一般向け/高校生向け楽しい化け学
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数日前貰った石鹸の原材料名の欄に「エチドロン酸4Na」と言う物質が書かれていました。
聞いたことがあるようなないような物質。
ちょっと調べてみました。
今日の分子 No.74 エチドロン酸 CH3C(PO3H2)2OH
系統名;1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイルジホスホン酸。
エタノールにリン酸(正確にはホスホン酸)がくっ付いた形をしている。
いわゆるキレート剤※で、金属イオンを挟み込む形で安定な錯体を作り、封鎖・隠ぺいする。
上の画像からわかるように、電離するとリン酸イオンユニットとヒドロキシ基の孤立電子対がUFOキャッチャーの爪のごとく金属イオンを抱きかかえるのであろう。
※ キレート錯体、キレート剤とは?
多配座配位子(例えば多価の酸等)で、配位点がある距離離れている化合物はUFOキャッチャーのごとく金属イオンにまとわりつき包み込むように錯体を作る。
このような錯体をキレート錯体といい、そのような作用をする配位子をキレート剤という。
金属イオンにちょうどフィットするように配位点の距離があり、多配座なものがこの作用が大きい。
キレート錯体はとても安定で、金属イオンは一度キレート剤につかまったら最後、金属イオンがそこに存在しないかの如く不活性化してしまう。(;隠ぺい)
○ エチドロン酸4Na
よく原材料名に「リン酸2Na」等、「○○酸□【金属】」という書き方をしている物質がある。
これは、例えばリン酸2NaならNa2HPO4のことであり、要するにその多価の酸のH+がいくつ分金属イオンに置き換わっているかを表す書き方である。
だからエチドロン酸4NaならCH3C(PO3Na2)2OHであり、全てのHがNaで置き換わった塩を表している。
エチドロン酸4Naは石鹸によく配合されているらしい。
配合している理由は、製造過程でどうしても石鹸に入ってしまう金属イオンをエチドロン酸イオンを加えて安定なキレート錯体にしてしまうことで金属イオンを封鎖するためらしいです。
金属イオンはそのまま石鹸に入ったままにしておくと、長期間保存したときに石鹸の劣化の原因になってしまうらしい。
だから、エチドロン酸のキレートの中に閉じ込めてしまうことでそれを防いでいる、ということらしいです。
同じようなキレート剤の役割をする物質として、エデト酸(もしくはEDTA;エチレンジアミンテトラ酢酸)という物質があります。
大抵の石鹸やシャンプーの原材料名に「エデト酸塩」や「EDTA-4Na」とかそういう感じで書いて配合されていると思います。
チェックしてみましょう。
○ エチドロン酸2Na
エチドロン酸二水素ナトリウムCH3C(PO3HNa)2OHのこと。
こっちは医薬品です。
吸湿性で水に易溶、エタノールにほどんど溶けない白色の粉末。
骨粗鬆症等の骨の病気の薬に使われるそうです。
リン酸系のイオンはカルシウムイオンと強く結び付くので、これを飲むことで骨の代謝を抑制することができるらしい。
具体的には、ヒドロキシアパタイト(骨の主成分のカルシウム塩)との親和性が大きく、ヒドロキシアパタイトの結晶が形成される過程を抑制したりするらしい。
以上のように、あまり聞き慣れない物質ですが我々の生活に関係する重要な機能物質なのでした。
このように身の回りの製品の原材料欄を読むとたくさんの「働く分子」に出会えます。
彼らは縁の下の力持ち、庶民に名が知られぬとも我々の生活を陰で支えるヒーローなのです。
一度色々な製品の原材料欄を読んで、色んな物質について調べてみましょう。
◎ 参考
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