一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今日の分子No.49 今日は筆者が昨日実験で使ったスチレンを紹介します。
今日の分子 No.49 スチレン C6H5CH=CH2
Jmolで描画
別名スチロール。
一置換ベンゼンで、芳香族炭化水素に分類される。
無色透明の液体。
引火性があり、消防法では第四類危険物に指定されている。
工業的にはエチルベンゼンC6H5CH2CH3を触媒で脱水素して作られる。
C6H5CH2CH3 → C6H5CH=CH2 + H2
身の回りにもあるプラスチック(例えば発泡スチロール)のポリスチレンの原料。
スチレンが付加重合するとポリスチレン(略号PS)になる。
n C6H5CH=CH2 → [-CH2-CH(C6H5)-]n
(実際には重合開始剤(2011/4/14のブログ参照)やその他もろもろの薬品も反応させる。)
このとき「スチレンはポリスチレンのモノマー(単量体)である。」「ポリスチレンはスチレンのポリマー(重合体)である。」 「ポリスチレンはスチレンをモノマーとするポリマーである。」等と表現する。
要するにポリスチレンはスチレン単位同士が長く繋がった高分子である。
ポリスチレンは今や生活に欠かせないプラスチック材料であるため、その原料であるスチレンは非常に重要である。
また、スチレンは他の不飽和炭化水素とともに重合させ、二種類以上のモノマーから成るポリマー(共重合体)を作ることもできる。
たとえばブタジエンと共重合させるとスチレン-ブタジエンゴムを作ることができる。
ちなみにスチレンは、同じようにポリマーを作るアルケンであるエチレン等よりかなり重合させやすい。
というのも、スチレンにはフェニル基(ベンゼンの水素がひとつない基C6H5-)があるためである。
ベンゼン環が付いていると、ベンゼン環の隣にある炭素はかなり反応性が高くなる。
するとスチレンはマイナス電荷的な反応剤ともプラス電荷的な反応剤とも、電気的には中性なラジカルの反応剤ともよく反応し重合反応を起こす。
そのためスチレンはさまざまな他のモノマーの反応性を比較するときの指標とされている。
◎ 参考
- 『基礎高分子科学』高分子学会編, 東京化学同人 (2006/07)
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