一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今日塾でバイトをしていると、こんな問題に出会いました。
どんな問題かと言うと、要するに、
「金属は熱伝導率や電気伝導率が高いが、なぜでしょうか?」
という問題。
答えは「自由に動き回れる自由電子があるから。」
たぶん高校化学ではこう習うし答えにもそう書けばいいのですが、
「なぜ自由電子があればそんな性質でるんですか?」
と言うのが気になるところ。
さあ難問だ。
これは高校化学で説明することはできない。
が、噛み砕いて言うことはできる。
電気伝導率が高い理由;
「金属中では金属イオン(金属原子)の周りを電子が自由に動き回っている。
その電子は電圧をかけると簡単に動かすことができるから。」
金属中の自由電子の様子
一方非金属の結晶には自由電子はなく、電子は価電子として原子と原子の間に束縛されるため電気伝導性を示さない。
(逆に言えば非金属でも自由に電子が動ければ電気伝導性を示す。例:黒鉛)
上のモデルを見ると、金属が展性・延性を持つ理由もわかる。
自由電子がざっくりと金属原子同士を結びつけているため、外力を加えて原子の位置がずれても同じく
ざっくりと原子同士が結びつきあうため、非金属のように切れたり割れたりしにくいのだ。
熱伝導率が高い理由;
「物質の温度とは構成粒子の振動の激しさである。金属に熱をかけると
原子と自由電子の振動が激しくなるが、動きやすい自由電子は次々に熱振動を隣の電子に伝えていくから。」
ざっくり言うとこんな感じ。
このように、金属特有の性質は自由電子が原因である。
延性・展性・熱伝導性・電気伝導性・・・・
実際にちゃんと説明しようと思うと、電気伝導性はバンド理論持って来ないといけないし、熱伝導性は統計力学使わないと説明できない。
しかし、結局伝導電子の存在が熱・電気伝導性を決めるので、「電気の良導体は熱の良導体である」という結論が出るのが面白い。
ちなみに金属光沢も自由電子が原因。
なぜなら
「金属には自由に動ける電子があるからプラズマ振動の角振動数が大きく、ゆえに可視光の屈折率が虚数となり全反射するから。」
いや~物性論って難しい~
◎ 参考
- 『物性論―固体を中心とした』黒沢 達美(著), 裳華房; 改訂版 (2002/2/25)
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