一般向け/高校生向け楽しい化け学
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現在午前二時過ぎ。
今日(厳密には昨日だけど)は朝から講義を受けて、午後は授業の実験をして、その後学校が施錠される午後9時まで友達とレポート&勉強でした。
帰ってきて色々やって一段落着いたらもうこんな時間。
昨日も一昨日もバイトして帰ってきたら午前1時前だったし、筆者は週の中ごろはいつも寝不足である。
しかし今日の実験は面白かったです。
高校の化学Ⅱの教科書におそらく載っている、ナイロンを作る実験でした。
ジカルボン酸ジクロリド(筆者の高校の教科書ではセバシン酸ジクロリド)の溶液(油系)とヘキサメチレンジアミンの溶液(水系)を、水と油の層が分離するようにビーカーに入れて、その境界面をピンセットで引っ張るとあら不思議、ナイロンの糸が出来る、という実験。
今日筆者はアジピン酸ジクロリドとヘキサメチレンジアミンを同じように反応させてナイロン66を、次にテレフタル酸ジクロリドとヘキサメチレンジアミンでナイロン6Tを得ました。
ムービーを撮ってしまったほどあまりにも糸を引くのが面白かったです。
そのムービーもこのサイトにもUPしたいと思います。
(サーバー的な問題で動画が直接UPできないのでYouTubeとかに投稿して見るしかないかも。とりあえず今日は時間がないです。。。)
ナイロンを作り終わるまでは良かったのです。
できた2種類のナイロンを比較するため手触りを確かめていたのですが、感触が面白くて無駄に触ったため生成物に残留していた薬品に手のひらをやられました・・・
たぶん主にダメージを与えてきたのは溶液に混ぜていた水酸化ナトリウム。
アルカリは皮膚がボロボロになります・・・
後反応性の高い有毒な酸クロリドもいくらか残っていたでしょうから、それにも手のひらをやられたかもしれません。
触りたぐっていたら手のひらから謎の黄色い汁が出てきて気づくという・・・恐ろしい・・・
まぁちょっと薬品が残ってたくらいだから特に大したことでもないのだけれども、洗浄不足と調子に乗ったことを反省。
※ 薬品は危ないので決してこんなことがないようにしましょう!!!
ついでなので、教科書の実験のところだけに出てくる得体の知れない「カルボン酸クロリド」のひとつ、酢酸クロリドについて紹介します。
今日の分子 No.40 酢酸クロリド CH3COCl
WinMOPACで計算・描画。 ※二重結合省略
別名アセチルクロリド、塩化アセチル、塩化エタノイル。
非常に反応性に富み、腐食性があり人体に有毒で、引火性もあり危険。
酢酸CH3COOHの「-OH」が「-Cl」に置き換わった分子。
一般にカルボン酸の「-OH」が「-Cl」に置き換わった物質をカルボン酸クロリドと言います。
カルボン酸と塩化チオニルSOCl2(←これも高校では出てこない)等を反応させて得る。
反応性が高く色々な反応をすることができ有用だが、危険性も高いので取り扱いには注意が必要。
ポリアミド(=ナイロン)を作るとき高校の教科書にある「ジカルボン酸とジアミンを縮合重合させて得る」のは、実際にはかなり困難である。
ポリエステルの場合も同じで、このサイトの 「ペットボトルは作れない!?[応用]」 の項に出てくるように、化学平衡があるからです。
一方、ジカルボン酸の両末端の「-OH」を「-Cl」に変えたジカルボン酸ジクロリドを用いると、反応性が高いのでとてもスムーズに縮合重合します。
n ClCO-R-COCl + n H2N-R'-NH2 → [-CO-R-CO-NH-R'-NH-]n + HCl
だから教科書の実験の反応ではこのジカルボン酸ジクロリドを用いているのです。
高校の教科書で「実は普通のジカルボン酸ではうまくいかない」ということを書くとややこしくなるので、ぼかしてこっそりジカルボン酸ジクロリドを登場させているのです。
◎ 参考
- 『ボルハルト・ショアー現代有機化学〈上〉』, K.Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore著, 野依良治監訳, 化学同人; 第4版 (2004/03)
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