一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今回はかなり重要なことについて書きます。
みなさんは化学の公式をちゃんと覚えているでしょうか?
例えば物質量(n)とモル質量(M)と質量(m)の関係;
m = n × M ・・・・(1)
他に、例えば電子の物質量を出す公式
n = Q ÷ F ・・・・(2)
※ nは物質量、Qは電気量、Fはファラデー定数。
これらの公式を暗記していますか?
もし単に暗記しているのなら、試験中にド忘れしたら問題が解けませんね。
しかし実はこれらの公式は、あるモノに注目すると暗記しなくてもわかるのです。
そのあるモノとは単位です。
例えば簡単な例から。
速さと時間と距離について、小学校で"きはじ"の関係を習いましたね。
小学校で習う「きはじ」(「はじき」とも)
・ 距離 = 速さ×時間
・ 速さ = 距離÷時間 }・・・(A)
・ 時間 = 距離÷速さ
実はこれらは"きはじ"さえも覚えなくてわかるのです。
例えば"速さ"が"m/s(メートル毎秒)"の単位、"距離"が"m(メートル)"、"時間"が"s(秒)"だったとします。
単位だけ見ましょう。単位は変数(x,y,a,b等)と同じく掛け算や割り算ができます。
すると
・ m = m/s × s
・ m/s = m ÷ s }・・・(B)
・ s = m ÷ (m/s)
という関係が単位を見ただけでわかります。
次にこれらの単位を持つ"速さ"、"時間"、"距離"をこれら(B)式と対応させると、
(A)式と対応していることがわかるでしょう。
すなわち単位だけ計算すれば公式がわかるのです。
これをここでは"単位公式導出法"とわかりやすく勝手に名づけましょう。
◎ ちなみにこのように単位(次元)を使って量の間の関係を考えることを専門的には次元解析と言います。
化学の公式に戻りましょう。全く同じです。
(1)の物質量(単位 mol)とモル質量(単位 g/mol)と質量(単位 g)で同じように"単位公式導出法"で考えると
・ g = g/mol × mol
・ g/mol = g ÷ mol
・ mol = g ÷ (g/mol)
と、関係式が作れます。
これらより
・ 質量 = モル質量 × 物質量
・ モル質量 = 質量 ÷ 物質量
・ 物質量 = 質量 ÷ モル質量
という公式が導けます。
どうですか? 覚えなくても簡単に公式が出てきたでしょう!
そして主題の「公式は問題に書いてある」ということに移りましょう。
(2)式の電子の物質量の公式を例にしましょう。
「ファラデー定数って?」
「公式ややこしくて電気分解わからない。」
という人はかなり多いでしょう。
では、下の例題を見てください。
問い:
電気分解をするため硫酸銅水溶液に1.93×105 Cの電気を流した。
流した電子の物質量は何molか?
ただしファラデー定数を9.65×104 C/molとする。
"基本問題"とかによくありそうな問題。
唐突に解いてと言われたら、「えーっと公式は確か・・・」と悩むかも知れない。
しかし上の考えを知った皆さんなら次のように考えて簡単に公式を導出するだろう;
mol = C ÷ (C/mol)
すなわち
物質量 = 電気量 ÷ ファラデー定数
よって
求める物質量 = 1.93×105 C ÷ (9.65×104 C/mol) = 2.00 mol
なんと公式集なんて引っ張り出さずとも、
問題に単位が書いてある=公式が書いてある
と言うことなのだ!!
あともう一つ、計算するときは単位も一緒に計算しよう!
例えば公式を間違ってて
"物質量 = 電気量 × ファラデー定数"
と思い込んでいたとしよう。
これで計算すると
1.93×105 C × (9.65×104 C/mol) = 1.86×1010 C2/mol
となって答えの単位が物質量の"mol"にはならない、すなわち間違っている!!
このように単位を考えて問題を解くことが非常に重要。
まず手始めに、常に計算するときは単位も一緒に計算するようにしてみよう。
これで"リットル"と"ミリリットル"等の補助単位(ミリとかキロとか)のミスもなくなる!!
明日化学の問題集を開いたときにやってみましょう。
!注意!
単位だけでいつでも公式を導けるとは限らない!
例えば物理の運動エネルギーの公式
K = 1/2 mv2
「Kの単位はJ、Jはkgm2s-2、
kgm2s-2 = kg × (m/s)2 だから
"K = mv2" !」
と答えてしまいがちであるが、これは知っての通り間違い!
どうしてだろうか。
それは厳密には"掛け算"ではなく"積分"で、"割り算"ではなく"微分"だからである。
だから本当は
距離 = 速さ × 時間
ではなく
距離 = ∫(速さ) d(時間) ;速さの時間積分
である。(少し難しい)
しかし「単位も一緒に計算して間違いを防ぐ」という方法はいつも成り立つので、ぜひそれは行ってもらいたい。
あと、高校の化学の計算ではほぼ間違いなく"単位公式導出法"でうまくいきます。
物理の時間ではちょっと気をつけましょう。
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