一般向け/高校生向け楽しい化け学
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アクセス解析でこのサイトの検索ワードを見ていると、二週間に一回くらい「高校化学 ウソ」というワードで調べてくる人がいます。
思いっきり「ウソ」は書いていないでしょうが、難易度の問題上ややこしい話は避けるので、そういう意味では化学的に微妙なところもあります。
そこまで言ってしまうと、「化学平衡の式はあんまり成り立たない(場合が多い)」や「理想気体の状態方程式やファントホッフの式で計算してもずれが大きい(場合が多い)」等など、いくらでも言えてしまう。
しかし中には本当に「いや、そうでもないぜぇ~?」って言うのもある。
例えば筆者が高校のとき使っていた教科書にはこう書いてある。
「炭酸H2CO3は単独では存在せず、水溶液中においてもほとんど存在しない。」
確かに普通炭酸そのものはお目にかかれないし、水溶液中でほとんど存在していないため、「H2CO3」と記する化学反応式を書くのはあまり賢明ではない。
多くの「化学のできる人」は炭酸H2CO3の形では存在しないと思っているような気がします。
しかし最近、どうにも炭酸H2CO3は、それ単独では非常に安定な化合物であることがわかってきたらしい。
・・・と筆者の大学の教科書には書いてある。
高校の教科書の敗北。
しかし出版年を見ると、どうにもその教科書が発行された時期はまだ炭酸の安定性が知られていなかったようです。
このような自然科学の分野では、ちょっと研究が進んだだけで今までの考え方がひっくり返ったりすので注意が必要です。
勉強のために本を買うときも、できるだけ新しいものを買いましょう。
ちなみに、炭酸がH2CO3の形で普通存在しないのには、或る致命的な問題があるからです。
H2CO3は水を触媒として容易に分解する性質があるようです。
しかも炭酸が分解してできるのは二酸化炭素と水。
どんどん分解していく。
純粋な炭酸を作ろうとすると、水が少しでも入っているとアウトということである。
しかし炭酸を作るためには水が必要・・・・純粋な炭酸を作るのはかなり難しそうです。
◎ 参考
- 『ボルハルト・ショアー現代有機化学〈下〉』, K.Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore著, 野依良治監訳, 化学同人; 第4版 (2004/06)
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