェーブ"。

その名の通りマイクロ波を中にセットした食品に当てる機械です。

その食品に含まれる水にマイクロ波が当たると熱運動が活発化されるので温められるという原理です。


ちなみに分子やその構造によって、どんな波長の電磁波を当てるとどんな運動(回転・振動)が活発化されるかは異なります。

何故かというと、量子化学的に考えるとエネルギーは飛び飛びの値しか取らないから・・・っとなるのですが、多少難解なので今回は割愛。


ちなみにラジオ波では原子核に、紫外線では電子に影響を与え、様々な現象やそれを応用した装置等が研究・開発されています。


今日は大学の講義で先生が赤外ストーブの話をされていたので紹介してみることにしました。

「赤外ストーブ」とか「遠赤外ストーブ」という暖房器具を使ったことがありますか?

スイッチを入れると赤く光るやつです。

Googleで検索してみれば「あーこれかー」みたいな写真がすぐ見つかると思います。

このストーブは、普通のストーブのように火を焚いて部屋を暖めているのではありません。

その名の通り赤外線と呼ばれる一種の光(赤色の光より波長が長い電磁波)を出しているのです。

ではなぜ熱を出していないのに温まるのか、この原理を考えてみましょう。


まず分子というものは、球のような原子が、バネのような結合でつながったものと考えることができます。

なので、原子と原子の結合は常にビヨンビヨン伸びたり縮んだりしています。

ばねのように伸び縮みする分子


また"熱"というものは実は分子の運動の激しさを表しています。

分子や結合が激しく運動・振動すれば温度は上がります。

なので、この伸び縮みの振動を活発にすると温度を上げることができます。


まず、私たちの体の表面や中にはたくさんのヒドロキシ基(-OH)があります。

とくに表面にあるものを表面水酸基といいます。(水酸基とはヒドロキシ基の古い言い方。)

ヒドロキシ基も同様に O-H が伸びたり縮んだりしています。

表面水酸基の伸び縮み


実は赤外線はこの O-H 結合の振動を活発にするちょうど良い振動数を持っています。

したがって赤外線を私たちの体にある表面水酸基に当てれば振動が活発化し、暖かくなります。


という原理です。

赤外線であるのには意味があって、「ちょうど良い振動数」というのがポイントです。

ちょうど良い振動数から大きくなっても、小さくなっても駄目です。

明日は他の場合の「ちょうど良い波長」を紹介します。


昨日は脂肪酸について紹介したので、今日はそれと関連して脂肪酸とグリセリンから成る油脂を紹介します。

「今日の分子」No.12、ジパミトイルカプリリルグリセロール CH2(OCOC15H31)CH(OCOC15H31)CH2OCOC7H15


Jmolで描画, クリックで拡大


3つ脂肪酸とグリセリンから成るエステルを油脂といいます。

ちょうどバナナの房のようで、ヘタのようなグリセリンにバナナのように3つ脂肪酸がぶら下がってます。

上の分子では、右下の部分がグリセリンで、そこに2つのパルミチン酸(C15H31COOH)と1つのカプリン酸(C15H31COOH)が縮合しています。

分子の名前を見てみましょう。

グリセロールとありますが、これはグリセリンのことです。

名前は要するに、2つのパルミチン酸・(1つの)カプロン酸とグリセリンのエステル、ということです。

昨日「今日の分子 No.11」で書いたように、これに水酸化ナトリウム水溶液を加えるとけん化されて3つの脂肪酸ナトリウム(パルミチン酸Na×2 + カプリン酸Na)とグリセリンが生成します。


昨日 リンスインシャンプーの化学 をアップしました。

日ごろ使っているシャンプーやリンスですが原理を知っている人は少ないと思います。

リンスインシャンプーなんかは実は結構面白い化学的現象を組み合わせてるんで、ぜひぜひ読んでみてください。

で、それに出てきた分子をちょっと紹介します。


「今日の分子」No.11、ラウリン酸ナトリウム C11H23COONa


Jmolで描画


名前を正しく言うとドデカン酸ナトリウム。

ラウリン酸やステアリン酸等、長いアルキル基にカルボキシル基(-COOH)が付いたカルボン酸を脂肪酸といいます。

これらの脂肪酸とグリセリンとのエステル(酸とアルコールが脱水縮合したもの)は動植物の油脂に含まれるため、脂肪酸と呼ばれるのです。

脂肪酸とグリセリンのエステルに水酸化ナトリウム等を加えると加水分解して脂肪酸ナトリウムとグリセリンになります。

またこの反応を"けん化"といい、"けん"はセッケンの"けん"です。

要するにセッケンになるという意味で、ラウリン酸ナトリウムもセッケンに使われます。

なぜラウリン酸ナトリウムがセッケンとして機能するかは リンスインシャンプーの化学 を見てみてください。

ちなみにこのけん化反応やセッケンの原理は高校化学でも重要な単元なのでちゃんと理解すること。
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