一般向け/高校生向け楽しい化け学
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昨日新たな化学グッズをゲットしました。
京都大学の売店で売っている周期表マグカップと周期表Tシャツです。
2011/3/21筆者撮影
前からずっと欲しかった。
(※筆者はただの化学ヲタクです。)
知り合いの京大院生様に買ってきて頂きました。
いや~筆者はそんなに頭が良くないので京大の門をくぐるなど許されざる行為ですからね。
某Sさんあざっす!
この周期表は少し変わったものです。
というのも、周期表の各コマが螺旋を巻いて周期を超えて繋がっているのです。
元素の性質の変化は連続変化するという考えからこのような形になっているそうです。
メンデレーエフが最初に周期表を考案した後、色々なグレードアップがなされてきました。
現在良く見る周期表は長周期表と呼ばれて、その見易さからよく使われていますが、他にも立体的な周期表などさまざまなものが考案されてます。
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先日、筆者がバイトしている塾の塾生(高校2年生)が学年末テストであった。
そして塾生が筆者に問うた。
塾生「大学はテストの科目どのくらいあるのですか?」
筆者「う~ん・・・化学だけで週10科目くらい授業あるからなあ・・・」
塾生「え!?化学だけでそんなにあるんですか!?」
驚くかもしれないが、一口に化学と言ってもその中には無数の分野がある。
中学で「理科」と呼ばれていたものが高校で「物理」「化学」「生物」「地学」に分かれたのと同じように、
化学も大学になれば「有機化学」や「無機化学」と教科分けされる。
例えば学部の授業では次のような教科がある。
--有機/高分子化学系--
- 有機化学
- 有機化学演習
- 有機機能化学
- 有機金属化学
- 生物有機化学
- 高分子化学
- 高分子材料化学
- 生態高分子化学
- 構造解析
--無機/物理化学系--
- 無機化学
- 無機材料化学
- 物理化学
- 物理化学演習
- 量子化学
- 触媒化学
- 電気化学
- 分析化学
- 機器分析学
- 工業化学
- 化学工学
- 化学工学熱力学
- 環境科学
--その他--
- 情報・計算化学
- 化学外国語
- 学外実習
- 実験
さらに「有機化学I」や「無機化学II」等、「数I」「数II」みたいにレベル分けされている科目もあるので、教科としてはもっとある。
この他にも学部共通の「物性論」等、物理なのか化学なのかよくわからない科目もある。
もちろんこの他に物理もあるし、数学も英語もあるし、1年生なら一般教養、筆者みたいに教職免許取ろうとする人なら資格科目もあるし、科目数は多い。
しかしこれだけ科目分けされているということは非常に専門性が高いということである。
大学生になれば好きな科目がいくらでも深く勉強できるというのが素晴らしい。
ただ、授業のスピードは非常に速いので、自ら進んで予習復習しなければ一気に置いて行かれる。
場合によっては1コマ(一時間半)で教科書80ページくらい進むこともある。
大学の勉強し方は、「自ら進んで勉強する」ということが一番大切であり、そのための勉強の場だと思う。
さっき高校化学の参考書めくったらアセチレンが出てきたので今日はアセチレンを。
今日の分子 No.46 アセチレン C2H2
Jmolで描画
最も単純なアルキン。
三重結合を持つ不飽和炭化水素をアルキンといい、CnH2n-2で表される。
アルキンは対応するアルカンの語尾(-ane)をイン(-yne)に変えて名づける。
例えばCH三C-CH3はプロパン(propane)の語尾を変えてプロピン(propyne)という。
アセチレンの場合エタンの語尾を変えてエチンと言うべきであるが、アセチレンという慣用名が広く用いられている。
三重結合を持つためアセチレン分子の形は直線となる。
ちなみに、単結合はハイフン「C-C」、二重結合はイコール「C=C」で表記されるが、三重結合は通常のアルファベット系の記号がないためパソコンで表記しにくい。
(上では漢字の3「三」を無理やり使った。)
そのため三重結合を表すためシャープを代用し、「C#C」と表記されることがある。(SMILES表記等)
アセチレンは非常に燃えやすい気体であり、酸素と混合して燃焼させると非常に発熱し酸素アセチレン炎と呼ばれる約3000℃の炎を出す。
これは鉄をも焼ききり、溶接や溶断に用いられる。
一方でその燃焼力ゆえ爆発性があるため危険である。
また、無酸素の純アセチレンでも場合により爆発分解することがあり、非常に危険である。
HC≡CH → 2C + H2
そのため普通に圧縮して容器に詰めることができないため、多孔質物質にアセトンをしみこませた特殊な容器に充填しなければならないなど、かなり扱いが難しい。
加熱分解するときにカーボンブラックが得られるが、これは純度が高いためアセチレンブラックと呼ばれ、導電性が高いため乾電池の電極などに使われる。
反応性に富むので有機合成化学の重要な原料であったが、大部分の製品の原料がより安価なエチレン、プロピレンに置き換わったためその工業的な重要性が著しく低下してきた。
アセチレンはエーテル臭のある無色の気体であるが、通常は不純物のため特有の臭気がある。
工業的にはカルシウムカーバイドに水を加えることによって作られている。
CaC2 + 2H2O → C2H2 + Ca(OH)2
(※注意!「CaC2 + H2O → C2H2 + CaO」は間違い!)
他にナフサの高温熱分解などでも得られる。
アセチレンは炭化水素の割りに異常に酸性が強い。
というのも、末端の三重結合のある炭素「RC三CH」のHが酸として放出されやすいという性質がある。
(理由はsp混成軌道のため炭素原子のs性が高いから。難。)
アセチレンは二段階電離しC-三C-という二価の陰イオンになる。
カルシウムカーバイドCaC2はCa2+とC22-のイオン結晶である。
ただし、アセチレンは水よりも弱い酸なので、カルシウムカーバイドをより強酸の水に入れると上の反応が起こって弱酸のアセチレンが投げ出されるのである。
またアセチレンを金属、特に銅と触れ合わせるとCu2C2等の塩ができる。
このようなアセチレン塩をアセチリド(カルシウムカーバイドもアセチリドの一種。)というが、銅(I)アセチリドや銀アセチリド等は爆発性を持つため非常に危険なため、アセチレンを金属と触れ合わせてはいけない。
(この辺の説明が学校教育で少ないと思う。アセチレンが酸だというとややこしいからか?)
◎ 参考
- 『チャレンジライセンス乙種1・2・3・5・6類危険物取扱者テキスト』, 工業資格教育研究会, 実教出版; 改訂版 (2005/10)
- 『高圧ガス保安技術 第8次改訂版』高圧ガス保安協会著(2011)
いつまでも地震の話をしていても暗くなるだけなので、今日はちょっと話題を変えてみます。
ここ数日、金属を溶かして遊んでいました。
たぶんスズ(Sn)とビスマス(Bi)の合金です。
これは低温融解合金と呼ばれ、138℃という低温で融解します。
(ちなみに鉄が溶けるのは1535℃)
また、Sn-BiにさらにAg等を足した合金も低融点を示し、無鉛ハンダ(鉛フリーはんだ)と呼ばれています。
本来のハンダはスズと鉛の合金で、180℃くらいで溶けます。
鉛は体に良くないので、最近は少し高価でも鉛を含まないハンダに移行しているようです。
ちなみに上で「たぶん」とつけたのは、この金属を手に入れたのが筆者が中学生の頃で今となっては何の合金かよくわからないからです。
技術の授業で鋳造でキーホルダー作りをするとき使ったのですが、中学生の筆者が技術室からみんなの余りを大量にパクって帰ったというは青春の思い出。
ま、まあどうせ捨てられる物なんだから有効活用できたということで・・・
この前ガラクタ入れからその合金を見つけたので溶かしたりして遊んでいました。
溶かした合金を一気に水に流し入れるとこんなオブジェができました。
低温融解金属を一気に冷却したもの。2011/3/14 筆者撮影
曲線的な感じがまさに動的な液体がそのまま固まったという感じで・・・
う~む・・・芸術!
金属で銀色でキラキラしているのに、溶けて液体になってプルプルしているのはなかなか不思議な感じです。
常温で液体である水銀も、銀色の金属が変幻自在に形を変えるので幻想的です。
錬金術で盛んに水銀が用いられたのも、水銀のその幻想さと金等他の金属を溶かす不思議な性質(アマルガムを作る性質)が原動力らしいです。
最近はめっきり見かけなくなりましたが、水銀温度計が割れたときに銀色のコロコロとした粒が出てきますが、本当に液体の金属は不思議な見た目です。
水銀は唯一の常温で液体の金属元素だと持てはやされますが、よくよく考えてみると常温で液体の非金属元素も一種類だけです。
すぐ思い浮かびますか?
そう、臭素です。
しかし同じように筆者の塾の塾生に問うてみても、そのレスポンスは水銀と比べて遅い。
かわいそうな臭素・・・
ちなみに、マイナーですがガリウムは融点が27.78℃(※29.8℃とする文献もあり)で夏場限定の液体金属です。
また、アルカリ金属も低融点で、周期表で下に行くほど融点が下がっていってセシウムで28.4℃です。
意外と液体もどきの金属元素は多い。
一方、非金属の単体で0℃~40℃の常温付近で液体なのは臭素しかない。
強いて言えばリンが44℃で溶けるが、夏場でもなかなかその温度にならないだろう。
だからむしろ水銀よりも臭素の方がより唯一の液体元素なのに!!
さらにちなみに。
他にも金属は合金にすると融点が下がる例は色々ある。
ナトリウムとカリウムの合金(通称NaK、ナック)は融点-11℃(Na:K=22:78のもの)でなんと常温で液体の合金である。
金属が液体で使えることにはメリットがある。
例えばNaKを化学反応系に入れれば攪拌するだけで反応物と金属が混ざり合うので、単に固体のNaやKを使うより高い反応性が期待できる。
また金属は熱伝導性が非常に良いので、液体金属使えば変幻自在に充填できる熱媒体として使える。
多量の熱が出る原子炉や高速増殖炉で熱を逃がすためにNaKや加熱して融解したNaが用いられる。
しかしNaKやNaが漏洩すると、そのおなじみの反応性により空気中で発火・爆発するので非常に危険である。
そして実際液体Naの漏出が高速増殖炉もんじゅで過去に起こっている。
・・・不本意ながら結局原子炉は危険という話になってしまった。
今回の地震はツイッターが大活躍していますね。
筆者の友達もやっているので便乗して登録してみました。
一応今トップページの下のほうに貼っているのですが、レイアウト等はまだ考え中です。
友達のツイッターを見てみると、地震関連の下らないいたずらチェーンメールにブチキレたことがつぶやかれていました。
どんなチェンメが回っているのかとネットで調べてみたんですが、例えば
「石油コンビナートの火災が原因で化学薬品が含まれた雨が降ることが予想されます。傘やレインコートの使用をお願いします!」
等という内容のものらしいです。
まさに下らないデマである。
今日本中でどれだけの人が苦しんでいるか考えたらこんないたずら出来ないはずです。
で、これを批判しているブログを見つけました。
そこでは
「こんなメールをもらった人は冷静に考えましょう。化学薬品だからといってどうでしょう?一国の一企業の火災でそんな影響が出るのなら、どこぞの国ならどうなるのでしょう?」
的な言い方で批判していました。
う~む・・・
その人は正義感があって、本人なりに冷静に分析していることはわかるのですが・・・
一国の一企業の火災でそれほどの危険な影響が出ることは有り得ます。
1984年にインドのボパールで起きた化学工場の事故を例に挙げます。
管理不足が原因であり、地震が原因ではありませんが結果は同じようなことです。
<ボパール化学工場事故>(参考;『高圧ガス保安技術』高圧ガス保安協会著)
インドのボパール市の農薬工場から猛毒の中間体であるメチルイソシアナートCH3NCO(略称;MIC)が貯槽より漏出。
爆発は、タンクに流入した水とMICが反応して温度が上昇し暴走反応が起こったことが原因か。
風に乗り工場の南東市街40km2にわたって広がり、死者2.6千人以上、重傷者2.5万人、負傷者20万人以上の大惨事となった。
今回の地震で多数のコンビナート、化学工場で事故が起こりました。
中には有毒ガスの漏出で死者が出ているところもあるそうです。
化学工場の事故をなめてはいけない。
下らないチェーンメールに騙されることのないようにしなければならないが、
確かに自分たちが危険な状況にいる可能性があるということは理解しておかなければならない。
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