一般向け/高校生向け楽しい化け学
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昨日の続き的な内容で。
昨日は十酸化四リンを加水分解するとリン酸になるという話だったので、それに関連してリン酸です。
今日の分子No.31、リン酸 H3PO4
WinMOPACで計算・描画 ※二重結合省略
別名オルトリン酸。
このオルトリン酸が脱水縮合で数分子くっついたポリリン酸(2分子ではピロリン酸、環をまいていたらシクロリン酸という)や、酸化数の小さな亜リン酸、次亜リン酸など仲間がたくさんいる。
昨日の記事を見てほしいが、十酸化四リンを加水分解すると生じる。
昨日の画像の右下のリン(黄色の原子)を見てみると、上のリン酸の構造と同じようになっていることがわかるだろう。
代表的なリンのオキソ酸(ヒドロキシ基と酸素が付いてる酸)であり、水に溶けて三価の酸として電離する;
H3PO4 ⇔ H+ + H2PO4-
H2PO4- ⇔ H+ + HPO42-
HPO42- ⇔ H+ + PO43-
(平衡を表す「→」と「←」が上下に組み合わさったのがPCでは出ないから「⇔」で代用)
リン酸塩には、例えば代表的なものにリン酸カルシウムCa3(PO4)2がある。
リンの製造や肥料の製造に使われる、また我々の骨の主成分でもある。
また、リン酸カルシウムに硫酸を反応させて得る過リン酸石灰(リン酸水素カルシウム)は重要な肥料である。
Ca3(PO4)2 + 2H2SO4 + 2H2O → Ca(H2PO4)2 + 2CaSO4・2H2O
この反応は高校化学でも出てきて重要!
ちなみに肥料である骨粉(リン酸カルシウム)に硫酸を反応させると、過リン酸石灰になり肥料としての能力が上がるということを発見したのは、筆者が最も尊敬する化学者;リービッヒ博士である。
他にもDNAや細胞膜はリン酸エステルから出来ていたり、知らないところで身の周り(というか身の中!?)でとても役立っているのだ!!
◎ 参考
- 『リー無機化学』, リー (著), 浜口 博 (翻訳), 菅野 等 (翻訳), 東京化学同人 (1982/01)
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ついに1000hit越え!!
本サイト訪問者皆様に感謝感謝。
しかし今週はやたらと忙しくて全くサイト更新ができませんでした・・・
テストにレポート・実験・バイトと、被ると結構しんどいです。
さてさて。
この前の月曜、塾で高校生がリンや硫黄系の入試問題を演習していたのですが、身近に感じないのかリン系の化合物は特に覚えていませんでした。
ということで、今日はリンの化合物の代表的な物のひとつ、十酸化四リン(五酸化二リン)について。
今日の分子No.30、十酸化四リン P4O10
WinMOPACで計算・描画 ※二重結合省略
単体のリンが燃えてできる酸化物。
腐食性があるので素手で触るのはとても危険な白色の固体。
P4O10という分子式を持つ分子であるのでその分子式どおりに「十酸化四リン」である。
が、無機化合物はしばしば組成式であらわされ、P2O5となるので「五酸化二リン」とも呼ばれる。
どっちを答案に書いても正解だが、分子式はあくまでP4O10である。
水と音を出し発熱しながら激しく反応する。
そのため脱水剤・乾燥剤として実験等で用いられる。
十酸化四リンをお湯で煮沸するとリン酸ができる;
P4O10 + 6H2O → 4H3PO4
この反応が結構わかっていない。
リン酸ができるということを覚えていないようだ。
しかし、上の構造を見てみると"PO4"の単位が繋がっているだけの構造をしていることがわかる。
このP-O-Pを水で加水分解して P-OH + HO-P にするのだから、自然とH3PO4が4つ生成するのが予想されるだろう。
高校ではこの十酸化四リンの構造をちゃんと習わないが、他の物質であっても構造を知っていればこのように生成物が予想できるのだ。
・・・っということを、黒板でP-O-Pの結合を切りながら塾生に説明すると「それはわかりやすい!」っと喜んでました、はい。
◎ 参考
- 『リー無機化学』, リー (著), 浜口 博 (翻訳), 菅野 等 (翻訳), 東京化学同人 (1982/01)
今日はこの前実験で使ったヘキサンを紹介しましょう。
今日の分子No.29、ヘキサン C6H14
Jmolで描画
炭素数6の直鎖アルカン。
示性式で言うとCH3CH2CH2CH2CH2CH3。
灯油やガソリンに含まれている、常温で液体の典型的な石油系の油であり、吸引すると体にかなり悪い。
非極性溶媒で、油系の分子をよく溶かす。一方水とは全然混ざらない。
同じC6H14のアルカンは他に2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、
2,3-ジメチルブタン4種類あり、これらは構造異性体の関係にある。
これら同じ炭素数のアルカンを総称してヘキサンということもあるから注意。
特に直鎖アルカンのヘキサンをn-ヘキサン(ノルマルヘキサンと読む)と言って区別することもある。
上の分構造(ジグザグが真っ直ぐ)は教科書やwikipediaで載ってますが、実は他にも形があります。
C-C結合は回転できるので、実際にはグニャグニャと鎖は形を変え続けます。
しかし安定な形と不安定な形があり、隣同士の水素原子が空間的にぶつかってしまうような中途半端な構造は不安定です。
ぶつかり合わなければ(ぶつかる程度が小さければ)、他の形もとり得ます。
計算してみると、下に示す構造も安定・妥当な構造になるようです。
WinMOPACで計算・描画
主鎖(C-C-C-C-C-C)が曲がっています。
この構造でも水素同士は距離が離れていて大丈夫です。
(専門的には「ゴーシュ配座を取っている」といいます。難。)
このように主鎖が曲がる現象はブタン以上の炭素数のアルカンで起こります。
唐突ですが、昨日ブルーバックス文庫の『パソコンで見る動く分子辞典』のJmolの分子リストを眺めてたら、こんな分子を発見。
今日の分子No.28、インフルエンザのヘマグルチニン
インフルエンザの表面に存在する糖タンパク質。
「鳥インフルエンザのヘマグルチニン」とか、ヘマグルチニンにも色々種類がある。
インフルエンザやその他細菌はこのたんぱく質を使って感染するらしい。
専門じゃないからこれに関して知識がないからあまり語れないが、
ウィキペディアを見るとなんか面白いというか、エゲツない働きをするということが紹介されている。
ウィキペディアは信頼性が低いけど、「ふーん」程度に調べるのなら便利。
上に掲載してるように単なる分子の画像なら良くわからないが、Jmolで3Dで表示して回転させるとその気持ち悪い分子構造が良くわかる。
なんしか気持ち悪い。バイキンみたいな形をしている。
こんなのが体内に入ってきたらインフルエンザにもなるわ、って思った(笑)
ちなみに糖たんぱく質とは、糖が結合しているアミノ酸が含まれているたんぱく質のこと。
上のたんぱく質でも、たんぱく質の部分(アミノ酸の連鎖:黄色やらピンクやらで表されている)に他の分子(空間充填で表されている)が結合しているのがわかる。
たんぱく質をはじめとする生体高分子はあまりに高等過ぎて、専門外な筆者には全く理解の範疇を超える働きをしてくれる超分子である。
◎ 参考
今日も前回の実験で使った物質をば。
今日の分子No.27、酢酸エチル CH3COOCH2CH3
Jmolで描画
極性のある有機溶媒で、ヘキサンやエタノールなどほとんどの有機溶媒と任意の割合で交じり合う。
このように油を溶かす性質があるため、マニキュアの除光液にアセトンとともに用いられる。
また沸点が低いため、蒸留や真空乾燥で分離しやすいという特徴があり実験で使われる。
一方日本では第四類危険物(引火性液体)非水溶性第一石油類に分類されていて、結構危ない物質である。
-4℃以上で引火する危険性があり、点火源があると引火してしまう恐れがある。
引火すると激しく燃焼、または爆発する。
また427℃に加熱すると点火源がなくても発火してしまう。
しかも吸引すると中枢神経に影響を与える危険性もあり、大変危険。
カルボン酸エステルであり、「今日の分子 No.16」で紹介した酢酸メチルのエチル基バージョンである。
酢酸メチルとほとんど同じなので参照してください。
酢酸とエタノールに硫酸等の酸を添加して
CH3COOH + CH3CH2OH → CH3COOCH2CH3 + H2O
という縮合反応(エステル化)で生成します。
◎ 参考
- 『乙種4類危険物取扱者テキスト』, 工業資格教育研究会編, 実教出版; 三訂版 (2010/09)
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