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一般向け/高校生向け楽しい化け学
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自作の結晶構造模型(一億倍)


結晶構造の模型を作ってみました!

作り方はオリジナル!!
(まあ同じ作り方をしておられる方もいるかもしれませんが・・・)

外箱を透明下敷きで作ったのがポイントです。

なかなかのクォリティー!

以前から作ってみたかったんですが、どう作ったらうまくできるかずっと模索してました。

透明の箱の中に切った発泡スチロール球を入れると教科書に3D画像で載ってるような充填モデルが作れる・・・というアイデア自体は何かの参考書の写真かなんかで見たことがあります。

が、実際どうやって作るかが問題です。

筆者は分子模型を作るので、発泡スチロール球やそれを切るための器具(電熱線カッター・孔定規など)は分子模型の作り方を流用できます。

問題は外装の透明な箱。

球の大きさと箱の大きさはぴったり合わせなければなりません。
(少しでもずれると全然ダメになります。)

だから市販のアクリル箱では無理なのです。

ちょうど良いサイズのものを3年程探していましたが、やっぱり無理ということがわかったので箱を自作することにしました。
(箱は自作できるが球は自作できない→自作するならサイズは箱で合わせるしかない。)

が、ホームセンターに売ってるアクリル板は分厚いし高いし加工しにくいし・・・ということで諦めていました。

が、アイデアというのは唐突に湧いてくるもんです。

透明な下敷きを使おうと思い当りました。

PET製の透明下敷きなら切りやすいし、格子の展開図を書いたら曲げるところをカッターで浅く切れ込みを入れたら綺麗に曲がります

やってみたら大成功!

念願のクォリティーの物が作れました!!



体心立方格子




面心立方格子




六方最密充填




ちなみに試作したこれら結晶構造にはこだわりがあります。

大体ちょうど1億倍のサイズになるようにしています。

すなわち1cmが1Åに対応するように作っています。

体心立方格子はLi、面心立方格子はAl、六方最密充填はMgです。

例えば今回作成した面心立方格子は球の半径1.5cm・格子定数4.2cmですが、実際のAlは半径1.4Å・格子定数4.0Åで、なかなかの精度です!!

だからいろんな距離をモノサシで実際に測れます。

また、筆者が作ってきた分子模型と同じく1億倍なので、例えば「Liの単位格子とエタノール分子の大きさ比べ」なんていう夢の共演もできます。

近いうちに作り方のページを作ろうと思います。


テンション上がって無駄に沢山写真を撮ったので上げておきます。



体心立方格子の外箱(透明下敷き製)




2段目まで積んだ体心立方格子





六方最密充填の外箱




六方最密充填~1段目




六方最密充填~2段目




六方最密充填~3段目


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この三日間、教職科目の理科教育法という集中講義を受けていました。
(大学では夏休みに「集中講義」と呼ばれる数日間連続で一日中行われる講義があります。)

本当に面白く楽しい三日間を過ごさせてもらいました。

「授業」のはずですが、もう完全に夏休みの楽しい思ひ出です(笑)

6人で班を作って三日間色々な実験や観察等に挑戦するのですが、学部・学年が全く違う班員の皆さんともとても仲良くなれて面白かったです。

本当に日本の理科教育に必要だなと思える「探求学習」や「試行錯誤」というキーワードの大切さがわかりました。

アゲハ蝶や青虫の観察、紙コップの謎、水糊で紙を貼ったときのデコボコの謎等、色々課題がありましたが、その中で「梅干しから食塩を取り出す」という実験がありました。

班で色々やり方を考えて、家に帰って台所でやるというものでした。

簡単そうですがなかなか難しいもので、理系大学生の成功率は1%程らしいです。

班のメンバーも誰も成功できませんでした。

が、結論を言うと、筆者は成功しました。
(先生曰く正攻法でなくて、普通その方法での成功例がない方法だったらしいですが・・・化学が専攻である筆者は分離精製の実践的・経験的技術に長けていた点があるのかもしれません。)


こんな方法でやりました。

まずガラスカップに種を除いた梅干し(1個, 21 g, 塩分10%)を入れ箸でよく潰し、そこへ水50 mlを加えて箸で混ぜてよく溶いた。

次にこのペースト状の梅干しをガーゼを用いて濾し、赤色透明の液体をマグカップに得た。



そして得た液体を鍋に移しガスコンロで空焚き状態になるまで加熱(蒸発乾固)すると・・・



真っ黒に・・・

普通、「梅干しから絞った塩水から水を蒸発させれば塩が出てくるだろう」と思いますが、実際は色々な有機物が溶けているので、料理で空焚きしてしまった時のように有機物が炭化して真っ黒焦げになります。

で、普通はここであきらめるようですが、筆者はあきらめませんでした。

以前にも紹介しましたが、筆者が分離精製がうまくいかなくて困っていたとき「頑張ったらいける!!実験は根性でなんとかなる!」という大学院生さんのお言葉を思い出し、この焦げの中から食塩を取り出そうとしました。

その中に物質が含まれているなら、そこまで目的物質を追い込んだなら、そこからなんとかそれを取り出そうと努力すべき!

気になるその方法は・・・

企業秘密です!

(来年度のこの授業受ける生徒や、この実験を出前してもらう中学生たちの学びの機会を失いたくないですからね。ここでネタバレはしません!)

で、筆者は頑張って結局しょっぱい綺麗なNaClの白色固体を得ました。



収率は40%。

逆に言えばこの写真の倍以上の量の食塩が(大きめの)梅干し1個に含まれているということになり、ちょっとびっくり。

自分で考えて試行錯誤するのはとても面白く、大切。

ぜひ「探求的な」ことをやってみてください。


ところで、先日古いデジカメを分解してみました。


デジカメの中身


注!
電気機器の分解は非常に危険です!
電池を抜いたりしても、依然内部のコンデンサーに電気が蓄えられたりしていて触ると高圧電流に感電する恐れがあります!
だから絶対やってはいけない!


・・・っということになっているんですが、筆者は分解したいし、みなさんも一度分解してみることを(自己責任で)薦めたいところです。

百聞は一見に如かずで、一度バラして中を見てみると教科書で見るよりも色んなものを得ることができます。

「危険だから池で遊んではならない」、「危険だからノコギリで工作をしてはいけない」、「危険だから機械を分解してはならない」・・・何でもかんでも禁止するのは教育上良くはないと思います。

「理科離れ」を是正するためにも子供たちにはぜひ「本物」を見てもらいたく・・・・

・・・話が逸れてきましたね(笑)

筆者が教職志望なことや、教育関係者の方とよくつるんでいるのでこういう話題に興味があって、ついついそっちの方にに話がそれたりしてしまいます。



ということで話を戻します。

筆者は化学ですが、電気も好きです。
(でも結局、実は電気機器に入っている素子に使われている化合物が好きだったり・・・)

で、子供のころからラジコンからパソコン・ケータイまで色々バラしてきましたが、デジカメは初挑戦でした。

といっても、最近の電気機器は非常に高度なものになっていて、あの緑色の基盤を見ても具体的にどんな配線になっているのかはよく分からない。
(わかる人もいるだろうが、専門ではない筆者にはわからない。)

が、基盤についている素子が何かはわかります。

例えばこれ、デカイ黒いのとその隣の緑のやつはコンデンサーです。


代表的な素子;コンデンサー


コンデンサーとは、高校物理でも習いますが、電気を蓄える素子です。

一般に、中に二つの電極板とそれらに挟まれた絶縁体(誘電体)から成ります。

これは電解コンデンサーであろうか。

誘電体といえば、強誘電体(電場をかけていなくても自発分極を持つ物質)であるチタン酸バリウムは誘電率が真空の2万倍くらいだったりするらしい。

この黒くてデカイコンデンサー(約3.5cm、300V、160μF)はフラッシュ用で、これに電気をためて一気に放出することで瞬間的に大電流を流してフラッシュを焚くようです。

ちなみに余談ですが、高校物理や世間一般にはこの素子は「コンデンサー」と呼ばれますが、大学などの専門的な場では「キャパシター」と呼ばれます。

で、化学の人は「冷却管」のことを「コンデンサー」と呼びます。
(ex. リービッヒ冷却管 → リービッヒコンデンサー)

ややこしい。


他にも、例えばこれはデジカメの心臓部、CCDイメージセンサです。


CCDイメージセンサ


CCDとは「Charge Coupled Device」の略で、要するに人間で言うと「目」の役割をしています。

CCDイメージセンサは、光が当たると電荷を生じる半導体素子である「フォトダイオード」と、その生じた電荷を元々素子上に二次元的に並んだ状態から一列に配列し直してコンピューター部に輸送するための「CCD」から成る。

これらは主にケイ素から成る半導体素子で、適切な不純物(p型にするにはホウ素等、n型にするにはリン等)を用いてp型やn型にして接合し作られている。

ちなみにこの半年は大学で半導体工学の授業を取っていたのでこの分野は(趣味の領域としては)結構詳しくなれた。

ちなみに次学期は電子回路の授業を取ろうと思います。

完全に趣味です(笑)


でも大学はそんな風に好きな授業を取れるのが素晴らしい。

勉強したければいくらでもする機会が与えられている。

ちなみに筆者の専門は有機半導体なので、半導体工学や電気回路を勉強するのはかなり実用的である。

化学だから化学だけを勉強すればいいわけではない。

多分野が複合した分野こそ、応用性・新規開発性があって面白い。


ヨードホルム反応の記事を追加しました!

『ヨードホルム反応の仕組み』

ヨードホルム反応の素反応を考え、何が起こっているのかを解説。

化学反応は素反応にバラして考えるとどんな仕組みが原子・イオン・分子が動いているかがわかります。

ヨードホルム反応の主人公は「不安定ですぐ異性化する」というフレーズでおなじみの「エノール」(ビニルアルコールなどの総称)の電離した形の「エノラート」という陰イオンだった!!


前回記事で書きましたように、現在ヨードホルム反応の記事を書こうとしてるとこです。

しかし・・・

どの深さまで書こうか・・・

「高校生向け」なのであんまりマニアックに書いてもなんだし・・・

一方、大学生レベルの知識のある人はこんなサイトで見るより大学有機化学の教科書読んだ方がわかりやすいでしょう。
(有名なので余裕で乗っている反応です。)

だから内容のレベル設定に困っている現在です。

やっぱり素反応並べてサラっと書くべきでしょうか。


同時に、今「窒素則」の演習問題の記事も作成中です。

この記事については3ヶ月くらい前にブログで「書きたい」と言っていました。

窒素則はかなりテクニカルでチート的な解法です。

主に、窒素を含んだ有機化合物の分子式や分子量の検算に用います。

また、うまく使えば問題をほとんど読まずに、ほとんど計算せずに解けてしまったりもします。

そんな謎の「窒素則」、気になりませんか?


どっちの記事も今週中には上げたいです!


っと、作業報告/予告でした。
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