一般向け/高校生向け楽しい化け学
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現在先生も学生もノーベル化学賞で活気付いています。
なので先日偉大な日本人化学者二名が受賞されたノーベル化学賞の反応について掲載してみます。
今日は鈴木章先生が開発なされた「鈴木カップリング反応」について。
今から少し昔、1970年代以前は複数の有機化合物同士をくっつけて新しい化合物を作るというのは非常に難しかった。
要するに、炭素-炭素結合を新しく作り出すことが困難だった。
当時鈴木先生は有機ホウ素化合物について研究されていました。
そして1979年、パラジウム触媒と有機ホウ素化合物を使って、二種類の有機化合物同士を自由自在に結合させる夢のような化学反応「鈴木カップリング」を発明されたのです。
これはまさに夢のような反応です。
二つの有機化合物をカチッとブロック遊びのように好きに繋げることができるのです。
具体的な反応を見てみましょう。(『ウォーレン有機化学〈下〉』を参考)
①(赤)の化合物と②(青)の化合物をくっつけて③の化合物を作る反応。
まず①と有機ホウ素化合物(カテコールボラン)を反応させ、次いで水と反応させ、①'を作ります。
※ 以下の反応はわかりやすくするため副生成物を除いています。
次にパラジウムと塩基の存在下、①'と②を反応させます。
すると-B(OH)2と-Brが取れて、その代わりC-C結合ができるという結果です。
ちなみにもう少し詳しく書くと、途中パラジウムが割り込んできて、PdのBrと①'の①部分が交換されます。
ここからパラジウムだけ取れて③が生成するというカラクリです。
(PdL2の"L"はリガンド、すなわち配位子のことです。)
このような有機ホウ素化合物とパラジウムを使った一連のクロスカップリング反応を「鈴木カップリング」もしくは「スズキ・カップリング」、「鈴木-宮浦カップリング」といいます。
この反応はたくさんの用途に使用でき、画面の液晶・医薬品・その他工業的な大量生産にも使えます。
この反応は大学の教科書に当たり前のように載るほど、化学を学ぶ上で重要で必須な反応です。
もちろん筆者の教科書にも鈴木先生の名前と反応が載っています。
また筆者の或る先生は、ノーベル化学賞が発表された翌日一番に「この反応は化け学やっている人は合成が専門でなくとも絶対に知っておかなくてはならない程重要な反応です。知っているのが常識ですから、絶対に理解しておいてください!」
っととても喜んでおりました。
学生的には何故か説教されているようにしか聞こえませんでしたが(笑)
◎ 参考
- 『ウォーレン有機化学〈下〉』, Stuart Warrenら著, 野依良治監訳, 東京化学同人 (2003/02)
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