一般向け/高校生向け楽しい化け学
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
夏の風物詩、花火。
今年の夏は、私も会社の同僚たちと花火で遊びました。
花火には金属塩が入っており、それら金属元素の炎色反応が利用されています。
黄色はナトリウム、鮮やかな紅色はストロンチウム、青緑は銅…
以前「化学ビデオ講座No.4 :炎色反応」でも紹介したように、
加熱により金属塩が気化・原子化し、熱励起された電子が元の軌道に落ちてくるときに発光する
とよくと説明されます。
しかし、実は原子発光とは限りません。
実はストロンチウムや銅はSrCl・SrOHやCuClといった二原子分子や三原子分子が発光しているのです。
今回は、炎色反応で原子発光と分子発光を示す元素を分類し、その発光スペクトルの特徴を照会します。
原子発光
ナトリウムやカリウムなどの炎色反応は原子発光です。
例えば、NaClをガスバーナーで加熱すると
NaCl + 熱 → Na + Cl
Na + 熱 → Na*
Na* → Na + 光
と、塩が原子まで熱分解して、Naの電子励起状態Na*が発光します。
(詳くは「化学ビデオ講座No.4 :炎色反応」をご覧ください。)
Na塩の炎色反応のスペクトルは図1のようです。
図1. Na塩の炎色反応スペクトル(文献[1]のスペクトルをトレース).
黄色領域に、非常に幅の狭い輝線スペクトルを示します。
拡大図からわかるように、実はD1線(589.6 nm)とD2線(589.0 nm)にわずかに分裂しています。
これはNa原子核の核スピンと励起電子の電子スピンが平衡(↑↑)か反平行(↑↓)かによって微妙にエネルギーに差が出るスピン-軌道相互作用(Spin orbit coupling:SOC)という効果によります。
なお、励起単原子が光るので、NaClでもNaBrでも炎色反応のスペクトルに変化はありません。
分子発光
一方、ストロンチウムやカルシウム、銅などの炎色反応は分子発光です。
例えば塩化ストロンチウムSrCl2をガスバーナーで加熱すると
SrCl2 + 熱 → SrCl + Cl
SrCl + 熱 → SrCl*
SrCl* → SrCl + 光
の過程でSrCl由来の発光を示します。
実はこれらの塩は結合が強く、ガスバーナー(~1500℃)や花火(~2500℃)の温度では、原子まで分解することがほとんどできないのです。
ではスペクトルはどんな感じでしょうか?
SrCl2の炎色反応スペクトルを図2に示します。
図2. SrCl2の炎色反応スペクトル(文献[1]のスペクトルをトレース).
原子発光のスペクトルとは全く違いますね。
赤色領域に大きく分裂した多数のピークがあり、さらに各ピークには幅があります。
それぞれのピークはSr-Cl結合の振動に由来し、ピークの幅はSrCl分子の回転に由来します。
単原子発光の場合では振動する結合はなく、球対称なので回転の効果もありません。
なお、SrCl*の発光の場合もSOCによる各ピークの分裂があるはずですが、回転によるピーク幅の増大によって隠されてしまっています。
分子発光の特徴として、同じ金属でも陰イオンの種類によってスペクトルや発光色調が変わるという重要な点があります。
例えばSr(NO3)2の水溶液を加熱するとSrOH*由来の発光が得られますが、これは紅色ではなくピンク色に発光します。
他に、銅の場合では、CuSO4は青緑色、CuCl2は青色、Cu(NO3)2は緑色の炎色反応を示します。
以上。
「加熱すると原子化する」とは限らないということでした。
原子発光と分子発光はスペクトルを見ると一目瞭然で見分けられますね。
参考文献
[1] W. Meyerriecks et al, J. Pyrotec., 2003, 18, 710.
[2] 深野哲也, 化学と教育, 2017, 65, 132.
[3] 森下浩史ら, 長崎大学教育学部教科教育学研究報告, 1995, 25, 9.
[4] 名古屋市科学館HP「炎色反応」.
PR
ドイツ製単結晶ケイ素(直径18 mm)。種結晶400円で購入。CZ法(後述)の種結晶部分?
お久しぶりです、実はインドに化学の修業しに行ったりしてまして、なかなか更新できてませんでした。
さて、先日石のイベントに行ってみると、上の写真の単結晶ケイ素が売っていました。
装置に固定するためでしょうか、くびれが入っている部分で商品価値はないみたいで、スクラップとしてたった400円だったので買ってみました。
たたき割られた面のケイ素が、鉄とは違う感じの光沢でなかなか綺麗です。
また、先日生野銀山の坑道見学に行ったところ、併設されていた鉱山資料館で三菱によるケイ素の展示がありました。
ということでケイ素に縁を感じたので、今回は現代の電子社会に極めて重要な単結晶ケイ素の製造方法をご紹介致します。
単結晶ケイ素
ケイ素の結晶構造(ダイヤモンド格子)。単位格子の一辺の長さ(格子定数) = 5.4Å
ケイ素Si原子がダイヤモンド格子を組んだケイ素の単結晶(塊全体で1個の結晶)。
ケイ素は炭素と同じ14族元素であり、炭素と同じく四面体方向に4つの結合手を持つため、炭素と同じダイヤモンド格子を組みます。
(※ 熱的に不安定ですがβスズ構造も取れます。)
単結晶ケイ素は、Si原子がぐちゃぐちゃに結合したアモルファスケイ素よりもバンドギャップが狭く、導電性が高いという特徴があります。
また、たくさんの小さな結晶がくっついてできた多結晶ケイ素は、粒界で電気伝導が妨げられるため、単結晶のケイ素が求められます。
単結晶ケイ素は重要な半導体材料であり、リンPやホウ素Bのドーピングなどの加工を経て、ダイオードやトランジスタ等の半導体素子が作られます。
単結晶ケイ素の製造方法
I. ケイ素の製造(多結晶ケイ素の製造)
(左)原料のケイ石と(右)製造された多結晶ケイ素(生野銀山:鉱山資料館蔵)。
高純度多結晶ケイ素の製造プロセス
1. ケイ素源としてケイ石(SiO2)を採取する。
なお、ケイ石はどこにでもあるありふれた鉱物ですが、品位の高い北欧産のものがよく用いられます。
2. ケイ石を電気炉で加熱溶融し、炭素Cもしくは一酸化炭素COを用いて還元して純度約98%の粗ケイ素を得る。
・ SiO2 + 2C → Si + 2CO
・ SiO2 + 2CO → Si + 2CO2
3. 粗ケイ素の粉末を超高純度塩化水素HClと反応させ、トリクロロシランSiHCl3を得る。
・ Si + 3HCl → SiHCl3 + H2
4. 揮発性液体であるSiHCl3を数回蒸留し、不純物1 ppb以下の超高純度SiHCl3を得る。
5. 加熱した超高純度ケイ素(別途用意)を置いた反応炉にSiHCl3と超高純度水素H2の混合ガスを導入して、固体ケイ素表面でSiHCl3の還元反応を起こし、多結晶ケイ素を析出させる。
・ SiHCl3 + H2 → Si + 3HCl
※ 反応式には諸説あるが、これが有力らしい[4]。
II. チョクラルスキー法(CZ法)による単結晶ケイ素の製造
CZ法で作られた単結晶ケイ素(生野銀山:鉱山資料館蔵)
CZ法による単結晶作製装置
溶融ケイ素の表面に細い棒状の種結晶(単結晶ケイ素)を接触させ、回転させながらゆっくり引き上げて冷やし、結晶を成長させます。
このような方法をチョクラルスキー法(CZ法)といい、ケイ素の他にもゲルマニウム等の半導体、金などの金属、サファイアのような無機単結晶を作製することができます。
結晶には面がありますが、種結晶の特定の面を使って引き上げることで、好きな結晶方位を持つ棒状単結晶を得ることが出来ます。
これを薄くスライスして{100}や{111}面のシリコンウェハーが作られ、半導体素子へと加工されます。
なお、こうして作られた単結晶ケイ素の純度はなんと99.999999999%(9が11個 ⇒ 「11N」)に達するそうです。
以上。
ケイ素は原料は豊富ですが、純度を高めたり、単結晶を得るために多大な労力が掛けられているのです。
こうして作られた単結晶ケイ素が働いて、今あなたのパソコンやスマートフォンにこの記事を表示しているんですね。
参考・出典
- 『現代無機材料科学』』足立吟也、南努 (著), 化学同人 (2007/01)
- 『半導体が一番わかる』内富直隆 (著), 技術評論社 (2014/5/2)
- 生野銀山:鉱山資料館資料
- 『半導体生産現場で見る化学反応の実際と設計』羽深等(2008)
先日クリソタイルという鉱物を購入しました(¥500)。
これはアスベスト(石綿)の一種です。
ご存知の通りアスベストはその発がん性により厳しく規制されていますが、本当に綿のような見ためで、非常に興味深い結晶構造をしています。
今回はそんな不思議な天然鉱物であるクリソタイルについて、なぜ綿のような結晶になるのかを結晶構造をもとにご紹介いたします。
クリソタイルの性質
クリソタイル(Quebec, Canada産)
2015/04/26 筆者撮影
物質名: クリソタイル(Chrysotile)
化学式: Mg3Si2O5(OH)4
綿のような白色繊維状鉱物で、アスベスト(石綿)の一種。
【アスベスト】
蛇紋石(クリソタイル)や角閃石(クロシドライト等)が繊維状に変形した天然の鉱石で繊維状ケイ酸塩鉱物の総称。
耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性が高く、かつては建材等に用いられたが、その針状微粒子を吸い込むと肺に刺さってガンを引き起こすことがわかり、製造・使用禁止に。
クリソタイルはもっともよく使われるアスベストで、アスベストのうち95%くらいがこの鉱物であるとか。
綿のような外見・手触りですが、無機物なので不燃性です。
耐熱性は極めて高く、脱水反応が起こる650℃くらいまでは平気みたいです。
クリソタイルはカナダで多く産出されます。
クリソタイルの結晶構造
クリソタイルの結晶構造
Si:肌色、Mg:黄緑、O:赤(Hは省略)。以下同じ。
a軸方向から見たクリソタイルの結晶構造
b軸方向から見たクリソタイルの結晶構造
c軸方向から見たクリソタイルの結晶構造
クリソタイルはSiO4四面体シリケート層と、MgO6八面体水酸化マグネシウム層が張り合わされたMg3Si2O5(OH)4層が、c軸方向に積み重なった層状結晶構造をしています。
模式図で表すと下図のような感じです。
クリソタイル結晶構造の模式図
このような層状構造がx軸(a軸)まわりにカールすることで繊維状の結晶となります(clinochrysotile/orthochrysotile)。
天然のクリソタイルは内径1-10 nm、外径10-50 nm程度の中空のチューブ状微結晶になっているそうです(下図)。
クリソタイルのフィブリル構造模式図
この細長い微結晶が平行に束なってマクロな繊維状結晶になるわけですね。
このように、クリソタイルの層状結晶構造が「石綿」の原理なわけです。
ミクロな視点から見てゆくと、マクロな鉱物の不思議が良く理解できますね。
参考
玉滴石(Hyalite):SiO2・nH2O
シリカSiO2が部分的に加水分解された含水シリカ(SiO3OHユニットが入っている)で、オパールと同じ組成。
無色透明な非晶質(ガラス質)の鉱物である。
まさに水滴の玉が固まったような形状をしている。
不純物としてウランを含むことが多く、短波長の紫外線を照射するとウラン由来の緑色発光が得られるものがあるとのこと。
以前私がある石屋さんで300円で購入した玉滴石(Pocitos de Quichaura, Chubut. Argentina産)は254 nmのブラックライトで光ってくれました!
玉滴石(Pocitos de Quichaura, Chubut. Argentina産)
(左)常光下、(右)254 nm光照射下
また、
玉滴石の発光スペクトル(励起波長:250 nm)
振動構造を有し、506 nm、527 nm、542 nmの緑色領域に発光極大を示すスペクトル。
0-1バンドが強いのが特徴的。
発光が緑色であることに加え、発光波長と振動構造が硝酸ウラニル(VI)UO2(NO3)2の文献値[2]と似ているので、この玉滴石の発光はウラニルイオンUO22+由来じゃないかなと考えています。
LMCT遷移に基づくウラニルイオンの美しい緑色りん光は、ウランガラスで良く知られています。
☆ 『ウランガラスの発光過程』参照。
ちなみに二酸化ウランUO2やウラン酸塩MxUnO3n+1等ウラニルイオン種ではない酸化ウラン類は非発光性だそうです。
いやぁ自分の所有物にウランが入ってたってのはテンション上がりますね!!
参考
[1] S.M. Chemtob et al, AMERICAN MINERALOGIST, 97 (2012) 203-211.
[2] M.E.D.G. Azenha et al, J. Lumin., 48 & 49 (1991) 522-526.
「塩化アルミニウムってどんな物質?」
小・中・高校生「アルミニウムを塩酸に溶かしたら生じるなんの変哲もない塩。」
大学生「極めて強いルイス酸であり、水と激しく反応して塩化水素を生じる危険な物質!!」
実はこの2つの「塩化アルミニウム」は全く違う物質です。
小学校から習うおなじみの物質、塩化アルミニウムAlCl3。
しかしこの物質は我々のイメージとは非常に異なった構造、性質を持つ物質です。
金属アルミニウムを塩酸に溶かして生じるのは塩化アルミニウム水和物[Al(H2O)6]Cl3、Al-Cl結合はない ―
金属アルミニウムを塩素ガスと反応させて生じるのは無水塩化アルミニウムAlCl3、非常に危険な物質 ―
2つの意外な姿を持つ塩化アルミニウムを、ひとつずつご紹介いたしましょう。
塩化アルミニウム水和物 [Al(H2O)6]Cl3
小学校でも習うこの反応;
「金属アルミニウムを塩酸に溶かすと塩化アルミニウムが生じる。」
このとき生じる塩化アルミニウムとは、実は錯イオンであるヘキサアクアアルミニウムイオン[Al(H2O)6]3+と塩化物イオンCl-から成る錯塩[Al(H2O)6]Cl3です。
後述の「真の」塩化アルミニウムと区別するため「塩化アルミニウム水和物」と呼ばれることもあります。
晶析させることで結晶として取り出すこともできますが、上図のような構造でありAl-Cl結合はありません。
決してAlと3つのClが結合した「AlCl3」ではありません。
しかし慣習上、金属イオンに配位した水分子は省略して書くことが多いので、普通AlCl3と表記されます。
ヘキサアクアアルミニウムイオン[Al(H2O)6]3+は、アルミニウムイオンAl3+に電気的に中性な水分子H2Oが6つ配位した錯イオンです。
実はこいつはなかなかややこしい化学種で、水溶液のpHや濃度で様々な姿に変化します。
下式のように配位した水分子の酸素はプラス電荷を帯び、容易に水素イオンH+が外れるため酸として振舞います。
3つのH+が取れると電気的に中性な水酸化アルミニウムAl(OH)3(水に不溶)になり、さらにもう1つH+が取れると一価の陰イオンであるテトラヒドロキソアルミン酸イオン[Al(OH)4]-(Na塩などは水に可溶)が生じます。
従って塩化アルミニウムの水溶液に水酸化ナトリウムNaOHを少量加えると沈殿が生じ、大量に加えると沈殿が溶けるというお馴染みの現象が起きるわけです。
このように、実は我々がよく知っている塩化アルミニウムとは、Al3+とCl-がイオン結合した"AlCl3"ではなく、アルミニウムイオンが水に取り囲まれた[Al(H2O)6]Cl3という物質だったのです。
ちなみに、アルミニウムを塩酸に溶かした溶液を加熱し蒸発乾固させて[Al(H2O)6]Cl3の結晶を得ることは難しい。
この塩は非常に熱分解しやすく、加熱によって残るのは水や塩化水素HClが取れた酸化アルミニウムAl2O3です。
ましてや後述の「真の」塩化アルミニウムも生じません。
このことからもこの塩がAl-O結合を持っているとわかります。
[Al(H2O)6]Cl3の結晶を得るためには低温で濃縮したり、後述の「真の」塩化アルミニウムを塩酸に溶かした後塩化水素ガスを吹き込んで析出させたり、工夫が必要です。
無水塩化アルミニウム AlCl3
金属アルミニウムに乾いた塩素ガスや塩化水素ガスを反応させると(無水)塩化アルミニウムが生じます。
2Al + 3Cl2 → 2AlCl3
2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2
この塩化アルミニウムというのが、我々がイメージするようなAl-Cl結合を持つ物質です。
前述の塩化アルミニウム水和物[Al(H2O)6]Cl3とは全く異なる物質であり、区別するために「無水塩化アルミニウム」と表記されることもあります。
結晶状態では下図左のような構造(AlCl3)nになっていますが、液体・気体状態や、ベンゼン等の溶液中では右のようなμ-クロロ架橋二量体(AlCl3)2になります。
アルミニウムは価電子数が3つなので、3つのClと結合しただけのAlCl3分子ではオクテット則を満たすことができません。
そこでもう1分子のAlCl3とClの非共有電子対を授受することでオクテット則を満たしているのです。
さてこのような我々がイメージするような構造の無水塩化アルミニウムAlCl3ですが、その性質はイメージと全く異なるものです。
この物質は水と非常に激しく反応し、塩化水素を発生します。
AlCl3 + 3H2O → Al(OH)3 + 3HCl
空気中の湿気とも反応するので、無水塩化アルミニウムのビンをあけるとたちまちに白煙を上げて塩化水素を発生します。
またこの物質は非常に強いルイス酸であり、フルーデル=クラフツ反応などの触媒として有用です。
だから私もよく使う物質なのですが、コイツを使うときは目や鼻を刺すような白煙の中、息止めながら素早く秤り取らなければいけません。
さらに、反応が終わったら反応溶液に水を加えてクエンチ(潰す)しなければならないのですが、これがまた大変。
水を加えると激しく塩化水素ガスを生じるので、ゆっくり注意深く処理せねばなりません。
反応のフラスコにはゴム管とガラス管を取り付けて、生じた塩化水素ガスをアルカリの水溶液(塩基トラップ)へ導くことで中和処理します。
以前大スケール反応の後処理で塩化アルミをクエンチした際、非常に激しく塩化水素が発生し制御不能になり、塩基トラップが処理限界を突破して破裂させてしまった経験があります。
・・・っと、このくらい無水塩化アルミニウムはイメージと異なる危険な物質なのです。
また、無水塩化アルミニウムのAl-Cl結合はイオン結合ではなく、共有結合です。
だから液体状態の無水塩化アルミニウムは電気伝導性をほとんど示しません。
このように、塩化アルミニウムは非常にイメージと異なった物質なのです。
塩酸に溶かしてできる「いつもの塩化アルミニウム」はAl-Cl結合がなく、無水塩化アルミニウムは危険な試薬で共有結合性・・・・
思っていた構造・性質と大きく異なり、びっくりだったでしょうか。
大学生の方には、学生実験で塩化水素を撒き散らす塩化アルミニウムを使って「こんな物質だったっけ・・・?」と戸惑った経験のある方もいると思います。
そもそも二種類の「塩化アルミニウム」があったわけですね。
どちらもAlCl3と表記されるのにこんなに違う、化学って面白い!
参考
- 『リー無機化学』, リー (著), 浜口 博 (翻訳), 菅野 等 (翻訳), 東京化学同人 (1982/01)
- 『チャート式 新化学I』, 野村 祐次郎ら著, 数件出版(H18)
- 化学同人HP「山崎昶先生が答える化学質問箱」
最新記事
(2018/09/23)
(2017/08/14)
(2017/03/07)
(2016/08/17)
(2016/05/05)
(2015/07/19)
(2015/04/11)
(2014/11/23)
(2014/08/03)
(2014/05/11)
カテゴリー
ブログ内検索