一般向け/高校生向け楽しい化け学
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昨日の『化学ビデオ講座No.1 :アルミニウムと塩酸の反応』に関連して、今日はアルミニウムと水酸化ナトリウムの反応です。
アルミニウムが両性元素であるため酸だけでなくアルカリとも反応するということと、水素の性質がどっちもわかる一口で二度おいしいお得な実験動画です。
化学ビデオ講座No.2 :アルミニウムと水酸化ナトリウムの反応
<動画の要約>
アルミホイル(Aluminium foil)を水酸化ナトリウム水溶液(a solution of sodium hydroxide)に入れると、気泡(H2)を生じながら溶けた。
生じた気体を風船にして閉じ込めると、風船は空中に浮かび、火をつけると爆発的に燃焼した。(すなわち、生じた気体とは水素である。)
<解説>
アルミニウムは「両性元素」であり、酸にもアルカリにも水素の発生を伴って溶ける。
(『化学ビデオ講座No.1 :アルミニウムと塩酸の反応』も参照)
反応式は
2Al + 2NaOH + 6H2O → 2Na[Al(OH)4] + 3H2
である。
生じる塩;Na[Al(OH)4]はテトラヒドロキソアルミン酸ナトリウムと言い、Na+と錯イオン[Al(OH)4]-(テトラヒドロキソアルミン酸イオン)から成る。
両性元素には他に亜鉛Zn等があり、Znも同様にNaOH水溶液に水素を生じながら溶ける。
また、酸化物Al2O3やZnOも酸にもアルカリにも溶けるので「両性酸化物」と呼ばれる。
これらは高校化学でも出てきて重要。
水素は分子量2で空気の平均分子量29より小さく軽いので、風船にすれば浮かぶ。
水素は非常に着火しやすく(空気中での最少発火エネルギーがなんとたった約0.02mJ!!)、激しく燃焼・爆発して非常に危険な気体である。
ちなみに筆者は高校生の頃3週間程カナダの高校に研修で通ったことがあったのだが、ZnとHClを反応させて生じた水素を動画と同じような感じでゴム風船に詰めて火をつける実験をさせてもらった。
日本ではあまり聞かない実験であるが、欧米では人気な実験なんだろうか?
本当に「ボン!」っと音を立てて吹っ飛んだ。
ダイナミックなところが欧米ウケするのだろうか・・・
※ 参考;テトラヒドロキソアルミン酸イオン
普通[Al(OH)4]-という化学式であらわされる錯イオンだと書かれるが、実際はもう少し難しい。
実際は[Al(H2O)2(OH)4]-という、Al3+を中心とした6配位の錯イオンである。
(いつもの書き方は水が省略されている。)
だから実は8面体構造をしている。
この錯イオンは水和Al3+イオンである[Al(H2O)6]3+の内4つのH2OのH+が電離した形とも捉えられる。
Al2O3(水に不溶)にNaOHを加えると、水中に微量存在するこの水和アルミニウムイオンの電離平衡を電離側に進ませる(中和する)ため、Al2O3が溶けるのである。
>> 田村由光様への拍手レス
◎ 参考
- 『チャート式シリーズ 新化学I』野村 祐次郎(著), 辰巳 敬 (著), 本間 善夫(著), 数研出版 (2003/11/1)
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