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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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かなり多くの人が「モル」が理解できず化学に苦手意識を持ちます。

未知の言葉、「モル」。

では一体「モル」とは何なんでしょう?



コップ一杯には約10モルの水分子が入っている。



―「モル」≒「ダース」―


「モル」と「ダース」は実は非常に似ています。

ではまずダースから考えてみましょう。


「鉛筆1ダースは鉛筆何本ですか?」と聞かれたら

「12本」と簡単に答えられるでしょう。

知っての通りダースとは或る物12個の束ですね。


では鉛筆2ダースでは?

24本ですね。

これは

12本/ダース × 2ダース = 24本

という計算をしたのです。


では3.5ダースでは?

12本/ダース × 3.5ダース = 42本


では48本は何ダースですか?

48本 ÷ 12本/ダース = 4ダース

ですね。


ではここで「1ダースは12本」というのに対して「1モルは6×1023個」という新しい束の単位があるとしましょう。

まだこの段階では原子も分子も考えないでください。

ではダースのときと同じように考えてみましょう。

鉛筆1モルは何本ですか?

上で定義したとおり「6×1023本」ですね。


では2モルでは?

12 ×1023本 (=1.2×1024本)

ですね。


では24×1023本(=2.4×1024本)は何モルでしょうか?

(24×1023本) ÷ (6×1023本/モル) = 4モル

ですね。


モルというものはダースと全く同じく物の束の数をあらわす単位なのです。

ただ「ダース」という言葉が「モル」に変わって、

「12」という数字が「6×1023」に変わっただけなのです。


ではなぜ原子や分子の個数を表すとき「モル」を使うのでしょう?

まず、なぜダースという言葉を使うかというと、

「鉛筆120本を仕入れた」というと数が大きすぎてよくわからないですが、

「鉛筆10ダース仕入れた」というとわかりやすいからです。

同じように、原子や分子の個数は非常に多いので、「モル」という束で考えたほうが計算がしやすいのです。

「このコップの中には6×1024個の水分子が入っている」

と言うより

「このコップの中には10モルの水分子が入っている」

と言ったほうが格段に楽です。

このように、要するに「モル」とは「ダース」と同じで物の束の数を表すものなのです。


―モルとアボガドロ定数―


では「モル」をもう少し専門的に見ていきましょう。

先ほど述べたように、「1モル」は物質「6×1023個」のことです。

物質の量なので物質量といい単位は mol です。


1molは必ず物質6×1023個です。

「酸素分子1mol」は酸素分子が6×1023個で

「水素原子1mol」でも水素原子の数は6×1023個です。


ではこの「6×1023個」とはどこから出てきた数なんでしょうか。

この数のことをアボガドロ定数と言います。

これは質量数12の炭素12gに含まれる炭素原子の数として定義されていて、より詳しい値は

6.02214179....×1023個/molです。(単位の"個"は省略可)

です。


他にも「モル」には

「0℃1気圧の気体分子1molはその種類によらず22.4Lの体積を占める。」

という法則(アボガドロの法則)等、色々な面白い性質があります。



◎ 補足;コップの中の水分子は何モル?


冒頭に「コップ一杯には約10 molの水分子」があると述べました。

試しに本当にそうかどうか計算してみましょう。

水の密度は1 g/mLなので、コップ一杯(約200 mL)には約200 gの水が入っています。

一方水分子の分子量は18、すなわち18 gの水中に1 molの水分子が入っているので

(コップ中の水分子の物質量) = 200 g ÷ 18 g/mol ≒ 10 mol

となるわけです。

言いかえれば、コップ一杯には

6×1023 個/mol × 10 mol = 6×1024

の水分子が入っているというわけです。

コップの中には膨大な量の水分子が入っているとわかります。
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