一般向け/高校生向け楽しい化け学
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高校の化学Ⅰの教科書の後ろの方;有機化学の後半はベンゼンを代表とする芳香族化合物についてである。
芳香族化合物;ベンゼン、ナフタレン、クロロベンゼン
・・・・が!
大前提の「芳香族」を何と読むかが書いていない!
「芳香族」は「ほうこうぞく」と読みます。
良い匂いのする「芳香剤」(ほうこうざい)の「芳香」(ほうこう)です。
「当たり前だろ(笑)」等と笑ってはいけない。
結構な割合で読み方がわかっていない生徒がいる。
間違う人は大抵「ほうかぞく」と読んでしまうようだ。
ちなみに、筆者も最初は「ほうかぞく」だと思っていた。
※ ただし、その時の「筆者」とは当時まだ中学生であった。
無論高校の教科書は持っていなかったので、父親が使っていた大学の有機化学の教科書で独学に励んでいたが、読んでいるだけなので誰も読み方を教えてはくれなかったわけで、色々読み方を間違えていた。
「芳香族」のその語源は「特有の臭いのある化合物群」である。
「芳香族化合物」は英語では「aromatic compounds」という。
「aromatic」(アロマティック)はいわゆる「アロマキャンドル」とかの「アロマ」で、要するに「ニオイがする」ということである。
その昔、C6H6の3つの二重結合を持つ環状骨格の化合物群は決まって特有の芳香を持つのでそれらを芳香族化合物と呼んだ。
二重結合を持つのに通常の条件では付加反応をしないそれらは、当時からすると全く摩訶不思議な物質であった。
今ではなぜそれらが特別な性質を持つのか、量子力学の手法を用いて解明されている。
また、現在では「芳香を持つから芳香族」、「ベンゼンの六角形があるから芳香族」という定義ではない。
例えば、今では次のような「非ベンゼン系芳香族化合物」と呼ばれる化合物も芳香族化合物に分類される。
非ベンゼン系芳香族化合物;ピリジン、アズレン、フラン、フェロセン
なぜこれら化合物も「芳香族性」(;ベンゼンのように二重結合があっても割かし付加反応に安定、等の性質)を持つのかという説明はとても難しい。
しかし上の構造を見れば少しわかるように、どれもベンゼンと同じく「平面」「環状」である。
「二重結合が交互にある」という条件は、定義が少し拡張されて必ずしも成り立っていないが、同様なことになっている。
一番重要なことはこれら性質プラス「共鳴構造が書ける」という点である。
ベンゼン/アズレンの共鳴式
この「共鳴構造が書ける」という性質がいわゆる「1.5重結合」の性質を表し、分子を安定化させている。
このように共鳴が書けることを専門的には「電子の非局在化」(=電子が一か所に固まっていない=分散している)と言います。
これ以上は分子軌道なる概念に触れて難しいので今日は触れませんが、なんしか今日言いたかったことは
「芳香族」は「ほうこうぞく」と読む!
ってことです。
「芳香剤」の「芳香」です。
ぜひ覚えておきましょう。
「芳香族」の読み方に限らず、熟語の読み方を間違えると地味に恥ずかしい目に遭います。。。
◎ 参考
- 『ボルハルト・ショアー現代有機化学〈上〉』, K.Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore著, 野依良治監訳, 化学同人; 第4版 (2004/03)
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