一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今日は面白い話を聞いたのでこの分子。
今日の分子 No.18、オゾン O3
Jmolで描画
酸素O2の同素体で、酸素以上に酸化力に富む気体分子。
特有のにおいがして青色で有毒。
空気に紫外線を照射したり酸素中で無声放電したりすると発生。
テレビなどの電化製品で特有な不思議な匂いを嗅いだことはないだろうか?
電化製品の電流によって空気中の酸素が化学変化してオゾンになり、あの匂いがするらしい。
また、地上から約10~50kmほどの成層圏に「オゾン層」があるのは有名。
この層にあるオゾンが、太陽から放射された有害な紫外線を吸収してくれるので重要。
なので或る意味かなり我々に関係のある分子です。
オゾン層の破壊だとか、フロンガスが悪いだとかはもう知っての通りだろう。
今日の講義でオゾンの面白い話がありました。
まず、オゾン分解というものをお知りだろうか?
>C=C< という構造のアルケンにオゾンを反応させると >C=O + O=C< のように、2つのアルデヒドまたはケトンに分解されるというものです。
ようするにアルケンが二つにぶち切られるという反応です。
このオゾン、実は実験室ではオゾン発生器なる機械からクーラーの送風のようにガンガン発生させるようです。
そのオゾンの風にゴム手袋を当てると、ゴム分子の二重結合が次々と千切り去られて、ブチブチとゴム手袋が切れていくらしいのです。
また、我々の体を構成する脂肪酸にも二重結合があるので、腕をその風に当てると千切れるということはないけどかなりダメージを受けるとか。。。
オゾン発生装置があっても、扇風機と間違えて涼まないようにしましょう!!
・・・ってそんなことないか(笑)
◎ 参考
・ 筆者の大学の先生の有難いお話
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現在高校二年生は有機化学に突入したあたりのようです。
筆者が明日受け持っている塾の講義でアルカンの構造や異性体について説明するために分子模型を持って行こうなどと思っていると、筆者が高校生のころ見た或る問題を思い出した。
「直鎖アルカンの沸点は炭素数に対してほぼ等差数列的に増えていくので沸点の予想ができる」というものだ。
その問題ではエタン・ブタン・ペンタンの沸点が示してあって、プロパンは大体どんな値か?みたいな問題だったと思う。
しかしメタンだけはやたらと低い、なぜならば他のアルカンが細長いのに対してまん丸な感じだから法則に乗らない、と。
なんとなく、ネットで適当に調べた沸点を並べてみた。
確かにエタンやブタン、プロパンはほぼ直線的に沸点が増加しているように見える。
しかしグラフにしてみると、対数関数のように少しなだらかになっていっているような気が・・・
面白くなってきたので炭素数1のメタンから炭素数21のヘンイコサンまでズラーっと並べてみると・・・
沸点(K)と炭素数の関係 ※クリックで拡大 |
なんと炭素数に対しかなり綺麗な曲線を描いているではないか!!
しかも、長期的に見ればメタンも曲線にちゃんと乗っているように見える。
すなわち高校のときに見た問題は線形近似的に見ていたので欠陥があったが、実際はもっと美しく複雑な関数だということだ。
この曲線がどんな近似式で表されるのか、対数近似や累乗近似をしたが微妙であった。
しかし y=√x のグラフに似ているような気がしたので、ためしに炭素数に対して沸点の二乗をプロットしてみると
沸点(K)の二乗と炭素数の関係 ※クリックで拡大 |
かなり直線に近い!!(すなわち予想と近い!)
それからもうひとつ、炭素数の平方根に対して沸点をプロットすると
沸点(K)と炭素数の平方根の関係 ※クリックで拡大 |
これも直線に近く、予想はあってそうだ。
すなわち、アルカンの沸点は炭素数の平方根にほぼ比例する。
しかしこの二つの方法で得られた近似式はどちらもちょっと誤差が大きい。
なので試しに軸を入れ替えて二次関数に近似すると
炭素数と沸点(K)の関係 ※クリックで拡大 |
おお!かなり近い!!
上の曲線の式は炭素数を求めるものであるが、沸点を求めたいときは逆関数を考えればよい。
まあ実際に求めるときはExelのゴールシーク(方程式解いてくれるツール)使うけどね。
ただし、誤差の関係でメタンの沸点が二次関数の最小値以下になってるからうまく出ないけど、それはもう目をつぶることにした!
・・・ということで、直鎖アルカンの沸点は炭素数の平方根にほぼ比例する、ということでした。
今日面白い物質(?)をネットで見つけた。
その名も「水素水」H4O
"マイナス水素イオン"が溶けていて、還元力があって飲んだら万病に効くらしい!!
( ゚Д゚)ハァ? アリエネーヨ!
↑筆者の感想。
限りなくインチキ臭い・・・というかインチキだろ!!
じゃあ仮に水H2Oに水素イオンH+が2つくっ付いたとしよう、するとおそらくオキソニウムイオンH3O+を経てH4O2+になるだろう。
しかしこれでは電荷を持っているからH4Oではない。
それにこれじゃ還元力もへったくれもないから違うのだろう。
ちなみにオキソニウムイオンH3O+は酸性溶液中に存在しますが、H4O2+は存在できません。
ではオキソニウムイオンH3O+とヒドリドイオンH-が作った塩H-[H3O+]だとしたら?
そうすれば全体として電荷はないし、還元力のあるヒドリドイオンH-もある。
しかし残念ながらこれも無理がある。
具体的にH3O+とH-を出会う場合を考えてみよう。
H3O+は酸性溶液に多く含まれ、またただの水にも水の電離によって存在している。
酸性溶液に水素化ナトリウムNaH(Na+とH-の塩)を加えてみるとしよう。
すると
H3O+ + H- → H2O + H2
塩なんてできない。
すなわちH4Oは存在できないのだ。
しかも或るH4Oの販売サイトでは、その分子モデルを平面で描いている。
「H4O」の構造?? |
有り得ない。もう悲しくなってくる。
最低でも正四面体で描いて欲しかった。
分子軌道的に考えると、こんな角度の結合は酸素には不可能である。
ちなみに"マイナス水素イオン"はおかしい。
これがH-を指すのなら「ヒドリドイオン」と言うべきだ。
というか、この世に氾濫している「マイナスイオン」という言葉自体科学用語ではない。
陰イオン、もしくはアニオンというべきだ。
正しい科学用語を使わない・理論原理を明記しないのは、逆に正しい化学からの批判をしにくくするのにも役立っていそうだ。
このようにインチキ化学はかなり身の回りに溢れている。
しかしちょっと化学の知識を持っていれば騙されないだろう。
もちろん必ずしもインチキだとは言い切れないし、今後の研究で効果が立証されるものもあるかもしれない。
しかし少なくとも疑うことはできるはずだ。
そして化学の知識が十分でない人にもっともらしいインチキ説明を付けて商売しようとする人間は、工学倫理に反していて化学者として最低である。
というか、化学じゃないから化学者ですらない。
"勉強する"というのは、"騙されないようになる"ということである。(って大学の先生が言ってた!!)
「専門でもないのにただの高校生が何で化学なんて勉強しなきゃいけないんだ!将来に何の役立たん!」って思う方は多いかと思いますが、学校での勉強は基本的に「生きるため」にある。
騙されないように知識をつけましょう。
特にダイエットや健康食品にインチキが多いです。
ゲルマニウム、活性水、ホメオパシー・・・・
自分の身は、まず自分で守らないと駄目なのです。
そして検索を進めていくと・・・
「活性水素水」と「活性水素水」は別物??
水素ラジカルH・の理論もある?
でも結局"疑似科学"??
知らんわ!!!(笑)
今日も基本的で重要な化合物について紹介します。
「今日の分子」No.17、アセトアルデヒド CH3CHO
Jmolで描画
溶媒や試薬として重要な有機化合物。
水も油もよく溶かすため、実験室でビーカー等の器具を洗うのに使われたりする。
しかも揮発性が高いので、洗ったビーカーがすぐ乾くという利点がある。
しかしアセトアルデヒドは有毒かつ高い引火性を持ち、危険。
消防法では特殊引火物として危険物指定されている程。
なのでもう少し危険性の低いアセトンもよく使われる。
アルデヒドは第一級アルコール(※)の酸化により作られる。
CH3CH2OH(エタノール) → CH3CHO(アセトアルデヒド)
ただしアルデヒド類は還元性が強く、すぐに酸化されてカルボン酸になってしまう。
CH3CHO → CH3COOH(酢酸)
なのでアルデヒドを作るときは"穏やかに"酸化しなければならず、加減が難しい。
実際に大学レベルでアルデヒドを合成するときは、ちょっと複雑なPCC(クロロクロム酸ピリジニウム)という穏やかな酸化剤が用いられる。
(※)第一級アルコールとは
アルコールはヒドロキシ基(-OH)が付いているアルキル基の種類で大きく分けて3種類に分けられる(重要!)
○ 第一級アルコールは、CH3-OH、またはR-CH2-OHの場合。
例;メタノール CH3-OH、エタノール CH3CH2-OH 等
第一級アルコールは酸化されてアルデヒド(R-CHO)に、さらに酸化されてカルボン酸(R-COOH)になります。
○ 第二級アルコールは、R2-CH-OHの場合(-OHのあるCに2つのアルキル基が付いている)
例;2-プロパノール CH3CH(CH3)-OH
第二級アルコールは酸化されるとケトン(R-CO-R')になり、これ以上酸化されません。
○ 第三級アルコールは、R3-C-OHの場合
例;2-ブタノール CH3C(CH3)2-OH
第三級アルコールは酸化されません。
アルコールの種類は難しいのでまた今度詳しく解説しましょう。
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さて、今日は昨日・一昨日の分子と関連してこんな分子です。
「今日の分子」No.16、酢酸メチル CH3COOCH3
WinMOPACで計算・描画 ※二重結合は省略
「今日の分子」No.15の酢酸とNo.14のメタノールが脱水縮合反応(エステル化反応)でくっ付いた分子。
この様に酸とアルコールから水が取れてつながってできた化合物群をエステル、時にカルボン酸エステルといいます。
またこの分子中にあるR-COO-R'の部分をエステル結合といいます。
酢酸メチルはマニキュア落しや有機溶媒として使われる、特有のにおいを持った分子。
ちなみにエステルは果物に香りの成分として含まれたりしていて、酢酸メチルや酢酸エチルのような低分子量のエステルは甘い良いにおいがします。
しかしとても引火しやすく、引火性液体として危険物指定されていたりもします。
酢酸とメタノールに硫酸等の酸を添加して
CH3COOH + CH3OH → CH3COOCH3 + H2O
という反応で作られます。
しかしこの反応は可逆反応なので、逆に酢酸メチルに硫酸等の酸を添加した水を反応させると
CH3COOCH3 + H2O → CH3COOH + CH3OH
という反応が起こって元のメタノールと酢酸に加水分解することができます。
また、このとき酸ではなく水酸化ナトリウム等の塩基を反応させると
CH3COOCH3 + NaOH → CH3COONa + CH3OH
と分解(けん化)されるが、こちらの反応は不可逆反応なので逆反応は起こりません。
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