一般向け/高校生向け楽しい化け学
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現在高校二年生は有機化学に突入したあたりのようです。
筆者が明日受け持っている塾の講義でアルカンの構造や異性体について説明するために分子模型を持って行こうなどと思っていると、筆者が高校生のころ見た或る問題を思い出した。
「直鎖アルカンの沸点は炭素数に対してほぼ等差数列的に増えていくので沸点の予想ができる」というものだ。
その問題ではエタン・ブタン・ペンタンの沸点が示してあって、プロパンは大体どんな値か?みたいな問題だったと思う。
しかしメタンだけはやたらと低い、なぜならば他のアルカンが細長いのに対してまん丸な感じだから法則に乗らない、と。
なんとなく、ネットで適当に調べた沸点を並べてみた。
確かにエタンやブタン、プロパンはほぼ直線的に沸点が増加しているように見える。
しかしグラフにしてみると、対数関数のように少しなだらかになっていっているような気が・・・
面白くなってきたので炭素数1のメタンから炭素数21のヘンイコサンまでズラーっと並べてみると・・・
沸点(K)と炭素数の関係 ※クリックで拡大 |
なんと炭素数に対しかなり綺麗な曲線を描いているではないか!!
しかも、長期的に見ればメタンも曲線にちゃんと乗っているように見える。
すなわち高校のときに見た問題は線形近似的に見ていたので欠陥があったが、実際はもっと美しく複雑な関数だということだ。
この曲線がどんな近似式で表されるのか、対数近似や累乗近似をしたが微妙であった。
しかし y=√x のグラフに似ているような気がしたので、ためしに炭素数に対して沸点の二乗をプロットしてみると
沸点(K)の二乗と炭素数の関係 ※クリックで拡大 |
かなり直線に近い!!(すなわち予想と近い!)
それからもうひとつ、炭素数の平方根に対して沸点をプロットすると
沸点(K)と炭素数の平方根の関係 ※クリックで拡大 |
これも直線に近く、予想はあってそうだ。
すなわち、アルカンの沸点は炭素数の平方根にほぼ比例する。
しかしこの二つの方法で得られた近似式はどちらもちょっと誤差が大きい。
なので試しに軸を入れ替えて二次関数に近似すると
炭素数と沸点(K)の関係 ※クリックで拡大 |
おお!かなり近い!!
上の曲線の式は炭素数を求めるものであるが、沸点を求めたいときは逆関数を考えればよい。
まあ実際に求めるときはExelのゴールシーク(方程式解いてくれるツール)使うけどね。
ただし、誤差の関係でメタンの沸点が二次関数の最小値以下になってるからうまく出ないけど、それはもう目をつぶることにした!
・・・ということで、直鎖アルカンの沸点は炭素数の平方根にほぼ比例する、ということでした。
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