一般向け/高校生向け楽しい化け学
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ルイス構造式・・・ってあれ?
高校じゃルイス構造式って言わないんでしたね。
「H:H」とかの表記法を「電子式」って言うのでしたね。
普通、この表記法を考案者のルイスさんにちなんでルイス構造式と言います。
(まあ名前はどうでもいい。)
今日は塾で分子の形や極性をレクチャーしてました。
分子の形を考えるのには、まず電子式を理解せねばなりません。
電子式で分子を表現できたら、あとは電子対反発則、すなわち電子対(結合電子対と非共有電子対)同士が反発するという簡単な法則から分子の形を決めることができます。
(分子のカタチ参照)
次に極性です。
極性とは分子全体で見た電荷の偏り。
H-Clなら電子は塩素原子の方に引かれ、水素の方がδ+(少し正に帯電)、塩素の方がδ-となり、すなわち極性があるといいます。
H2Oなら?
O-H結合は、もちろん水素より電気陰性度の大きな酸素が電子を引きますが、問題はO-H結合が二本あることです。
分子全体の電荷の偏りはそれぞれの結合の電荷の偏りのベクトル和であらわされ、水分子の場合なら下図のように分子を串刺しにするように電荷の偏りがあり、極性分子だと言えます。
各分子の、結合の電子の偏りと分子全体の電子の偏り(極性)
一方二酸化炭素では?
C=O結合はOがCから電子を引きます。
が、二本のC=O結合の電荷の偏りは逆向きに同じ大きさのベクトルなので、分子全体で見て和を取ればキャンセルし合って消えてしまい、すなわち二酸化炭素は無極性分子だと言います。
メタンも同様、空間的なのでわかりにくいですが、ベクトルの和はゼロベクトルで、無極性分子です。
このように、たとえ電気陰性度の違う原子と結合を作っていても、分子の形によっては極性がないことがあります。
だから分子の形は重要。
よって電子式も重要。
電子式なんていつ役に立つんだという人もいますが、こういうときに役立つのです。
PR
面白い動画を発見。
化け学な公園の遊具。
うわさには聞いていた遊具であったが、実際に動画で発見したのは初めてでした。
エタノールとアセトアルデヒドと酢酸とアクリロニトリルの分子模型遊具。
「エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸」
の酸化反応の酸物質と、身の回りにあって且つ乗れそうな形のアクリロニトリル、らしい。
バネでビヨンビヨンする、公園にある子供用の遊具(スプリング遊具というらしい)であるが・・・
大人が乗っちゃだめでしょ(笑)
めっちゃバネきつそうだし(笑)
特注品で、もちろん量産はしていないらしい。
こんな遊具が公園にあったらきっと子供たちは分子好きになるはずなので、ぜひ量産してほしいところ!!
参考;
この遊具を作った製造者さんのブログ
数日前実験でセリウム(元素記号Ce)を使いました。
Ce4+は強力な酸化剤で、有機反応等に使えます。
で、Ceなんですが、あんまりなじみのない元素ですよね。
周期表で探してみると、原子番号58番、ランタノイド第二元素です。
単体は結構電気的に陽性で、酸化されやすい金属です。
あまり聞かない元素ですが、実は身近に結構使われています。
例えばライターの火打石(シュッ!ってするとこの金属)。
これは発火合金と呼ばれ、Ceが70%、Feが30%ほどの合金らしいです。
あと、間違える人が多いのですが、セリウムCeであってセシウムCsではありません。
今原発事故で放射性のセシウムが注目されていますが、混同しないように。
そういえば数日前、筆者の友人が放射性セシウムを使う実験をしていて放射線浴びまくっていました。
筆者も放射性セシウムを実験で使ったことがありますが、案外放射線は浴びても平気です。
日常でも我々は宇宙線という名の放射線を浴びているし、レントゲンではかなりの量を浴びています。
一方、一昨日こんなことがありました。
筆者のバイト先の塾うちのひとつ(小4~中3対象)の卒業生の女子高生と喋っていたのですが、なにやら健康法に興味があるそうです。
で、その人曰く、青汁が良いとか、ビタミンがたくさんとか、カリウムが多くて良いとかなんとか。
で、
筆者「じゃあ青汁はカリウムが多いから放射能を持ってるな。カリウムは放射性元素。バナナもカリウムが多くて、放射性物質なんだよね。」
っと言うと、
「え~!それって体に悪い?印象悪くなった・・・」
だってさ。
あーおもしろ(笑)
カリウム40は人間の内部被爆(体内に取り込んだ放射性元素に長期的に被爆すること)の大きな原因物質になっている。
が、みなさん知ってのとおり、そんな影響ほとんどない。
こういう科学の雑学(というか一種の嫌がらせ話(笑))を知っていると話のタネになって面白いですよ。
ちなみに大気中に約1%も含まれるアルゴンは、その大部分がカリウム40の崩壊によって生じたらしい。
(ということを中学生の頃「アトキンス 分子と人間」という本で読んでかなり印象に残った。)
あなどれぬカリウム40!
◎ 参考
- 『アトキンス 分子と人間』P.W. ATKINS (著), 千原 秀昭 (翻訳), 稲葉 章 (翻訳), 東京化学同人 (1990/04)
- 『世界で一番美しい元素図鑑』セオドア・グレイ (著), 若林文高 (監修), 創元社; 初版 (2010/10/22)
今日(厳密には昨日)の実験はひどかった・・・
密栓した試験管を加熱するときは内圧に気をつけましょう、栓が飛びます!
その試験管ではラジカル反応を起こしていました。
密栓した試験管をウォーターバスで加熱、要するに試験管ごと鍋で煮詰めていたのです。
すると・・・ポン!!っと音が鳴って栓が吹き飛びました。
単に試験管内の温度が上がって内圧が高くなっただけでなく、直前に溶液に窒素を通じていたので、溶けていたそれが気化したのも原因だったのでしょう。
(酸素はラジカル反応を阻害するので除く必要があるため窒素を通じて追い出していました。)
栓が吹き飛んだだけなら良いのです。
開いたら内圧が通常に戻るので、栓をし直せばいいだけだからです。
しかし悲劇が起こりました。
ウォーターバス(要するに湯沸かしの鍋)に倒して浸けていた試験管が滑り落ちて、その空いた口から加熱用のお湯が入ってしまったのです。
発狂。
最初きれいなオレンジ色だった溶液が汚いクリーム色に・・・
そして無色透明な均一溶液が出来上がるはずなのに、クリーム色の大量のゲル状沈澱を生成してしまう結果に・・・
とりあえず先生に助けを請う。
すると「どうするべきか自分で考えなさい。転んでもただじゃ起きないという精神で。」と。
まずどうすべきか・・・
とりあえず、生成したのは予定していたポリマー(かそれに類似したもの?)だと予想。
というのも、本来反応系にはある程度水が含まれていたので、水が混入しただけで生成物が大きく変わることはないかと。
そのポリマーは使っていた有機溶媒には溶けるが水に溶けないので、水が混入したことで析出してしまったのだと予想。
何とかしてこのぐちゃぐちゃの反応系からポリマーを分離精製したいところ。
作戦;
ポリマー入りのぐちゃぐちゃのゲルをできるだけ少量の溶媒に溶かす。
→貧溶媒(目的物質が溶けない溶媒)に溶液を注ぎ込むことでポリマーを再生させる。
とりあえずゲル状物質の隅っこを取ってメタノールに入れてみる・・・溶けない・・・
DMSO((CH3)2SO:ジメチルスルホキシド;有機溶媒)に入れてみる・・・溶けた!!
まず邪魔な水をできるだけ捨てるために上澄みを捨て、ゲルをさじで押して水気をできるだけ切る。
DMSOをビーカーに取ってきて、そこへゲルを投入。
が、溶け切らない!
溶かすため溶媒を足したら、次は再生するときが大変になるのでダメ。
ホットマグネティックスターラー(要するにホットプレート)を持ってきて、ビーカーを熱する。
変な匂いの湯気が出てきたが気にしない。
しばらく熱しながらかき混ぜるとデンプン溶液のような、水のり状の無色透明な均一溶液に!
メタノールをデカいビーカーに汲んできて、熱いままこの溶液を注ぎ込む・・・
と、奇麗な白色のポリマーが再生!良かった良かった!
本来対照実験に使うつもりで、色々生成条件が変わってしまったので目的の実験データにはならなかったが、生成反応・生成物の考察にはなりました。
なにより良い勉強になったので良かったです。
・内圧には気をつける。
・案外生成物はできている。
・ぐちゃぐちゃなものができても根性で精製できる。
・・・・
という日常。
毎日楽しいですよ(笑)
二日前、フェノール樹脂の一種のレゾール樹脂を作りました。
フェノール樹脂は三次元網目構造を持つ高分子で、代表的な熱硬化性樹脂。
ホルムアルデヒドとフェノールを酸性条件下で重合させるとノボラック樹脂が、アルカリ性条件下で重合させるとレゾールが得られます。
レゾールはそのままではドロドロの粘性液ですが、加熱したり酸で処理すると硬化します。
酸処理したレゾール樹脂 2011/4/19筆者撮影
今回は
・ホルムアルデヒド水溶液と、加熱して溶融したフェノール(フェノールは常温で固体)を試験管に入れ混合し、アンモニア水でアルカリ性にする。
・試験管ごと湯で煮詰めること1時間。
・試験管の底にドロドロのレゾールが沈殿し生成。
・要らない上澄み液を捨て、酢酸を加えて加熱しながらよく混合する。
・試験管ごと湯で煮詰めること2時間。
・試験管の底に硬化した樹脂が得られるので、試験管を叩き割って取り出す。
という手順で合成。
写真の樹脂が弾丸型なのは試験管の底の型だからです。
今回作ってみるとビミョーに失敗作。
というのも、量が少な目で、かつ硬さがイマイチ。
冷ますとそれなりに硬いプラスチックになったが、まだ熱い内に取り出したときはゴムみたいにブヨブヨであった。
先生曰く「なんじゃこりゃー!綺麗で透明度はすばらしい。でもやわらかすぎ!」と。
原因はアンモニア水がうまく混ざらないまま加熱してたから、混ざった頃にはアンモニアが飛んでアルカリ性がしょぼくなっていたからかなとか考察。
酢酸が入っているためか、作ったレゾール樹脂はマヨネーズ(ないしは絵の具)みたいな匂いがします。
最新記事
(2018/09/23)
(2017/08/14)
(2017/03/07)
(2016/08/17)
(2016/05/05)
(2015/07/19)
(2015/04/11)
(2014/11/23)
(2014/08/03)
(2014/05/11)
カテゴリー
ブログ内検索