一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今日塾でアルバイトをしていると、セルシウス温度と絶対温度の取り扱いでわけがわからなくなっている方がいました。
確かに「温度」と「温度差」はややこしいので、ちょっと今回はそれを取り上げてみましょう。
「温度」と一口に行っても、「セルシウス温度(単位℃)」と「絶対温度(単位K)」の二種類あります。
セルシウス温度は「今日の気温は5℃で寒い」とかのいつもの温度です。
一方絶対温度とは、それより寒くはならない限界の温度「絶対零度」である-273℃を0K(K;ケルビンと読む)と決めた物理学的な温度です。
だから同じ「温度」でもセルシウス温度と絶対温度は別の単位を持つ別物です。
しかし「温度差1℃」と「温度差1K」は等しいため
・ -273℃ = 0K
・ 0℃ = 273K
になります。
さて、早くも「温度」と「温度差」で頭がこんがらがってきました。
両者の違いをよく考えて、「温度差1℃と温度差1Kは等しい」とはどういうことか考えてみましょう。
◎ 「温度」とは。
温度とはいわゆる「熱いか冷たいか」を表す量で、物理学的には物質の構成粒子の運動の激しさに対応します。
とりあえず物理学的意味に関してはこのくらいにして置いておいて、「温度差」というものに対して言うと次のようになります。
「温度」とは温度計の針(もしくは温度計の液の上端)が示している数字である。
「温度は5℃だ。」
なんの難しさも無い。
いつもの通りの温度。
さて、「℃」の単位を持つ温度計は上のようになっていてよく知っていますが、「K」の単位を持つ温度計は見たことがないと思います。
もし「℃」の単位を持つ温度計と「K」の単位をもつ温度計を並べたら次のようになります。
「温度は1℃=274Kだ。」
セルシウス温度tと絶対温度Tの間には
T = t + 273
という関係が成り立ちます。
(-273℃ = 0K だから。)
だからもし25℃の部屋で「℃温度計」と「K温度計」を並べると上の図のようになるでしょう。
両者の違いは、単に数字が273ずれているだけです。
以上が温度1℃と温度1Kは、数値が273だけずれていて違うということです。
◎ 「温度差」とは。
温度差とはいわゆる「今日は昨日より2℃温かい」(温度差が2℃だ)等と言う使い方をする量です。
すなわち、或る温度と或る温度の差を表しています。
さて、「温度1℃と温度1K」は上記のとおり違いますが、実は「温度差1℃と温度差1K」は同じです。
なぜか。
それは「℃温度計」と「K温度計」を並べた下図を見るとわかるように、セルシウス温度と絶対温度は一目盛りの間隔が等しいからです。
「℃温度計」と「K温度計」は一目盛りの間隔が等しい。
ゆえに「温度差」を表す時は単位℃と単位Kは同じです。
要するに「今日は昨日より2℃温かい」と「今日は昨日より2K温かい」は同じ意味です。
※ もちろん温度を表すときは℃とKは違うので、「今日の気温は25℃だ。」と言うのと「今日の気温は25 Kだ。」と言うのは全く異なります。
「今日の気温は25℃だ。」=「今日の気温は298Kだ。」が正しいです。
さて、「℃」と「K」の単位入れ替えの本題に入っていきます。
例えば水の比熱(1gの物質を1℃上げるために必要なエネルギー)は
(水の比熱)= 4.2 J/(g・℃)
ですが、この「℃」は「温度差」を表しているので「K」と同じなので
(水の比熱)= 4.2 J/(g・K)
と、℃をKに入れ替えても同じです。
(「1℃温める」というのと「1K温める」は同じだからです。)
一方、温度T[K]の時に気体分子が持つエネルギーは、ボルツマン定数kを使うと
(気体分子が持つエネルギー) = 3/2 kT
です。
しかしこの絶対温度T[K]は「温度」なのでセルシウス温度t[℃]とは違います。
だから
× (気体分子が持つエネルギー) = 3/2 kt
です。
セルシウス温度t[℃]で書きなおしたければ
○ (気体分子が持つエネルギー) = 3/2 k(t+273)
となります。
以上のように、℃やKの温度は温度でも「温度」か「温度差」かきちんと区別して考えないとめちゃくちゃになります。
気をつけましょう。
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