一般向け/高校生向け楽しい化け学
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さっき高校化学の参考書めくったらアセチレンが出てきたので今日はアセチレンを。
今日の分子 No.46 アセチレン C2H2
Jmolで描画
最も単純なアルキン。
三重結合を持つ不飽和炭化水素をアルキンといい、CnH2n-2で表される。
アルキンは対応するアルカンの語尾(-ane)をイン(-yne)に変えて名づける。
例えばCH三C-CH3はプロパン(propane)の語尾を変えてプロピン(propyne)という。
アセチレンの場合エタンの語尾を変えてエチンと言うべきであるが、アセチレンという慣用名が広く用いられている。
三重結合を持つためアセチレン分子の形は直線となる。
ちなみに、単結合はハイフン「C-C」、二重結合はイコール「C=C」で表記されるが、三重結合は通常のアルファベット系の記号がないためパソコンで表記しにくい。
(上では漢字の3「三」を無理やり使った。)
そのため三重結合を表すためシャープを代用し、「C#C」と表記されることがある。(SMILES表記等)
アセチレンは非常に燃えやすい気体であり、酸素と混合して燃焼させると非常に発熱し酸素アセチレン炎と呼ばれる約3000℃の炎を出す。
これは鉄をも焼ききり、溶接や溶断に用いられる。
一方でその燃焼力ゆえ爆発性があるため危険である。
また、無酸素の純アセチレンでも場合により爆発分解することがあり、非常に危険である。
HC≡CH → 2C + H2
そのため普通に圧縮して容器に詰めることができないため、多孔質物質にアセトンをしみこませた特殊な容器に充填しなければならないなど、かなり扱いが難しい。
加熱分解するときにカーボンブラックが得られるが、これは純度が高いためアセチレンブラックと呼ばれ、導電性が高いため乾電池の電極などに使われる。
反応性に富むので有機合成化学の重要な原料であったが、大部分の製品の原料がより安価なエチレン、プロピレンに置き換わったためその工業的な重要性が著しく低下してきた。
アセチレンはエーテル臭のある無色の気体であるが、通常は不純物のため特有の臭気がある。
工業的にはカルシウムカーバイドに水を加えることによって作られている。
CaC2 + 2H2O → C2H2 + Ca(OH)2
(※注意!「CaC2 + H2O → C2H2 + CaO」は間違い!)
他にナフサの高温熱分解などでも得られる。
アセチレンは炭化水素の割りに異常に酸性が強い。
というのも、末端の三重結合のある炭素「RC三CH」のHが酸として放出されやすいという性質がある。
(理由はsp混成軌道のため炭素原子のs性が高いから。難。)
アセチレンは二段階電離しC-三C-という二価の陰イオンになる。
カルシウムカーバイドCaC2はCa2+とC22-のイオン結晶である。
ただし、アセチレンは水よりも弱い酸なので、カルシウムカーバイドをより強酸の水に入れると上の反応が起こって弱酸のアセチレンが投げ出されるのである。
またアセチレンを金属、特に銅と触れ合わせるとCu2C2等の塩ができる。
このようなアセチレン塩をアセチリド(カルシウムカーバイドもアセチリドの一種。)というが、銅(I)アセチリドや銀アセチリド等は爆発性を持つため非常に危険なため、アセチレンを金属と触れ合わせてはいけない。
(この辺の説明が学校教育で少ないと思う。アセチレンが酸だというとややこしいからか?)
◎ 参考
- 『チャレンジライセンス乙種1・2・3・5・6類危険物取扱者テキスト』, 工業資格教育研究会, 実教出版; 改訂版 (2005/10)
- 『高圧ガス保安技術 第8次改訂版』高圧ガス保安協会著(2011)
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