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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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PETボトルの口が2種類あるのを知っていますか?

下の写真のように、透明な口と、白い口・・・



口の色が違うPETボトル


言われれば「あーあるなぁ」と思ったでしょうか。

しかし、この色の違いは何なんでしょうか。

実はこれは耐熱性を表しているのです。

口が透明なのは非耐熱性白いのが耐熱性です。

透明なのは50℃、白いのは85℃くらいまで耐えられるらしいです。

なので透明な口のPETボトルに熱いお茶を注ぐとクニャクニャと曲がって縮んで使い物にならなくなります。

例えば実際に、或る透明な口のペットボトルに熱いお茶を注ぐとこのように明らかに縮んでしまいました。



上;元々 下;熱いお茶を注いだ物


また、熱湯で煮て力をかけると軟化し容易に変形してしまいました。



加熱し力をかけたPETボトル


こんな様になるので、透明の口のペットボトルはホット飲料に向かないわけです。

一方口の白いものは熱いお茶でもちょっと冷ませば大丈夫です。

なので熱いお茶をPETボトルに入れて持って行きたいときは、口の白いヤツにしてちょっと冷ましてから入れましょう。


しかしなぜ同じPETボトルには耐熱性の違いがあるのでしょうか。

まずPETボトルとは何かということから考えます。

その名のとおりPETで作られたボトルなのですが、PETとはポリエチレンテレフタラートというプラスチックの一種です。

テレフタル酸エチレングリコールエステル結合で繋がったポリエステルで、下のような構造をしています。



ポリエチレンテレフタラートの構造


これは分子が長く繋がった高分子と呼ばれる化合物です。

多くの高分子は細長くてこんがらがりやすいため綺麗な結晶になりにくいという性質があります。

また高分子は結晶になっている割合(結晶化度)が高いほど熱に強くなるという性質があります。

何故なら、高分子鎖はキッチリ並ぶほど分子鎖と分子鎖の接触面積が大きくなり分子間力が大きく働くため、それを引き離す(軟化・融解させる)ためにはより高温が必要になるからです。



結晶化度小。
こんがらがっていて熱に弱い。




結晶化度大。
きっちり並んでいて熱に強い。


PETは普通に作れば結晶化度があまり高くならないため、普通のPETボトル(口が透明)は熱に弱いのです。

しかし口が白色のものは、PETの結晶化度を上げるために特別な工程(プレスや加熱?)を施しているため、熱に強いということらしい。



おまけ:PETボトルの耐久性


おまけでPETボトルについてもう少し豆知識を。

じつはPETボトルには現在JISで規格に取り決めがなく、形や耐久性は法律で決められていません。

しかし大体の耐久性は以下のような感じらしいです。


・ 圧力:4気圧が限界。

・ 酸:酢酸くらいの酸性度が限界。

・ アルコールで劣化する。20%エタノールが限界。


ということです。耐熱性については上の通り。

PETボトルは意外と弱い。

しかしPETボトルが登場する前の時代の容器からすれば劇的に強い材質なのです。

また、"炭酸用"や"ホット用"など色々種類があるので耐久性は色々です。

さらにちなみに、PETボトルは化学者の絶え間ない努力によって作られた尊いもの(?)です。

なぜかと言うのは『ペットボトルは作れない!?』を見てみてください。



◎ 参考


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皆さん有難うございます・・・

このサイトを設立して1日半しか経ってない現在でなんと27人も来てくれています!

もっと内容があって、もっと読みやすいページ作りに精進いたします。


さてさて、ホームページといえば、友達のブログに

「俺んちでケミスが泥酔して○×△□・・・・」

っとプライベートな筆者の失態が書き込まれていました。

ぐぬぬぬ・・・恥ずかしい・・・

飲みすぎは禁物、あと未成年は飲むこともダメです!


しかし、お酒を飲みながらも化学のことを考えるのがワタクシの仕事です。

お酒には"アルコール"が入っていますが、これは一体なんでしょうか。

アルコールとはR-OH (Rはアルキル基)の構造を持つ物質の総称です。

例えば

名前化学式
メタノールCH3OH
エタノールCH3CH2OH
1-プロパノールCH3CH2CH2OH
エチレングリコールHOCH2CH2OH
グリセリンHOCH2CH(OH)CH2OH

等たくさんの種類があります。

お酒に入っているのはこの中のエタノールというアルコールです。

実は多くのアルコール類は毒性があり、エタノールもその1つです。

ただしエタノールの毒性は低いので少し飲んだくらいでは平気です。

しかしメタノールやエチレングリコールには強い毒性があり、少量でも飲むと失明したり中毒になったりします。

一方毒性のとても低いアルコールもあります。

例えばグリセリンは普段食べる脂肪が体内で分解されると生じますが、油物をいっぱい食べても二日酔いにはなりません。

化粧品や食品に添加しても平気です。

また1-プロパノールも毒性が低く、食品に添加されたり香料として用いられます。

等等、アルコールにも色んな種類があるので「昨晩はアルコールを飲みすぎた」と言う人が多いですが、化学的に「昨晩はエタノールを摂取しすぎた」というべきでしょう。

また、毒性の高い低いという言い方がありますが、"無毒"な食塩だってバケツ一杯食べれば死ぬだろうから、
酒にしても他のものにしても摂りすぎは厳禁。

よく「天然素材で無害!」とか「美容と健康にコレ!」みたいな商品がありますが、ホントに安全でしょうか?

っと言うように疑う必要があります。

化学を学ぶと言うことは身の回りのことを疑うことである(と先生が言ってた!)


「今日の分子」シリーズNo.1はこの分子、F-ギトニン C50H82O23


Jmolで描画, クリックで拡大。

天然界の面活性剤、F-ギトニン。

界面活性剤とはセッケンなど油とも水ともなじみ、本来混ざり合わないもの同士を混ざるようにする物質のことです。

またこのように混ざるようにする性質を乳化作用といいます。

なぜF-ギトニンはセッケンのような作用を持っているのでしょうか。

まずセッケンの場合から考えてみましょう。

教科書に載っているようにセッケンには親油性の長いアルキル基に親水性のカルボキシル基(が電離したもの)を分子内に持つことで、下のように水の中で油を取り込み分散させます。




またこの図のように界面活性剤分子が球のように集まっている状態のものをミセルといいます。

では上のF-ギトニンの構造を見てみましょう。

この分子も割りと細長い形のようです。

その一端の左下の部分は親水性のヒドロキシ基がたくさん付いていて、一方もう片端の右上部分は大きなアルキル基で親油性です。

すなわちセッケンのようにカルボン酸の塩でなくとも、細長い分子の両端に親油基と親水基がある同じような構造をしているのでF-ギトニンも界面活性剤として作用するのです。

ちなみに水にも油にも溶ける物質のことを両親媒性物質と言います。


◎ 参考



突然ですが問題です。

炭素原子の結合距離(炭素原子の中心間距離)をrとします。

ダイヤモンドの結晶の格子定数aはいくらですか?



ダイヤモンドの結晶構造


・・・

わかりましたか?

よく勉強している人には余裕かもしれませんが、結晶が苦手な人には難しいかもしれません。

また、解けた人もおそらく補助線を引いたりして、ひらめきが全てを決める数学の空間図形の問題みたいになってしまったでしょう。

しかし、このページで教える"cos109.5°"の値を用いれば、この手の問題は全く機械的に楽に解けるのです。

とりあえずまず正統派な解き方をしましょう。



[解法1]:正統派な解き方


下の図の緑の小さな立方体に着目してください。



これを取り出します。



この立方体は中心に1つと、頂点にねじれているように4つの炭素原子が配置しています。

すると1つの頂点と中心との距離はrになります。

(※ 結合しているC-C距離がrである。なので隣り合っているからと言って「1つの面の対角線の長さがr」と思ってはいけない。)

さらに、これより立方体の対角線の距離は2rとなります。

したがってこの立方体の一辺の長さは、三平方の定理より



である。

単位格子に戻る。

この単位格子の一辺の長さは先ほどの小さな立方体の一辺の長さの二倍なので、



となり、求められた。<終>

どうでしょうか?

わかりましたか?

できる人はできるのでしょうが、結構元からやり方を知っていないと難しいです。

特に小さな立方体を見つけることと、その対角線の長さに気づくのが難しいと思います。

しかし"cos109.5°"を用いれば全く機械的に、かつ単純明確に求めることができます。

では、"cos109.5°"を使う方法に移りましょう。



○ 「cos109.5°」について


まず始めに、"cos109.5°"そのものについての説明をします。

例えば知っての通り、メタンは正四面体構造をしています。


メタンの正四面体構造


そして、教科書には∠HCHが約109.5°と書いているでしょう。

要するに正四面体の中心と頂点を結ぶ線分同士のなす角は約109.5°なのです。

正確にはこの109.5°と言うのは大体の値で、本当は無理数です。

より数学的にこの109.5°を表現すると

「cosθ=-1/3 を満たす角度θ」

となります。

上で書いちゃいましたが、要するに



なのです。

高校の数学では有名角(30°、60°、45°...)しか習いませんが、それに準ずる数学的に美しい角度なのです。

では

cos109.5° = -1/3

がわかれば何がわかるでしょうか。

余弦定理をもう習いましたか?

習ってないと厳しいですが、三平方の定理の上位版で

a2 = b2 + c2 - 2bc・cos∠A

という定理です。



正四面体の中心から頂点までの距離をrとすると、頂点と頂点の距離dは



となります。

で、さっきのメタンを例にとれば、水素原子同士の距離は、C-H結合距離を108.7pmとすると



と計算できたりします。

では、話を戻して"cos109.5°"を用いてダイヤモンドの格子定数を求めてみましょう。



[解法2]:cos109.5°を使った解き方


結合している3つの炭素原子、例えば下の図の水色で示したところを考えます。



正四面体型炭素なので、示す角度は約109.5°です。

したがって余弦定理よりこれらの結合していない炭素原子同士の距離dは



またdは単位格子の底面の対角線の半分である。

したがって三平方の定理より、



となり求められた。<終>

こっちのほうが断然簡単ではないでしょうか。

確かに計算には余弦定理を使いますが、

カクっと曲がったC-C-Cを1つ見つけるだけで事が済んだわけです。

また、正四面体であれば炭素である必要はないので、他の結晶の問題にも使えることが多いです。

特に、もっとややこしい4配位のイオン結晶の場合にこの"cos109.5°"は本領を発揮します。

例えば『結晶~限界イオン半径比~』の問題の一番下の「クイズ」に"cos109.5°"が使えるので、ぜひやってみてください。
(このような問題では"cos109.5°"を使った方が楽に、確実に解けると思います。)


今回はかなり重要なことについて書きます。


みなさんは化学の公式をちゃんと覚えているでしょうか?

例えば物質量(n)とモル質量(M)と質量(m)の関係;

m = n × M ・・・・(1)

他に、例えば電子の物質量を出す公式

n = Q ÷ F ・・・・(2)

※ nは物質量、Qは電気量、Fはファラデー定数


これらの公式を暗記していますか?

もし単に暗記しているのなら、試験中にド忘れしたら問題が解けませんね。

しかし実はこれらの公式は、あるモノに注目すると暗記しなくてもわかるのです。

そのあるモノとは単位です。


例えば簡単な例から。

速さと時間と距離について、小学校で"きはじ"の関係を習いましたね。



小学校で習う「きはじ」(「はじき」とも)


・ 距離 = 速さ×時間

・ 速さ = 距離÷時間  }・・・(A)

・ 時間 = 距離÷速さ

実はこれらは"きはじ"さえも覚えなくてわかるのです。

例えば"速さ"が"m/s(メートル毎秒)"の単位、"距離"が"m(メートル)"、"時間"が"s(秒)"だったとします。

単位だけ見ましょう。単位は変数(x,y,a,b等)と同じく掛け算や割り算ができます。

すると

・ m = m/s × s

・ m/s = m ÷ s  }・・・(B)

・ s = m ÷ (m/s)

という関係が単位を見ただけでわかります。

次にこれらの単位を持つ"速さ"、"時間"、"距離"をこれら(B)式と対応させると、
(A)式と対応していることがわかるでしょう。

すなわち単位だけ計算すれば公式がわかるのです。

これをここでは"単位公式導出法"とわかりやすく勝手に名づけましょう。

◎ ちなみにこのように単位(次元)を使って量の間の関係を考えることを専門的には次元解析と言います。



化学の公式に戻りましょう。全く同じです。

(1)の物質量(単位 mol)とモル質量(単位 g/mol)と質量(単位 g)で同じように"単位公式導出法"で考えると

・ g = g/mol × mol

・ g/mol = g ÷ mol

・ mol = g ÷ (g/mol)

と、関係式が作れます。

これらより

・ 質量 = モル質量 × 物質量

・ モル質量 = 質量 ÷ 物質量

・ 物質量 = 質量 ÷ モル質量

という公式が導けます。

どうですか? 覚えなくても簡単に公式が出てきたでしょう!


そして主題の「公式は問題に書いてある」ということに移りましょう。

(2)式の電子の物質量の公式を例にしましょう。

「ファラデー定数って?」

「公式ややこしくて電気分解わからない。」


という人はかなり多いでしょう。

では、下の例題を見てください。


問い:
電気分解をするため硫酸銅水溶液に1.93×105 Cの電気を流した。
流した電子の物質量は何molか?
ただしファラデー定数を9.65×104 C/molとする。


"基本問題"とかによくありそうな問題。

唐突に解いてと言われたら、「えーっと公式は確か・・・」と悩むかも知れない。

しかし上の考えを知った皆さんなら次のように考えて簡単に公式を導出するだろう;

mol = C ÷ (C/mol)

すなわち

物質量 = 電気量 ÷ ファラデー定数

よって

求める物質量 = 1.93×105 C ÷ (9.65×104 C/mol) = 2.00 mol

なんと公式集なんて引っ張り出さずとも、

問題に単位が書いてある=公式が書いてある

と言うことなのだ!!


あともう一つ、計算するときは単位も一緒に計算しよう!

例えば公式を間違ってて

"物質量 = 電気量 × ファラデー定数"

と思い込んでいたとしよう。

これで計算すると

1.93×105 C × (9.65×104 C/mol) = 1.86×1010 C2/mol

となって答えの単位が物質量の"mol"にはならない、すなわち間違っている!!

このように単位を考えて問題を解くことが非常に重要。

まず手始めに、常に計算するときは単位も一緒に計算するようにしてみよう。

これで"リットル"と"ミリリットル"等の補助単位(ミリとかキロとか)のミスもなくなる!!

明日化学の問題集を開いたときにやってみましょう。


!注意!

単位だけでいつでも公式を導けるとは限らない!

例えば物理の運動エネルギーの公式

K = 1/2 mv2

「Kの単位はJ、Jはkgm2s-2、

kgm2s-2 = kg × (m/s)2 だから

"K = mv2" !」


と答えてしまいがちであるが、これは知っての通り間違い!

どうしてだろうか。

それは厳密には"掛け算"ではなく"積分"で、"割り算"ではなく"微分"だからである。

だから本当は

距離 = 速さ × 時間

ではなく

距離 = ∫(速さ) d(時間) ;速さの時間積分

である。(少し難しい)

しかし「単位も一緒に計算して間違いを防ぐ」という方法はいつも成り立つので、ぜひそれは行ってもらいたい。

あと、高校の化学の計算ではほぼ間違いなく"単位公式導出法"でうまくいきます。

物理の時間ではちょっと気をつけましょう。
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