一般向け/高校生向け楽しい化け学
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数日前、あまりにも面白い(と言ったら怒られるが)出来事がありました。

事が起こったのは実験を終えて、さあ帰ろうとしたところでした。


ドボン・・・

実験室の教卓の方から、何かが液体に落ちたような音がしました。

目をやると、女学生が廃液タンク(実験で使った薬品を捨てるタンク)を覗き込んでいました。

筆者(ああ、廃液タンクか。またタンクのフタでも落としたのか?)

覗き込んで見ると・・・



ケータイ in 廃液
2011/12/22 筆者撮影


ケ・・・ケータイ・・・

あわれ、女学生の携帯電話は廃液の底に沈んでいました・・・

どうやら、実験を終えて先生としゃべっていた女学生は、実験ノートに乗せていた携帯電話を教卓の横の廃液タンクにホールインワンしたようでした。

よりにもよってかなり小さなタンクの口に・・・

この廃液は、ぱっと見は透き通った水のようですが、実際は水酸化ナトリウムや塩酸、酢酸、酢酸メチル等が混ぜ合わされたpH2くらいの最悪な廃液です。


とりあえず取り出さねば!

トイレにあるようなハサミを取りに走る先生A。

某然とタンクの底に沈んだ自分のケータイを見つめる女学生。

ゲラゲラ笑って写真を撮る筆者。(←最低)

先生Aが戻って来てハサミをタンクに突っ込む・・・届かない!!

先生Aがひらめき、教卓に置いてあったビニール手袋を装備し、手ごとハサミを突っ込んで救出。

すると先生Bがやって来て、

先生B「絶対電源を付けるな!電解液に満たされているから、通電した瞬間ショートして回路が死ぬ!」

続けて

先生B「とりあえずメモリーカードとSIMカードを取り出せ!」

泣きそうになりながらそれらを取り出す女学生。

先生Bはドライヤーを持って来きてくれていました。

ドライヤーでケータイを乾かす女学生。

院生さんもやって来て、

院生「真空乾燥するか?」

(その実験室にはでっかい真空ポンプがあって、壁一面に真空ラインがありました。)


しかし筆者は気付いた。

筆者「そのケータイ、まだ洗ってない!!

洗っていなければ、乾かしたところで廃液が濃縮されて事態は悪い方にしか進まない。

しかし水道水で洗ってはいけない。

水道水は金属イオン等が含まれている電解液だからだ。

筆者は300 mlビーカーにイオン交換水(要する実験用の綺麗な水)を注ぎ、

筆者「貸せい!」

放心状態でケータイにドライヤーの風を当てる女学生からケータイをひったくり・・・



ケータイ in イオン交換水
2011/12/22 筆者撮影


イオン交換水入りビーカーに放り込んで、ゲラゲラ笑いながら記念撮影。(←最低)

ケータイとメモリーカード等をイオン交換水で洗い、とりあえず乾燥。



乾燥される携帯電話
2011/12/22 筆者撮影


女学生「とりあえずsoftbankショップに持ってく。」


女学生「でも、『廃液タンクに落としました。pH2くらいです。』ってショップのお姉さんに言って通じるかな・・・」


しばらくして

「ケータイはダメでした。メモリーカードへのバックアップが古くて、○○君と○○君のメールアドレスがわからなくなったので教えてください・・・」from 女学生

というメールが筆者のケータイに送られてきた・・・


むなしい・・・

今思い返すと無水アルコールとかアセトンとかで洗って脱水して乾燥した方がより良かったかもしれない。

しかし正直、周りのみんなも先生たちもわかっていた。

落とした時点でもう助からないことを・・・


そして、この事故が起こる数十分前に女学生が言っていた言葉を思い出す。

女学生「まだスマホには変えない。お金ないし。もうちょっとこの子(そのケータイ)に頑張ってもらうの!」

・・・いわゆる「フラグ」ってのがここで立ったんだな、と思う筆者でした。


実験は終わった直後が一番気が緩んでいて事故が起こりやすい。

実験室を出るまでが実験です。

とりあえず実験室の中では携帯電話はしまっておきましょう。

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