一般向け/高校生向け楽しい化け学
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昨日・一昨日とスチレンの重合の記事を書いていたので、今日もそれに関連してこの分子。
数日前の実験でポリスチレンを作るときに重合開始剤として用いた物質です。
今日の分子 No.50 アゾビスイソブチロニトリル [C(CH3)2CN]2N2
Jmolで描画
正式名称:2,2'-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)
略称:AIBM
無色の固体。
不安定なアゾ化合物であり、熱・光・衝撃により容易に分解し爆発することもある。
第五類危険物、第一種自己反応性物質(危険等級I)として消防法で危険物指定されている。
ちなみにニトログリセリンやトリニトロトルエン、ニトロセルロースも同じく第一種自己反応性物質である。
要するに加熱や衝撃で爆発してしまうという超危険な物質である。
またAIBNは有機シアン化合物で劇物指定もされている。
AIBNはゆっくり加熱すると次のように分解し、ラジカルを生成する。
このラジカルは誘発分解(※)しにくいため、優良な重合開始剤となる。
すなわちスチレンに混ぜてゆっくり加熱すると、一昨日の記事の
R-R → 2R・
に相当する反応を担う。
※ 誘発分解:生成したラジカルがさらに分解したり、まだ未分解の分子を攻撃すること。開始剤の無駄な消費になってしまう。
同様に重合開始剤として過酸化ベンゾイル(C6H5CO)2O2も有名だが、 コイツは誘発分解するはAIBN以上に爆発しやすいはで微妙。
ただし、AIBNは密栓して保存しておくと、自然に分解して放出した窒素で内圧がかかって危険なことや、毒性などの欠点がある。
◎ 参考
- 『基礎高分子科学』高分子学会編, 東京化学同人 (2006/07)
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