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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今日はビュレットでの滴定操作がうまくいかなくてテンションが下がっています。

筆者は滴定が下手くそです。

滴定の上手/下手って言うのは、滴定の正確性のことです。

普通、例えば或るアルカリ溶液を中和滴定してその濃度を求めたいときは、測定は1回だけでなく少なくとも3回はします。

原理的には3回とも同じ滴下量になるはずです。

が、下手な人はこの滴下量にバラつきが出るのです。

例えば、今日の筆者の中和滴定の結果はこうでした;

1回目 20.30 ml
2回目 20.34 ml
3回目 20.01 ml

1回目と2回目の差は(筆者個人的には)まだ許容範囲でしたが、3回目の結果にガッカリ・・・

本当はバラツキは0.02ml(1滴分)以内に抑えないといけないらしい。

しかしなんなんだこのクソ結果は・・・ということです。

何なんでしょうねぇ・・・ちゃんと一滴ずつ注意して滴下してるつもりなのに・・・

コニカルビーカーの壁に溶液が付着してるとか、ホールピペットで測り取った時点で下手くそとか、そんなところが原因なんでしょうかねぇ・・・


ということで今日は憎きビュレットを紹介します。

ちなみに筆者の父親もビュレットと滴定操作が大ッ嫌いらしいです。



今日の器具No.7 :ビュレット



ChemSketchで描画


高校化学でもおなじみの、滴下量を測りつつ溶液を滴下するための器具。

ビュレットの液体を、下の受け容器の液中に滴下して反応させ濃度等を測ることを「滴定」という。

中和滴定・酸化還元滴定・沈殿滴定・錯生成滴定、等の様々な滴定ができる汎用的な器具である。

また、狙った量を精密に滴下することができるため、滴定だけでなく有機合成などで一定量の反応剤を取る時に使うこともある。


ビュレットは普通無色透明のガラス製であるが、中には褐色の物(光に弱い物質を滴下するとき)や、プラスチック製の物もある。

普通容量は25mlか50ml。

後、滴下先の容器は普通コニカルビーカーを使う。

滴定は滴下しながら溶液を振り混ぜなくてはならないが、コニカルビーカーは首を持って振ることができるからである。

滴下してすぐは案外色が変わらないもので、結構激しく振らなければならない。

「まだイケる!」と思っていると、振ってみると完全に指示薬の色が変わってしまって等量点行き過ぎてました、ってこともよくあるから注意。

一滴ずつ、特に等量点付近ではゆっくり丁寧に振り混ぜながら滴下せねばならない。


あとビュレットは共洗いが必要です!

共洗いとは使用前に中に入れる溶液と同じ溶液を入れて洗うことです。

例えばもしビュレットが濡れていれば濃度が小さくなってしまうため、正確に体積を測っても意味がなくなってしまうからです。

逆に受け容器であるコニカルビーカーは濡れたままでもOKです!

なぜなら滴下を受ける溶液は、その溶液中の試薬の物質量が問題なわけですが、薄まっても物質量は変わらないからです。


◎ ビュレットの読み方。

ビュレットの図から滴下量を読む問題なんかは大学入試によく出されます。

ビュレットの目盛りは上が0で下に行くほど大きくなっています。
(当たり前ですが、滴下すると溶液は減って液面が下がっていくからです。)

あとビュレットは必ずしも滴下を始めるときの溶液の量を一番上の0に合わせる必要はないです。

滴下量は

(滴下量)=(滴下後の目盛り)-(滴下前の目盛り)

という前後の「差」だからです。

だから例えば



ビュレットの滴定前後の液面


なら滴下量は

(滴下量)= 30.2ml - 19.8ml = 10.4ml

です。

○ ポイント

何の器具でも目盛りを読むときは最小目盛りの1/10まで読みましょう。

また、目盛りはメニスカス(表面張力で曲がった液面)の底で読みます。
(真ん中の下がったところで読むか隅っこの上がったところで読むかで値が変わってしまう。)

ちなみに、水の場合では下に凸のメニスカスですが、例えば水銀では上に凸のメニスカスになります。

もし上に凸のメニスカスでは逆で、一番高いところで読みます。


ちなみに、一番上にビュレットの図を示しましたが、この図の場合では栓は開いています。
(すなわち容器がポタポタ出ている状態です。)

下にある活栓をひねることで開閉するわけですが、活栓が溶液の通る道(この場合では縦方向)と平行であれば「開」、垂直であれば「閉」です。

これはビュレットの活栓だけにかかわらず、ガスの元栓等でもそれが原則です。

覚えていると迷わないしミスをしないので、覚えておきましょう。
(たまに栓が開いているといると気づかずに溶液を上から入れて、下からドバドバ出てくるという間抜けで危険なミスをすることがあります。注意しましょう。)



◎ ビュレット等、体積が厳密な実験器具は高価。例↓


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昨日ホームセンターで三角フラスコ(300mL、¥820-)を買いました。

結晶作りしていると面白いことに気づいたので台所でちょっと実験しようかと。

ということで今回は三角フラスコを紹介してみます。


今日の器具No.6 :三角フラスコ


パイレックスガラス製300mL三角フラスコ
2011/9/8 筆者撮影


かなりポピュラーな実験器具。

円錐型であり、横から見た形が三角のフラスコである。

世間で専らこれは「三角フラスコ」と呼ばれるが、実は化学系の人間はこれをあまりそう呼ばない。

普通、化学の人はこれを「エルレンマイヤーフラスコ」という。
(英語でもそう呼ばれるようです。)

もしくは「エルレンマイヤー」や「マイヤーフラスコ」等と略して呼ぶ。

これは考案者エミール・エルレンマイヤーから来ているらしい。

☆ エミール・エルレンマイヤー(1825-1909)
19世紀のドイツ人化学者。
リービッヒ(リービッヒ冷却管の考案者)やケクレ(ベンゼンのケクレ構造式の考案者:ケクレもリービッヒの弟子)やブンゼン(ブンゼンバーナーの考案者)の下で学んだという。
三角フラスコの発明以外にも、ナフタレンの発見やケト-エノール互変異性についての功績があるらしい。


筆者自身、大学2年の冬くらいになってやっと実験の時に先生が言う「エルレンマイヤー」が「三角フラスコ」であると理解した。

全く当たり前にこれは「三角フラスコ」だと思っていたので、まさか別の呼称があるとは微塵も思っていなかったのでなかなか衝撃であった。

が、今となっては「エルレンマイヤー」の方が当たり前になっていて、逆にバイト先の塾などで説明するときは「エルレンマイヤー・・・じゃなくて三角フラスコと言おう・・・」と考えてからじゃないと「三角フラスコ」と言えなくなるほど「エルレンマイヤー」が定着してしまった。

そのくらい化学の場ではこのフラスコは「エルレンマイヤー」と呼ばれます。


三角フラスコは、スタンドに固定しないと手が離せない丸底フラスコと違って、底が平らなのでそのまま置けるという画期的なフラスコである。

溶媒や溶液の一時保存、加熱して物質を溶解させたり、再結晶操作を行うとき等によく用いられる。

口に”スリ”や”ツメ”のあるものもあり、溶液の保存時にスリ栓をしたり、再結晶のために飽和溶液を作るため加熱還流するときに冷却管を取り付けたりもできる。



よくやる使い方。加熱還流をするため玉付き冷却管を差す。
ChemSketchを使用して作図。
ちなみにChemSketchの実験器具テンプレートでも「Erlenmeyer flask」と表記されている。


ちなみに、試験管・ビーカー・フラスコはきちんと使い分けなければならない。

例えば溶媒を置いておくときにはよく三角フラスコに入れるが、ビーカーに入れておくのはあまり良くない。

というのも、ビーカーは口が広いので空気中のホコリが入ったり、横から他の薬品が跳ねて混入したりしてしまう恐れがあるからだ。

三角フラスコは口がすぼまっているためゴミが入りにくいし、それに揮発性溶媒を入れてもあまり蒸発しないで済む。

☆ ちなみになんでもかんでも栓をしたら良いというわけではない。
エーテル等の揮発性溶媒を入れてスリ栓をすると、内圧が上がって栓が飛ぶ恐れがある。
実際ジエチルエーテルをマイヤーフラスコに入れてスリ栓をして盛大に栓が吹っ飛んでいった場面を見たことがある。


このように、三角フラスコ ―― エルレンマイヤーフラスコはなかなか使い勝手の良い素晴らしいフラスコなのです。


◎ マイヤーフラスコはホームセンターやamazonでもよく見かけますね。




昨日掲載の器具の写真からもうひとつ挙げます。

今日の器具 No.5、アルコール温度計


2010/11/4 筆者撮影


おなじみの器具。

水銀温度計もアルコール温度計も、中の液が熱せられたときの熱膨張を利用して、液柱の高さから温度を読み取る器具です。

日常生活でも体温を測ったり気温を計ったりするものだから、みんな知ってる・・・けど最近あんまり使わないですね。。。

筆者も小さいころは水銀体温計を使っていたが、小学生の頃にはすでに電子体温計が一般的だったような気がします。

まあそれはさておき。

アルコール温度計は赤く着色したアルコールまたは灯油が使われています。

でも「灯油温度計」って言わない不思議。

ちなみに上の写真ではお手軽なアルコール温度計を使っていますが、精密な実験をするときや公的な記録をするときには水銀温度計を使います。

というのも、水銀は温度による熱膨張の割合が常にほぼ一定なので精度がいいのです。

しかも金属なのですぐ熱を伝えて観測する温度と等しくなるという利点もあります。


◎ ただし、アルコール温度計は安価だが水銀温度計は高い。↓

   



この前の実験に関して器具を紹介します。

今日の器具 No.4、四つ口フラスコ


2010/11/4 筆者撮影


反応容器として使われるフラスコ。

口が4つあるから四つ口フラスコと呼ばれる。
(写真では見えにくいけど後ろにもうひとつ口があります。)

口が3つのものも同じように三つ口フラスコと呼ばれ、必要に応じて使い分ける。

写真では湯煎で加熱してジベンザルアセトンという物質を合成している。

口が複数あると、写真のように温度計を差し込むために使ったり、
または冷却管の差込口や薬品を途中で入れるための口として使うことができ便利。

ちなみに写真では中の溶液が飛び散らないように薬包紙で蓋をしているが、普通のガラスのスリ詮を使うこともある。


◎ amazonで四つ口フラスコ売ってる!さすがに無いと思ったのに!↓




もう11月ですね。かなり寒くなってきました・・・

では一昨日までの実験の器具紹介を続けましょう。

今日の器具 No.3、ダイヤフラムポンプ


2010/10/28 筆者撮影 ※クリックで拡大


写真右奥の白い箱のような機械がダイヤフラムポンプ。

空気を吸い込み減圧することができる装置である。

リービッヒ冷却管につながっているアダプターにつないだゴム管をポンプにつなぎ、蒸留している部分を減圧している。

そうすることによって物質の沸点が低くなるので、低温で蒸留することができる。

このように減圧して蒸留することを減圧蒸留という。

減圧蒸留は、高温にしてしまうと分解してしまうような物質でも蒸留できるという利点がある。

減圧すると沸点が下がるというのは、山に登ると気圧が下がるので100℃以下で水が沸騰するというのと同じ原理である。

富士山の山頂では90℃くらいでも水は沸騰してしまうという。

ダイヤフラムポンプの減圧力はすごいので、このとき蒸留したのはベンズアルデヒド(沸点179℃)であったが53℃で沸騰した。

しかも操作は簡単、つないでスイッチON、以上!

恐るべしダイヤフラムポンプ!!


◎ amazonでも売ってるようだ。今見た中で一番安いのがコレ↓。案外安い。ちょっと見た目イカツイけど。


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