一般向け/高校生向け楽しい化け学
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フェーリング反応:
フェーリングA液(硫酸銅(II)五水和物の水溶液)とフェーリングB液(酒石酸カリウムナトリウムと水酸化ナトリウムの水溶液)を混ぜたフェーリング液を作る。
アルデヒドをここへ入れると酸化されカルボン酸になり、Cu2+イオンが還元されてCu2+になり酸化銅(I)の赤色沈殿が生じる反応。
アルデヒドの検出ができる。
銀鏡反応:
アンモニア性硝酸銀水溶液(トレンス試薬)にアルデヒドを入れると酸化されカルボン酸になり、銀(I)イオンが還元されて金属銀になって試験管の内側に銀が鏡のように析出する反応。
アルデヒドの検出ができる。
一方・・・
アルデヒドでも、ギ酸HCOOHやベンズアルデヒドC6H5CHOはフェーリング反応を起こさない!(と多く書かれている。)
高校化学でもよく参考書等に載っているようだ。
ちなみにギ酸がフェーリング反応を示さない(より正しくは"示しにくい")のは、ギ酸イオンが銅イオンと安定な錯体を作るからとか何とか。
ベンズアルデヒドがフェーリング反応を示さないのは、フェーリング溶液はアルカリ性であるが、アルカリ性条件ではカニッツァロ反応(ベンズアルデヒドが自己酸化還元反応してしまってベンジルアルコールと安息香酸になる)とよばれる反応が起きてしまうためである。
(と書かれていることが多い。ちなみに銀鏡反応もアルカリ性であるが、銀(I)イオンは酸化力が強いのでうまくいくとかなんとか。)
しかし!
先週学科の友達がベンズアルデヒド(と思われる物質)で見事フェーリング反応を起こしたらしい。
う~む。
根性使って反応温度うまいことしたらベンズアルデヒドでもフェーリング反応することができるのかもしれない。
(もしくはソイツの使ったサンプルがベンズアルデヒドでないかである。)
実は反応条件(反応温度・物質の濃度 etc)を変えると、化学反応の結果が変わることは多々ある。
例えば、ギ酸は実はフェーリング反応を「起こさない」ではなく「起こしにくい」であって、条件いじって頑張ったらフェーリング反応できるらしい。
(むしろ実はいじらなくてもちょっとは起こっているらしい。)
また、ホルムアルデヒドは普通にフェーリング反応を示す(要するに酸化銅(I)を沈殿する)と書いてあるが、還元力が高いため濃度が高かったりすればむしろ金属銅まで還元、すなわち銅鏡反応とでも言えそうな結果を示すらしい。
このように、反応の結果は一概に言えるとは限らないのだ。
今日フェーリング反応関係でネットで検索かけてみたら、幾年前のセンター試験の「出題ミス」(と彼らは言う)を罵り叩く掲示板を見つけた。
なんでも、問題では「フェーリング反応を示す物質」なるものに対して選択肢から「ギ酸」を選ばなければならなかったらしい。
で、彼らは「示さない。終了。」とか「錯体ができるから。○○○参考書にも書いていた。以上。」とか「ギ酸がフェーリング反応しないのは常識。出題者は馬鹿」とか書いていたのですよ。
なんだかすごく残念だと思いました。
これは「化学」でしょうか。
教科書や参考書に書いてあったことを覚えて問題の答えを選ぶ・・・
筆者にはこれが「化学」もしくは「自然科学」しいては「学問・学び」とは思えません。
なんだか、現代日本の中学・高校教育の、こういう冷めた思考を植え付けるような方式がいわゆる理科離れなるものに繋がっているのかもしれないと思いました。
どうでしょうか?
好奇心を持って、頭を使うのが科学だと思います。
だから
「カスタードクリームは砂糖ではなく食塩を使っても作れるのだろうか。負に帯電したタンパク質をプラスのナトリウムイオンで引いて○×△□・・・」
と悩み、現在資料を漁っているJerryさん(梅酒の化学の人)は、罵る彼ら「ハイレベル化学受験生」よりもずーーーっと「化学者」であると思います。
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