一般向け/高校生向け楽しい化け学
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明日からセンター試験ですね。
うちの大学も会場になっています。
試験の大敵はテンパることとプレッシャーからの腹痛。
筆者はセンターは体調は良かったのですが、国公立前期入試でテンパったようで思うように結果が出せませんでした。
さて、今日はウェブフォームに高校で先生をしていらっしゃる方から投稿がありました。
しかも気に入ってくれたようで、生徒にも勧めたと・・・
とってもありがたいと同時に凄いプレッシャー!!腹痛くなりそう!!
とりあえず頑張ります!
さて、今日は昨日の天然ゴムと対比される物質:ガタパーチャ(グッタペルカ)について紹介します。
今日の分子 No.39 trans-1,4-ポリイソプレン [-CH2C(CH3)=CH-CH2-]n
Jmolで描画 ※ピンクの部分でこの構造を繰り返します。
(関連:今日の分子No.37、38)
cis-1,4-ポリイソプレンと化学式は同じだが、繰り返し単位が繋がる-CH2-が二重結合に対して反対にあるtrans体である。
南国に生育するガタパーチャノキと呼ばれる樹木の樹液からこのイソプレン単位が100%トランス体で繋がったtrans-1,4-ポリイソプレンが得られます。
ちなみにこの樹液も「ラテックス」と呼ばれるのでややこしい。
すごくややこしいですが「ガタパーチャノキ」から得られる樹液「ラテックス」を「ガタパーチャ」(グッタペルカ)と呼ぶのです。
そしてこのガタパーチャから作られるゴム状樹脂をペルカゴム、もしくはそのままガタパーチャと言います。
ちなみにガタパーチャは「gutta-percha」と綴られるので、読み方を変えると「グッタペルカ」になり、そのゴムだから「ペルカゴム」。
ガタパーチャから作られるゴムも多くの場合ガタパーチャと呼ばれているため、以後ペルカゴムのことをガタパーチャと呼びます。
またガタパーチャも天然に得られるゴムなので「天然ゴム」に分類されそう呼ばれることもありますが、後述のように普通のゴムとはかなり違うので、
以後「天然ゴム」をcis-1,4-ポリイソプレンを主成分とする普通のゴムとします。
ガタパーチャは普通の天然ゴム(パラゴムノキの樹液から作られるパラゴム)と違い、硬くて強靭で弾性が低い。
カチカチの樹脂の様。
だからいわゆるゴムとしては使われない。
天然ゴムはイソプレン単位がシス型に繋がったcis-1,4-ポリイソプレンであるが、ガタパーチャはただそれがトランス型であるだけの違いである。
なぜトランス体になっただけでこれだけ性質が変わってしまうかというと、それは分子の形の違いにある。
シス体は分子が曲がっているが、トランス体は真っ直ぐである。
物質の硬さや融点はその分子同士の凝集力に関係する。
分子鎖がきっちり並ぶと分子間力が大きく働き分子同士は強く結びつき、硬かったり融点が高くなったりする。
分子が曲がっているシス体はきっちり並ばせることが難しく分子間力は弱い。
これは不飽和脂肪酸で構成される油脂の融点が低いことと同じ理由である。
一方トランス体は真っ直ぐなため、分子は平行にきっちり並ぶことができ、分子間力は大きく働く。
なので天然ゴムはやわらかいが、ガタパーチャは硬い。
ガタパーチャはゴムとしては使われませんが、他の用途で大活躍しています。
ゴルフボールの外皮が主な用途。
他にも、ライカ等の高級カメラのボディーに本革の代わりに使われたりするようです。
これは、グッタペルカは吸湿性が低く耐腐食性が高いからです。
また「ガタパーチャは空気中では酸化しやすいが,水中では無限の寿命をもっているため,海底電線用の絶縁体として重要であった。
しかし,現在は合成樹脂に置きかわっている。」らしいです。(出典:社団法人日本ゴム協会HP)
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