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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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3週間程前から地道に作っていた電源装置が完成しました!!

電子工作は楽しい。



筆者手製の電源装置:豆電球に送電


・出力;DC 0.1V~30V

・入力;家庭用コンセント(商用AC100V, 50~60Hz)

コンデンサやトランス、三端子レギュレータ、ダイオード等などを買ってきてハンダ付け。

実際は外箱の作成に主に大部分の時間を取られていましたが。

最初はプラスチックのスケルトンを予定していたのですが、強度の関係で試行錯誤の末アルミ製に変更。

アルミはプラスチックや木より穴あけに技術(主に工具)が必要ですが、粘り気が強くて多少乱暴にドリルかけても割れないのでむしろ楽だったかも。

結局なかなかの見栄えの物ができたから満足です。

少なくとも中学校の理科の実験で電源装置を使った記憶がある大部分の人は、これが電源装置だとわかるでしょう。


以下謎の写真集。



正面


電流計、電圧計、出力端子(赤;+、黒:-)、出力ボリューム(可変抵抗)、スイッチ(トグル)、パイロットランプ(アンバー色LED)、ヒューズが取りつけられています。



背面


家庭用コンセントにつなぐためのプラグが伸びています。



底面


ゴム製の足が付いています。

ねじ止めがたくさんあるのは中の基盤やトランスを留めるため。



内部


このアルミ箱は側面と上面の三面がガバっと取れる構造になっています。

真ん中のどでかいのがトランス(変圧器;二つのコイルが向い合せになったもの)です。

100Vを変圧するとなるとかなり結構大きなトランスが必要になってきます。

右上にあるのが三端子レギュレータ(整流素子の1つ)ですが、整流時の余分な電気エネルギーをジュール熱として放出するのでヒートシンク(放熱板)を装備する必要があります。

あんまり見えないけど左上がコンセントにつながる線ですが、引っ張った時に抜けないようにPET製のベルトで抜け止めしています。
(そのさらに左にある黒いのはコンデンサ。)

左にあるのがメインの基板。

全体的にリード線がスパゲッティ状態で雑、ハンダ付けも下手になってしまったのを反省。
(今まで片ラグ板(地面と垂直に立てる基板)を使ったことがなかったから要領がね・・・)

しかし箱を閉じれば綺麗に見える!!(←こういう考え方は良くない。)


さて、なぜ電源装置を作ったかと言うと、

(1) 分子模型用の発泡スチロール球を切るための電熱線カッターの電源にする。

(2) 電気分解して楽しむ。

(3) 色々な水溶液や素子(ダイオード、LED、FET等)の電圧-電流特性を測定する。

と言うことです。


分子模型を作るために電源装置から作ったと言うと滑稽に聞こえますが、いやこれがなかなか重要。

電熱線カッターは電熱線に電気を流してジュール熱を発生させる装置ですが、すなわち抵抗が小さくて大きな電流が流れるので消費電力大。

乾電池で駆動させるとすぐ電池切れしてしまいます。

あと、乾電池では1.5Vの倍数しか電圧がかけられないので、望みの電圧がかけられなかったり・・・・

しかしもうこれで問題ない!!

それと中学生のころに理科で分子模型を作った時はあの重くて高価な電源装置を使っていたので、そのイメージからぜひ電源装置を使いたいと思っていまして。


電気分解に関しては、これも電圧可変な装置がないと無理。

試しに炭素電極(鉛筆の芯)で食塩水を電解してみましたが、嗚呼想定通り陽極から塩素臭・・・
(危険なので真似せぬこと!)

食塩水の電解

陽極; 2Cl- → Cl2↑ + 2e-

陰極; 2H2O + 2e- → H2↑ + 2OH-


電流-電圧特性の測定に関して、とりあえず電源装置の性能(表示電圧/電流)の確認がてら抵抗器とLEDで試してみました。



抵抗器のI-V特性(電圧計のブランクとして0.5V引いている)


電圧Vが電流Iに綺麗に直線関係になっています。

オームの法則です。抵抗をRとすると

V = RI

測定点に対し「最小二乗法」という統計学的手法で近似直線を引くと、上の式よりその直線の傾きが抵抗になります。

すなわちこの測定結果からは

R = 33.0Ω

となります。

一方、この抵抗器に印字されている抵抗は・・・

あれ?古くて第二帯が茶色か橙か判別できない・・・

「橙橙黒金」(=33Ω)か「橙茶黒金」(=30Ω)です。

前者ならばっちり合っていることになります。

どちらにせよ、電源装置の表示電圧/電流はおかしくはないようです。

しかし近似直線に少なからぬ値の切片があることからわかるように、あくまで目安であり厳密な測定には向かなさそうです。




LEDのV-I特性(電圧計のブランクとして0.5V引いている)
※ 抵抗のグラフとは軸が反対であることに注意


アンバー色(琥珀色)のLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)の電圧-電流特性。

最初は電圧をかけても電流が流れず、閾値2Vを超えると一気に電流が流れだす(&光る)。

理論通りのとても奇麗な結果にちょっと感動。

LEDは半導体をpn接合して作られた無機電解発光素子。

半導体ではオームの法則は成り立たない
(ちなみに電解質水溶液でも成り立たない;オームの法則はある電子が自由に動ける理想的な条件下でのみ有効。)

アンバー色なのでAlInGaP系材料が使われているのでしょうか。
(たぶんAsは使われていないでしょう。)

組成は

AlxInyGa1-x-yP

となります。

Al、Ga、Inは13族で三価、Pは15族で3価なのでAlInGaのモル数の合計とPのモル数は等しい。

材料の組成を変える(xとyを変える)ことである範囲で自由にLEDの発光色を変えることができます。

このように複数の元素を混合して(バンドギャップを調整して)作られた半導体材料をテーラードマテリアルと言います。


ちなみに筆者の十八番は有機半導体素子。

化学(有機化学・無機化学・有機金属化学・物理化学)と物理(電気)が組み合わさった領域。

化学だけではなく電気も好き。

「メイン + サブ」の学問の合成でより発展的で面白い学問領域が開拓されます。

そういうのが頭を使って面白い。


ああ、あともう1つLEDで面白いことがわかりました。

LEDは20Vくらい電圧をかけると爆発する。

無茶なことはやめましょう。


◎ 参考

『電子工作大図鑑』伊藤尚未著, 誠文堂新光社(2006)

↑これは電子工作の入門書としてかなり素晴らしいオススメの本です。

電源装置の作り方も載ってます。

大きくて分厚くて2000円足らず。

抵抗の読み方から基板回路の作り方、テスターの使い方やドリルの改造法まで載ってるバイブル。
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