一般向け/高校生向け楽しい化け学
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ここ最近、そしてこれからしばらくは英語漬けっぽいです。
朝っぱらから「君、予習してきた?ちゃんと調べました?」っと先生が厳しくご指導してくださる化学英語。
中学校みたいに一人ひとり当てて立たせて英文一文読ませて訳させるのがすばらしい。
能力の育成という観点では素晴らしい事この上ないし有難いのだが、やっぱり当てられて問われるのはなかなか怖い。
(英文地味に難しいし・・・筆者が英語苦手なだけかも知れないが・・・)
化学英単語のテストもありました。
朝最寄の駅から学校へ歩いていると、後ろから学科の友達が走りよってきて
友達「三角フラスコ!」
筆者「えるれんまいやーふらすく!」
友達「アントラセンのつづり!」
筆者「anthracene!」
友達「ピンセット!」
筆者「ツイーザーズ!」
友達「発音がおかしい!トゥィーザーズ!」
とか叫びながら走って登校。
(ちょっと遅刻しそうでやばかった。)
ハタから見ると変な人たちである。
そして最近解いてる物理化学の演習問題もなかなか趣があります。
物理化学とは、要するに物理学な内容を数学を使って解くことにより化学的知見を得ようとする学問。
で、数学で物理で化学な難しい問題なのだが、なんとその問題が英語で書かれているという面白さ。
日本語で書かれていたらもっと素早く解けるのだろうが、英語で書いているとなかなか難しい。
特に、わかっているようでわかっていない単語を見て題意を取り違えて、解けるはずもない設定で解こうとしてしまうのが痛い。
化学をするためにも、物理・数学・そして英語の知識が(ただその問題集を解こうとするだけでも)必要とされているわけである。
要するに、ぶっちゃけどんな学問を専攻しようが他のたくさんの学問にある程度知識がなければ発展的なことができない。
すなわち自分が専攻している学問すら全く満足に進められないのだ。
だから自分の専攻にとらわれずできるだけいろんな科目を勉強すべきだ。
・・・・ということが最近ようやくわかってきた。
筆者は数学と英語が苦手で今痛い目に遭っている!
◎ オススメ;
筆者が使ってる化学英語の教科書で、CDもついてて「アッソゥザイリン」("オルト-キシレン")とかネイティブの発音聞けます。
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造幣局行って来ました。
「桜の通り抜け」なるイベントをしていたので。
造幣局の枝垂桜 2011/4/17 筆者撮影
とても色鮮やかで綺麗でした。
桜の桃色はアントシアニン類らしいですよ。
(『Anthocyanin Accumulation in Developing Petals of Cherry Plants』論文抄録参考)
ちなみに、日本で"化学工業"を一番最初に始めたのは造幣局らしいです。(1872年)
明治に入って日本が産業革命を起こすとき。
日本で初めて行われたその化学工業は硫酸の製造らしいです。
高校で習う現代の「接触法」ではなく「鉛室式」と呼ばれる古い製造法だったらしいです。
なぜ造幣局が硫酸を製造したかと言うと、作った硬貨を洗浄するのに硫酸が必要だったとか。
またその次、二番目に化学工業を起こしたのは大蔵省印刷所らしいです。(1880年)
それは水酸化ナトリウムの製造。
ちなみにこれも高校で習う「イオン交換膜法」ではなく「ルブランソーダ法」という昔の製造法だったそうです。
こっちは紙幣を作るためです。
というのも、紙幣には良質な紙が必要であり、それを作るためにはパルプと水酸化ナトリウム水溶液で煮る必要があったからとか。
日本の化学工業はお金の製造とともに始まったわけですね。
・・・・・っと、無機化学研究室の准教授が言ってました(笑)
◎ 参考
・ 筆者の大学の先生の有難いお話
昨日・一昨日とスチレンの重合の記事を書いていたので、今日もそれに関連してこの分子。
数日前の実験でポリスチレンを作るときに重合開始剤として用いた物質です。
今日の分子 No.50 アゾビスイソブチロニトリル [C(CH3)2CN]2N2
Jmolで描画
正式名称:2,2'-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)
略称:AIBM
無色の固体。
不安定なアゾ化合物であり、熱・光・衝撃により容易に分解し爆発することもある。
第五類危険物、第一種自己反応性物質(危険等級I)として消防法で危険物指定されている。
ちなみにニトログリセリンやトリニトロトルエン、ニトロセルロースも同じく第一種自己反応性物質である。
要するに加熱や衝撃で爆発してしまうという超危険な物質である。
またAIBNは有機シアン化合物で劇物指定もされている。
AIBNはゆっくり加熱すると次のように分解し、ラジカルを生成する。
このラジカルは誘発分解(※)しにくいため、優良な重合開始剤となる。
すなわちスチレンに混ぜてゆっくり加熱すると、一昨日の記事の
R-R → 2R・
に相当する反応を担う。
※ 誘発分解:生成したラジカルがさらに分解したり、まだ未分解の分子を攻撃すること。開始剤の無駄な消費になってしまう。
同様に重合開始剤として過酸化ベンゾイル(C6H5CO)2O2も有名だが、 コイツは誘発分解するはAIBN以上に爆発しやすいはで微妙。
ただし、AIBNは密栓して保存しておくと、自然に分解して放出した窒素で内圧がかかって危険なことや、毒性などの欠点がある。
◎ 参考
- 『基礎高分子科学』高分子学会編, 東京化学同人 (2006/07)
今日の分子No.49 今日は筆者が昨日実験で使ったスチレンを紹介します。
今日の分子 No.49 スチレン C6H5CH=CH2
Jmolで描画
別名スチロール。
一置換ベンゼンで、芳香族炭化水素に分類される。
無色透明の液体。
引火性があり、消防法では第四類危険物に指定されている。
工業的にはエチルベンゼンC6H5CH2CH3を触媒で脱水素して作られる。
C6H5CH2CH3 → C6H5CH=CH2 + H2
身の回りにもあるプラスチック(例えば発泡スチロール)のポリスチレンの原料。
スチレンが付加重合するとポリスチレン(略号PS)になる。
n C6H5CH=CH2 → [-CH2-CH(C6H5)-]n
(実際には重合開始剤(2011/4/14のブログ参照)やその他もろもろの薬品も反応させる。)
このとき「スチレンはポリスチレンのモノマー(単量体)である。」「ポリスチレンはスチレンのポリマー(重合体)である。」 「ポリスチレンはスチレンをモノマーとするポリマーである。」等と表現する。
要するにポリスチレンはスチレン単位同士が長く繋がった高分子である。
ポリスチレンは今や生活に欠かせないプラスチック材料であるため、その原料であるスチレンは非常に重要である。
また、スチレンは他の不飽和炭化水素とともに重合させ、二種類以上のモノマーから成るポリマー(共重合体)を作ることもできる。
たとえばブタジエンと共重合させるとスチレン-ブタジエンゴムを作ることができる。
ちなみにスチレンは、同じようにポリマーを作るアルケンであるエチレン等よりかなり重合させやすい。
というのも、スチレンにはフェニル基(ベンゼンの水素がひとつない基C6H5-)があるためである。
ベンゼン環が付いていると、ベンゼン環の隣にある炭素はかなり反応性が高くなる。
するとスチレンはマイナス電荷的な反応剤ともプラス電荷的な反応剤とも、電気的には中性なラジカルの反応剤ともよく反応し重合反応を起こす。
そのためスチレンはさまざまな他のモノマーの反応性を比較するときの指標とされている。
◎ 参考
- 『基礎高分子科学』高分子学会編, 東京化学同人 (2006/07)
今日はポリスチレン(PS)を合成しました。
中にたまってる白い粉がPS 2011/4/14 筆者撮影
ラジカル重合で作りました。
いわゆる付加重合
n CH2=CHX → -(CH2-CHX)n-
(※ スチレンの重合なら-Xは-C6H5)
の反応ですが、まず反応の発端となる二重結合の解裂を起こさなければなりません。
ここで開始剤(R-R)と呼ばれる、分解してラジカル(R・)を出す試薬を使います。
すると
R-R → 2R・
R・ + CH2=CHX → R-CH2-CHX・
R-CH2-CHX・ + CH2=CHX → R-CH2-CHX-CH2-CHX・
R-CH2-CHX-CH2-CHX・ + CH2=CHX
→どんどん成長
→停止反応(ラジカル同士結合したりする)
→ -(CH2-CHX)n-
とスムーズに反応します。
このように、ラジカル反応を使って重合反応開始し成長反応を起こす反応をラジカル重合と言います。
教科書には簡単に書いてありますが、実際にはこのようにちょっとしたテクを使って反応をスムーズに進行させます。
◎ 参考
- 『基礎高分子科学』高分子学会編, 東京化学同人 (2006/07)
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