一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今日もさらにこの前の実験(10/29ブログ参照)に関するものをば。
今日は器具ではなく分子で。
今日の分子 No.24 ベンズアルデヒド C6H5CHO
Jmolで描画
最も簡単な芳香族アルデヒド。
酸化されると安息香酸C6H5COOHになる。
とても特異な芳香がする、そうまさに杏仁豆腐の匂い。
実験中みんなで「あぁ・・・なんかいい匂い・・・」と有機化合物の匂いを嗅ぎ続ける(ざるをえない)
というちょっぴりアブナいムードになっていたが、スルーしよう。
ちなみにベンズアルデヒドは杏や桃に含まれているため、本当に杏仁豆腐の匂いがするのだ。
というか、正しくは杏仁豆腐がベンズアルデヒドのにおいがする。
現物はこれ↓
2010/10/28 筆者撮影
先日紹介したように減圧して蒸留したものである。
元々は不純物で黄色かったが、綺麗な透明になって感動。
ちなみに先生が実験中
「みんなもっとテンション上げて!楽しく実験して!!ほら見て、今まさに液面からベンズアルデヒドの分子の粒が飛び出してるのを!ベンズアルデヒドの気持ちになって!!!」
・・・っとちょっと暴走気味であったが、なんしか実験は楽しい。
まあ途中で心折れそうになるしんどいのもあるけどね(むしろコッチのほうが多い??)
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もう11月ですね。かなり寒くなってきました・・・
では一昨日までの実験の器具紹介を続けましょう。
今日の器具 No.3、ダイヤフラムポンプ
写真右奥の白い箱のような機械がダイヤフラムポンプ。
空気を吸い込み減圧することができる装置である。
リービッヒ冷却管につながっているアダプターにつないだゴム管をポンプにつなぎ、蒸留している部分を減圧している。
そうすることによって物質の沸点が低くなるので、低温で蒸留することができる。
このように減圧して蒸留することを減圧蒸留という。
減圧蒸留は、高温にしてしまうと分解してしまうような物質でも蒸留できるという利点がある。
減圧すると沸点が下がるというのは、山に登ると気圧が下がるので100℃以下で水が沸騰するというのと同じ原理である。
富士山の山頂では90℃くらいでも水は沸騰してしまうという。
ダイヤフラムポンプの減圧力はすごいので、このとき蒸留したのはベンズアルデヒド(沸点179℃)であったが53℃で沸騰した。
しかも操作は簡単、つないでスイッチON、以上!
恐るべしダイヤフラムポンプ!!
◎ amazonでも売ってるようだ。今見た中で一番安いのがコレ↓。案外安い。ちょっと見た目イカツイけど。
昨日・一昨日の話の流れから言うとこの前の実験に関する器具の紹介や分子の紹介をするところだけど、今日はハロウィンなのでちょっと脱線。
さぁ「ハロウィン」から化学を考えてみよう。
ハロウィンといったらどんなイメージが浮かぶか。
おそらくカボチャと仮装。
イメージカラーはオレンジ色と黒。
ではこのハロウィンの象徴である「カボチャ」と「オレンジ色」について化学しよう。
カボチャがオレンジ色をしているのは、中学の家庭科で習ったように緑黄色野菜であり、栄養素のβ-カロテンが含まれているからだ。
ニンジンやパプリカ等も緑黄色野菜で、その色の成分は同じくβ-カロテンである。
「え!?こんなのがオレンジ色の素なの!?」と思うかもしれない。
しかしむしろ筆者はこれを見たら「色つきの分子かな・・・」と思う。
それはなぜか。
分子を見てみると単結合と二重結合が交互に長く並んでいる。
このような分子を共役π電子系有機色素化合物といい、筆者の専売特許の分野だ。
このように交互に単結合と二重結合が長く並んでいる分子は或る波長の可視光を吸収するため色が付く。
(π-π*遷移による。理由は難しい。)
絶対に高校で習う色つき分子のp-フェニルアゾフェノール(別名p-ヒドロキシアゾベンゼン・4-ヒドロキシアゾベンゼン)も、よく見てみると単結合と二重結合が交互に長く並んでいる。
Jmolで描画
ジアゾカップリングで有名な橙色の分子。
化学は日常生活にいくらでも転がっている。
ハロウィンからでもこんなにまで連想できるのである。
皆さんも日常のいろいろな化学について考えてみましょう。
昨日に引き続き、この前の実験の写真から器具を紹介します。
今日の器具 No.2、ナス型フラスコ
2010/10/28 筆者撮影
なすびみたいな形をしたフラスコ。いわゆる「ナスフラ」。
昨日の写真で言うと左の加熱しているフラスコと、右のこの蒸留された液体が溜るようになっているフラスコである。
三角フラスコ等と違って底が丸いため立たせることができない。
なので写真のように吊り下げたり、クランプで挟んでスタンドに固定する。
ちなみにリービッヒ冷却器やナスフラのように、他のガラス器具とつなげて使う器具は写真のように口にツノみたいなのが付いている。
それを写真のように輪ゴムで留めることにより楽々繋げることができるのだ。
ナスフラは高校で習わなかった気がするが、要するにフラスコである。
フラスコには三つ口フラスコやマイヤーフラスコ等他にもいろんな形があり、実験の状況に合わせて使い分けます。
◎ なんかナスフラ高いんだけど・・・どういうことなの?↓
「白衣の汚れ方には特徴的な分布がある。
ポケットの辺りにベルト状に分布するのだ―――」
ポケットの辺りにベルト状に分布するのだ―――」
筆者の高校の頃の化学の先生はそう言っていた。
初めは「ホンマかいな~」と思っていたが、筆者が実際に白衣を着て実験するようになると、本当にそうだった。
次の写真を見てもらいたい。筆者が実際に使っている白衣である。
筆者の白衣(2010/9/5撮影)
写真ではパッと見綺麗に見えるかもしれないが、実際は結構カラフルになってしまっている。
しかしその汚れが集中しているのは腰から股上、すなわちポケットの高さに横並びである。
もう少しわかりやすく見ると、一目瞭然。
下の写真で赤に囲っているところが他の箇所と比べてやたらと汚れが多い。
白衣のポケット周辺
なぜだろうか。何か理由があるはずである。
読者の皆様、一度椅子から立って、腰の辺りを見てください。
机のフチと自分のズボンのポケットが同じくらいの高さではないだろうか。
実はどうやらこれが原因らしいのだ。
こぼれたりして実験台のフチには薬品が付いていることが多い。
ここにちょうど同じ高さの白衣のポケットの辺りがすれて、白衣に薬品が付着する。
しかも筆者のようなずぼらな人間は、手が濡れたら「パンパンッ」っとフトモモの側面で拭いたりするのをご存知だろう。
いわゆる「服で拭かない!!」って怒られる行為である。
それを薬品が付いた手(洗ったつもりでも少しは付いている)で同じようにするから、さらにそのポケット辺りに汚れが付くのだ。
ということで、二重の効果でポケット辺りにベルト状に汚れが付くのだ。
ちなみに不揮発性の硫酸は、もともと希硫酸でも水だけ蒸発し濃硫酸になり実験台のフチに残り続けるという厄介な性質がある。
そのため白衣のポケットが焦げて穴が開くという現象が起こるらしい。(高校の先生談)
また、厄介なことに有機化合物などの薬品が付いたとき、大抵そのときは無色透明でわからない。
二三日たって見てみると大量のカラフルな点々が・・・!っということがある。
これは付着した有機物が空気中の酸素により酸化されて重合し色が付くかららしい。
皆さんも白衣を汚したくなかったら実験台にはあまりもたれかからず、かつ手で服で拭かないようにしましょう!
○ 白衣豆知識
ちなみに・・・・
普通はあまり日常生活でなじみがない白衣は、実はいろいろ機能的なデザインになっている。
例えば襟。
本来白衣は体を薬品から守るために出来ているので、普通に考えたら首までキッチリした服であるほうが良い。
しかし皆さんのイメージや写真のように、胸まで開いている。
実はこれ、白衣に付いた薬品に引火して燃え出したとき、襟をつかんで開いてずりおろせばボタンを外さずに脱げるようになっているためなのだ。
また、おそらく写真の白衣にはイメージと違う箇所があると思う。
例えば袖口。
なんだか絞りになっていてダサイ。
しかしこれはとても重要な構造なのだ。
お医者さんの白衣には絞りは付いていないが、化学者には必須。
もし袖口が絞られていなくて開いていると、そこにフラスコ等が引っかかってこかしてしまうことがある。
要するにオバちゃんが台所仕事するときに袖にゴムをつけてくくるのと一緒なのだ。
このように、白衣は化学実験しには必須のアイテムなのだ!
◎ 参考・出典
・ 筆者の高校の化学の先生のお話
・ 筆者の大学の化学の先生のお話
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