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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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更新が滞っていて申し訳ない。

塾のバイトが今一番忙しい時期(春期講習)で・・・

塾ネタで言うと、今日質問受けをしていたら高校生に数学を聞かれたり(しかも数人に何題も)して大変だった。

中学数学は聞いてくれて大丈夫だけど、さすがに高校数学はきついところがある。

まあ今日のは全部解けたしそれなりに説明できたから良いけど、解けるのと教えれるのは別の能力であるのでやっぱり数学はきつい。

一般に、教えることは自分で解くことより難しいといわれる。

でも数学や英語を質問してくれることによって筆者の学力維持に若干役立っている。

大学入試のためにあんなに勉強したのに、入学して数ヵ月後に気づいたらその力がかなり失われているということが良くある。

っというか、筆者の周りのみんなが「今では自分の大学にも入れない」と言っている。

本当に忘れていくから恐ろしい。

筆者が今センターの政経受けたら30点も取れない自信がある!

でも塾講をしていたらかなり維持できる。
(もちろん筆者は政経は教えてないから落ちる一方(笑))

塾講してるやつとしてないやつで、特に中学理科の記憶なんて差がつきまくりだ。

植物の造りなんて、多くの人は中学以来勉強していないのだから。

だから大学に入ってするバイトは塾講がオススメです。(宣伝??)


今新しい問題を作っています。

熱化学方程式の問題です。

ヘスの法則を使って燃焼熱をごちゃごちゃ計算するヤツなんですが・・・

実は有機化学の問題なんです。

アルカンやシクロアルカンの燃焼熱を計算すると、その分子の反応性がわかったりする。

塾講していると、生徒が反応熱の計算をめんどくさそうに面白くなさそうに、ルーチンに計算していますが、実はその値を使うと色々わかって面白いのです。

むしろその計算結果から色々な性質を導き出すのが"化学"の本質のひとつなのですが、
高校の授業で習ったばかりだと残念ながらまずその計算ができるためにルーチンな計算演習をするしかありません。

今回の問題では、燃焼熱を計算してちょっと化学者の真似をしてみましょう。
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先日、筆者がバイトしている塾の塾生(高校2年生)が学年末テストであった。

そして塾生が筆者に問うた。

塾生「大学はテストの科目どのくらいあるのですか?」

筆者「う~ん・・・化学だけで週10科目くらい授業あるからなあ・・・」

塾生「え!?化学だけでそんなにあるんですか!?」


驚くかもしれないが、一口に化学と言ってもその中には無数の分野がある。

中学で「理科」と呼ばれていたものが高校で「物理」「化学」「生物」「地学」に分かれたのと同じように、
化学も大学になれば「有機化学」や「無機化学」と教科分けされる。

例えば学部の授業では次のような教科がある。

--有機/高分子化学系--
  • 有機化学

  • 有機化学演習

  • 有機機能化学

  • 有機金属化学

  • 生物有機化学

  • 高分子化学

  • 高分子材料化学

  • 生態高分子化学

  • 構造解析


--無機/物理化学系--
  • 無機化学

  • 無機材料化学

  • 物理化学

  • 物理化学演習

  • 量子化学

  • 触媒化学

  • 電気化学

  • 分析化学

  • 機器分析学

  • 工業化学

  • 化学工学

  • 化学工学熱力学

  • 環境科学


--その他--
  • 情報・計算化学

  • 化学外国語

  • 学外実習

  • 実験

等など。

さらに「有機化学I」や「無機化学II」等、「数I」「数II」みたいにレベル分けされている科目もあるので、教科としてはもっとある。

この他にも学部共通の「物性論」等、物理なのか化学なのかよくわからない科目もある。

もちろんこの他に物理もあるし、数学も英語もあるし、1年生なら一般教養、筆者みたいに教職免許取ろうとする人なら資格科目もあるし、科目数は多い。


しかしこれだけ科目分けされているということは非常に専門性が高いということである。

大学生になれば好きな科目がいくらでも深く勉強できるというのが素晴らしい。

ただ、授業のスピードは非常に速いので、自ら進んで予習復習しなければ一気に置いて行かれる。

場合によっては1コマ(一時間半)で教科書80ページくらい進むこともある。

大学の勉強し方は、「自ら進んで勉強する」ということが一番大切であり、そのための勉強の場だと思う。


いつまでも地震の話をしていても暗くなるだけなので、今日はちょっと話題を変えてみます。

ここ数日、金属を溶かして遊んでいました。

たぶんスズ(Sn)とビスマス(Bi)の合金です。

これは低温融解合金と呼ばれ、138℃という低温で融解します。
(ちなみに鉄が溶けるのは1535℃)

また、Sn-BiにさらにAg等を足した合金も低融点を示し、無鉛ハンダ(鉛フリーはんだ)と呼ばれています。

本来のハンダはスズと鉛の合金で、180℃くらいで溶けます。

鉛は体に良くないので、最近は少し高価でも鉛を含まないハンダに移行しているようです。


ちなみに上で「たぶん」とつけたのは、この金属を手に入れたのが筆者が中学生の頃で今となっては何の合金かよくわからないからです。

技術の授業で鋳造でキーホルダー作りをするとき使ったのですが、中学生の筆者が技術室からみんなの余りを大量にパクって帰ったというは青春の思い出。

ま、まあどうせ捨てられる物なんだから有効活用できたということで・・・

この前ガラクタ入れからその合金を見つけたので溶かしたりして遊んでいました。

溶かした合金を一気に水に流し入れるとこんなオブジェができました。




低温融解金属を一気に冷却したもの。2011/3/14 筆者撮影



曲線的な感じがまさに動的な液体がそのまま固まったという感じで・・・
う~む・・・芸術!


金属で銀色でキラキラしているのに、溶けて液体になってプルプルしているのはなかなか不思議な感じです。

常温で液体である水銀も、銀色の金属が変幻自在に形を変えるので幻想的です。

錬金術で盛んに水銀が用いられたのも、水銀のその幻想さと金等他の金属を溶かす不思議な性質(アマルガムを作る性質)が原動力らしいです。

最近はめっきり見かけなくなりましたが、水銀温度計が割れたときに銀色のコロコロとした粒が出てきますが、本当に液体の金属は不思議な見た目です。


水銀は唯一の常温で液体の金属元素だと持てはやされますが、よくよく考えてみると常温で液体の非金属元素も一種類だけです。

すぐ思い浮かびますか?

そう、臭素です。

しかし同じように筆者の塾の塾生に問うてみても、そのレスポンスは水銀と比べて遅い。

かわいそうな臭素・・・


ちなみに、マイナーですがガリウムは融点が27.78℃(※29.8℃とする文献もあり)で夏場限定の液体金属です。

また、アルカリ金属も低融点で、周期表で下に行くほど融点が下がっていってセシウムで28.4℃です。

意外と液体もどきの金属元素は多い。

一方、非金属の単体で0℃~40℃の常温付近で液体なのは臭素しかない。

強いて言えばリンが44℃で溶けるが、夏場でもなかなかその温度にならないだろう。

だからむしろ水銀よりも臭素の方がより唯一の液体元素なのに!!


さらにちなみに。

他にも金属は合金にすると融点が下がる例は色々ある。

ナトリウムとカリウムの合金(通称NaK、ナック)は融点-11℃(Na:K=22:78のもの)でなんと常温で液体の合金である。

金属が液体で使えることにはメリットがある。

例えばNaKを化学反応系に入れれば攪拌するだけで反応物と金属が混ざり合うので、単に固体のNaやKを使うより高い反応性が期待できる。

また金属は熱伝導性が非常に良いので、液体金属使えば変幻自在に充填できる熱媒体として使える。

多量の熱が出る原子炉や高速増殖炉で熱を逃がすためにNaKや加熱して融解したNaが用いられる。

しかしNaKやNaが漏洩すると、そのおなじみの反応性により空気中で発火・爆発するので非常に危険である。

そして実際液体Naの漏出が高速増殖炉もんじゅで過去に起こっている。

・・・不本意ながら結局原子炉は危険という話になってしまった。


今日、この前買った「高圧ガス保安技術」という本を眺めていると「O3F2」なる物質と出会いました。

この子は誰?

う~む・・・昔ネットでチラッと見た気はするが・・・

この本によると、

「(フッ素は)酸素と直接反応しないと考えられていたが、液体フッ素と液体酸素の混合物に紫外線を照射することによりO3F2が生じる。」

らしい。


酸素は電気陰性度が非常に高い原子なので、通常分子中では酸化数-Ⅱをとります。

酸素分子や過酸化水素など、酸素-酸素結合があるときは例外的に酸化数0/-Ⅰをとるが、他の原子に電子を取られる事はまずありません。

しかし、酸素に唯一対抗出来る元素があります。

そう、フッ素です。

周期表で右上にある元素(希ガスは除く)ほど電気陰性度が高いので、フッ素が元素中最強の電気陰性度を持つということになります。

なので、酸素-フッ素結合では電子はフッ素側に偏り、酸素は酸化されている状態になります。

薄い水酸化ナトリウム水溶液にフッ素を通したときに生成するF-O-F中では酸素は酸化数+Ⅱをとります。

このOF2の名前は「酸化フッ素」ではなく「二フッ化酸素」です。

原則、「○○化××」は元素"○○"が元素"××"から電子を奪って結合していることを表します。


電子が大好きな酸素は電子を取られる事を嫌います。

だから酸素的には酸化数を0、あわよくばマイナスになりたいのですぐ分解したり他の激しく分子と反応します。

そんな不安定な酸素の酸化物なのに、世の中には二フッ化三酸素O3F2なんてはぐれ者がいるというのが驚きです。

本には構造がかかれていなかったので、とりあえずネットで探したのですが・・・見つからず・・・


じゃあ・・・

わからないんだったら考える!


まず、有り得そうな構造を考えることにしました。

Oが3つとFが2つの単純な数学的な繋げ方はたくさんあります。

単に横並べだけでなくてひとつの原子に3つ以上の原子が結合することも考えられます。

ここで、無機化合物の構造を考えるとき、単に原子価だけを頼りに分子を組んではいけないということに注意。

もし「塩素の原子価は1だ!」と信じ込むと二酸化塩素ClO2の構造(折れ線)は導けません。

なぜ原子価が変わってしまうかというと難しいのですが、たまに電子がより不安定な居場所(=よりエネルギーの高い原子軌道)に落ち着くこともあるからです。

が、フッ素や酸素には原子価を拡張できそうな、いい感じの電子の居場所がなさそうなので、原子価はそれぞれ普通に1と2であると考えました。
(より詳しく言うと、フッ素や酸素は最外殻にd軌道を持たないから。あと、オゾンは手の数が怪しいですがあれは配位結合型の結合をしてるだけです。)

そう仮定して絞ると可能性はひとつ、妥当な構造はF-O-O-O-Fだけになります。

さあこれは存在できそうな分子でしょうか。

また、どんな形をした分子なのでしょうか。

これは頭で考えても答えは出ないので、パソコンの演算能力を使います。

F-O-O-O-Fの構造をこのサイトでおなじみのソフト、WinMOPACで計算させます。

このソフト、ちょっとコツがあって一発計算させただけではあんまりうまくいきません。

予想する構造を初期値として設定して何回も何回も計算を試行します。
(一番小さい「Heat of Formation」の値の構造を探します。)


・・・・っという今回の考察・仮定・試行により分子F-O-O-O-Fの構造は、真空中で次のようであると計算されました。


F-O-O-O-Fの予想構造(真空中) ※赤が酸素、ピンクがフッ素


なかなか趣のある形。(点群で言うとCsのシンメトリーですしね。)

分子の安定性を安定性を考える上で指標となるのが「Heat of Formation」という値です。

これは高校で習う"生成熱"の符号が逆の数値です。

生成熱は成分元素の単体が持つ化学エネルギーと、化合物が持つ化学エネルギーとを比べたエネルギー値なので、「Heat of Formation」の値が正に大きければ不安定、負に大きければ安定となります。
(真に"安定"かを知るには分解性生物の生成熱を考えたり、結合が切れつつあるときのエネルギーを考えたりしないといけないので単純にはいえません。)

ではこの分子の場合の「Heat of Formation」の値は・・・18.6 kcal/mol!

意外と小さい値!

筆者がPCの壁紙にしてるp-ヒドロキシアゾベンゼンでも45.1 kcal/molなのに!

ちなみに同じF-O-O-O-Fでも形を変えた場合は100 kcal/mol等かなり不安定な値が出るので、上図の構造は妥当っぽいです。

念のためF-O-O-O-F以外のO3F2も何種類か計算してみましたが、まともな結果にはならなかったです。


以上より、今回の考察でO3F2は構造式F-O-O-O-F、分子の形は上図、Heat of Formation(安定性)は18.6 kcal/molとなりました。


なお、実際には真空中ではないし、周りには他のO3F2分子や溶媒等があるので必ずしも上図の構造をとるとは限りません。

また、所詮筆者の考えとパソコンの計算による予想なので第一F-O-O-O-Fという構造や、上記構造があっているとは限りません。ご了承ください。


ちなみに、ネット中本気で探し回っていたら中国語の質問サイトの回答に「O3F2はの構造はF-O-O-O-F」という表記を見つけました。

質問サイトは信用性に欠けますが、F-O-O-O-Fという構造は合ってるかもしれませんね。


ふぅ・・・筆者は日夜こんなことばっかりやってます。
(基本的に無理やりな分子ばっかり計算させてるので滅多にうまいこといきませんが(笑))


そういえば、昨日大学に研究会行ったついでに成績もらってきました。

多くの大学にはGPA(グレード・ポイント・アベレージ)なる、成績の総評点みたいな成績の尺度があります。

中学で言うと各教科の内申点の平均みたいなヤツ。

この数値は今回が今までの最高点を記録しました。

やったー

ちなみに、GPAがいくつ以上なら学部の成績優秀者だという基準があって、
実は筆者は大学に入学してから今まで常に成績優秀者です。

成績優秀者なら受講できる単位数が増えるなど、実際あんまり意味ない特典が付きます。

大学に入学することを大きな目的として高校生時代は勉強をしますが、大学に入ってから怠けると意味ありません。
(怠けちゃう大学生結構に多いョ!)


さてさて、次に執筆する「講義」を何にしようかと考え中。

とりあえずオルト-パラ配向性・メタ配向性の判別を掲載しようかな。

メチル基・ヒドロキシ基が入ってるベンゼン環ならオルト-パラ、ニトロ基やカルボキシル基ならメタ配向性・・・
等は暗記物ではありません。

ちゃんと理屈に成り立っていて、入っている置換基を見たら配向性はわかります。
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