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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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前回の実験に関連して分子を紹介します。

今日の分子No.26、次亜塩素酸 HClO


Jmolで描画


次亜塩素酸は弱酸であり、不安定なため単離できず水溶液としてのみ存在する。

次亜塩素酸やその塩は酸化性があり、酸化剤・漂白剤・殺菌剤として使われます。

例えば次亜塩素酸ナトリウムは家庭用の漂白剤に使われている。酸化剤として使えることは昨日の記事に書いたとおりです。(思い出したくないけど(^^;))

また、水酸化カルシウムと塩素を反応させて作られるCaClO2 (CaCl(ClO)・H2Oとも)はさらし粉として知られ、プールの消毒等に使われる。


次亜塩素酸は水に塩素を通じると生成します。

Cl2 + H2O → HClO + HCl (重要!!)

また、次亜塩素酸塩に強酸を加えると塩素を放ちます。

NaClO + 2HCl → NaCl + H2O + Cl2 ↑ (重要!)

すなわち次亜塩素酸は強酸と混合するとと猛毒の塩素ガスを発生します。

これが漂白剤に書いてある「混ぜるな危険」の意味です。

塩素系漂白剤(NaClO)と酸性洗剤(HCl)を風呂場で混ぜて塩素中毒で死亡した例があります。

逆に言えば、化学的な知識があればこのような事故を未然に防ぐことができます。

「化学者になるわけでもないのに、なぜこんなに難しいことを習わせられるのか」と思う方もいらっしゃるでしょうが、日常生活に溢れる化学物質から身を守るために役立ちます。

他の学問でもそう言えるでしょう。

歴史だって習わないとまた戦争起こしたりするかもしれないし。

だからできるだけ多くの学問を学ぶのが大切なんだと思います。


◎ 参考
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今日(厳密には昨日)の実験は散々だった・・・

実験内容は、簡単に言うと第二級アルコールの酸化。

高校化学でもおなじみの

R-CH(OH)-R → R-C(=O)-R

の反応で、第二級アルコールは酸化されてケトンになります。


次亜塩素酸ナトリウムを酸化剤として

C6H5-CH(OH)-C6H5 → C6H5-C(=O)-C6H5

の反応を起こそうとしました。

そのためにC6H5-CH(OH)-C6H5を溶かすための酢酸エチル80mlと、酸化剤の次亜塩素酸ナトリウム水溶液80mlを混ぜる必要があったのですが、実験のパートナーが

酢酸エチル80mlと酢酸エチル80mlを混ぜてくれました。

死亡フラグだ。色も違うから間違いようないだろオイ・・・

反応剤をセットしてしまっていたので、先生と相談して無理やり続行することに。

物は試し。溶媒を入れすぎたのなら反応容器を二つに分けて、そこへそれぞれ酸化剤を加えればよい。


地獄の幕開けである。


そして頑張った。無論本気で頑張った。

1.5時間後反応が終了し、そこから分液漏斗諸々を使っての生成物の分離が始まった。

しかし反応容器が2つあるから不純物の混入やロスも2倍。

分離のしにくい水が生成物と混ざってしまい、どうしようもない状況に。

この後はエタノールを加えて再結晶して精製せねばならないのに大ピンチ。

頑張って真空乾燥したが、どうしても乾燥できなかった。

仕方ないから湿ったまま無理やり再結晶操作に移る決心をした。

院生の先輩に

筆者「頑張ったらいけますよね!!」

院生「頑張ったらいける!!実験は根性でなんとかなる!」

なんとも非科学的な会話であるが、頑張ることに。

そして再結晶。

温めたエタノールに生成物を溶かす。

そして冷やして析出・・・・しない・・・!!

やはり度重なるロスで生成物が減ってしまったことが原因だろう。

絶望的状況。

振動させようが氷で冷やそうが一向に出ない。

しかしその院生の方に手伝ってもらい種結晶を入れてみると、見事析出!!!

歓声を上げた。うれしくてうれしくて、ろ過で結晶を得て精製完了!!


理論上得られる量に対する得た生成物の量の割合を収率という。

合成ではいかにこの収率をあげるかがポイントである。

この合成ではだいたい91%ほどの収率が見込めるという。

逆に言えば、70%とかの収率なら下手くそで、30%なんてクズ野郎扱いだ。


波乱万丈だったが結晶を得られた感動に浸りながら、わくわくして得た結晶の質量を測定。

測定された質量を見ると、もう嫌な予感しかしなかった。

いや、正直なところ得た結晶の量を見た時点で絶望的だった。


生成物の収率;0.3%!!


最近ちょっとこのサイトも人気に(?)なってきました!

来場者数が30人を超える日も出てきました。

ありがとうございます・・・

まだまだ少ないですが、ただの一個人のwebsiteを見に来てくれているのだと思うと、「多いなぁ・・・」っと思ってしまいます。


現在学校からの更新です。

トリス[1,5-ジフェニル-(1,2-η2)-1,4-ペンタジエン-3-オン]パラジウム

というややこしい物質を学校のデータベース検索で探すべくパソコン立ち上げたついでです(^^;)

明日の実験はベンゾフェノンをごちゃごちゃとやります。

また実験ネタがあれば載せます。


昨日掲載の器具の写真からもうひとつ挙げます。

今日の器具 No.5、アルコール温度計


2010/11/4 筆者撮影


おなじみの器具。

水銀温度計もアルコール温度計も、中の液が熱せられたときの熱膨張を利用して、液柱の高さから温度を読み取る器具です。

日常生活でも体温を測ったり気温を計ったりするものだから、みんな知ってる・・・けど最近あんまり使わないですね。。。

筆者も小さいころは水銀体温計を使っていたが、小学生の頃にはすでに電子体温計が一般的だったような気がします。

まあそれはさておき。

アルコール温度計は赤く着色したアルコールまたは灯油が使われています。

でも「灯油温度計」って言わない不思議。

ちなみに上の写真ではお手軽なアルコール温度計を使っていますが、精密な実験をするときや公的な記録をするときには水銀温度計を使います。

というのも、水銀は温度による熱膨張の割合が常にほぼ一定なので精度がいいのです。

しかも金属なのですぐ熱を伝えて観測する温度と等しくなるという利点もあります。


◎ ただし、アルコール温度計は安価だが水銀温度計は高い。↓

   



この前の実験に関して器具を紹介します。

今日の器具 No.4、四つ口フラスコ


2010/11/4 筆者撮影


反応容器として使われるフラスコ。

口が4つあるから四つ口フラスコと呼ばれる。
(写真では見えにくいけど後ろにもうひとつ口があります。)

口が3つのものも同じように三つ口フラスコと呼ばれ、必要に応じて使い分ける。

写真では湯煎で加熱してジベンザルアセトンという物質を合成している。

口が複数あると、写真のように温度計を差し込むために使ったり、
または冷却管の差込口や薬品を途中で入れるための口として使うことができ便利。

ちなみに写真では中の溶液が飛び散らないように薬包紙で蓋をしているが、普通のガラスのスリ詮を使うこともある。


◎ amazonで四つ口フラスコ売ってる!さすがに無いと思ったのに!↓


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