一般向け/高校生向け楽しい化け学
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今日はレポート課題のために論文を引っ張ってきた。
論文を読むのにはお金が必要なのだが、大学が電子ジャーナルを買って学生が自由に見れるようにしているのでそこから拝借してきた。
ちなみに、化学に限らず世の中に発表する論文というのはいわゆるジャーナルという雑誌に投稿する。
漫画の出版社に自作の漫画を持ち込むのと似ている。
自分の書いた論文が認められれば掲載されるし、質が悪ければ載せてもらえない。
人気のあるジャーナルに掲載されるのは難しい。
人気のあるジャーナルに掲載されて世のたくさんに人に自分の論文を見てもらうのが我々の目的のひとつである。
しかしクソ真面目な研究発表だけでなく、世の中にはユーモアに富んだ面白い論文も存在する。
例えば、これは筆者の先生が教えてくれたのだが「There is a hole in my Bucky」(私のバッキーには穴がある)というわけのわからん論文のタイトルがあるらしい。
ふざけてんのか!!っというタイトルだが、実際に最も権威のあるアメリカ化学会に通った論文らしい。
しかし研究内容はすばらしいもので、確かに評価されるべきものである。
「Bucky(バッキー)」とはフラーレンC60(下図)のことなのだが、かごのようなフラーレンに穴をあけることに成功したという内容らしい。
でもそのタイトルはねーよ(笑)
ちなみに今日もらってきた論文は Photo-induced electron Transfer を用いた金属イオンの chemosensor に関するものである。
もちろんながら論文は全部英語です。
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現在高校二年生は有機化学に突入したあたりのようです。
筆者が明日受け持っている塾の講義でアルカンの構造や異性体について説明するために分子模型を持って行こうなどと思っていると、筆者が高校生のころ見た或る問題を思い出した。
「直鎖アルカンの沸点は炭素数に対してほぼ等差数列的に増えていくので沸点の予想ができる」というものだ。
その問題ではエタン・ブタン・ペンタンの沸点が示してあって、プロパンは大体どんな値か?みたいな問題だったと思う。
しかしメタンだけはやたらと低い、なぜならば他のアルカンが細長いのに対してまん丸な感じだから法則に乗らない、と。
なんとなく、ネットで適当に調べた沸点を並べてみた。
確かにエタンやブタン、プロパンはほぼ直線的に沸点が増加しているように見える。
しかしグラフにしてみると、対数関数のように少しなだらかになっていっているような気が・・・
面白くなってきたので炭素数1のメタンから炭素数21のヘンイコサンまでズラーっと並べてみると・・・
沸点(K)と炭素数の関係 ※クリックで拡大 |
なんと炭素数に対しかなり綺麗な曲線を描いているではないか!!
しかも、長期的に見ればメタンも曲線にちゃんと乗っているように見える。
すなわち高校のときに見た問題は線形近似的に見ていたので欠陥があったが、実際はもっと美しく複雑な関数だということだ。
この曲線がどんな近似式で表されるのか、対数近似や累乗近似をしたが微妙であった。
しかし y=√x のグラフに似ているような気がしたので、ためしに炭素数に対して沸点の二乗をプロットしてみると
沸点(K)の二乗と炭素数の関係 ※クリックで拡大 |
かなり直線に近い!!(すなわち予想と近い!)
それからもうひとつ、炭素数の平方根に対して沸点をプロットすると
沸点(K)と炭素数の平方根の関係 ※クリックで拡大 |
これも直線に近く、予想はあってそうだ。
すなわち、アルカンの沸点は炭素数の平方根にほぼ比例する。
しかしこの二つの方法で得られた近似式はどちらもちょっと誤差が大きい。
なので試しに軸を入れ替えて二次関数に近似すると
炭素数と沸点(K)の関係 ※クリックで拡大 |
おお!かなり近い!!
上の曲線の式は炭素数を求めるものであるが、沸点を求めたいときは逆関数を考えればよい。
まあ実際に求めるときはExelのゴールシーク(方程式解いてくれるツール)使うけどね。
ただし、誤差の関係でメタンの沸点が二次関数の最小値以下になってるからうまく出ないけど、それはもう目をつぶることにした!
・・・ということで、直鎖アルカンの沸点は炭素数の平方根にほぼ比例する、ということでした。
今日面白い物質(?)をネットで見つけた。
その名も「水素水」H4O
"マイナス水素イオン"が溶けていて、還元力があって飲んだら万病に効くらしい!!
( ゚Д゚)ハァ? アリエネーヨ!
↑筆者の感想。
限りなくインチキ臭い・・・というかインチキだろ!!
じゃあ仮に水H2Oに水素イオンH+が2つくっ付いたとしよう、するとおそらくオキソニウムイオンH3O+を経てH4O2+になるだろう。
しかしこれでは電荷を持っているからH4Oではない。
それにこれじゃ還元力もへったくれもないから違うのだろう。
ちなみにオキソニウムイオンH3O+は酸性溶液中に存在しますが、H4O2+は存在できません。
ではオキソニウムイオンH3O+とヒドリドイオンH-が作った塩H-[H3O+]だとしたら?
そうすれば全体として電荷はないし、還元力のあるヒドリドイオンH-もある。
しかし残念ながらこれも無理がある。
具体的にH3O+とH-を出会う場合を考えてみよう。
H3O+は酸性溶液に多く含まれ、またただの水にも水の電離によって存在している。
酸性溶液に水素化ナトリウムNaH(Na+とH-の塩)を加えてみるとしよう。
すると
H3O+ + H- → H2O + H2
塩なんてできない。
すなわちH4Oは存在できないのだ。
しかも或るH4Oの販売サイトでは、その分子モデルを平面で描いている。
「H4O」の構造?? |
有り得ない。もう悲しくなってくる。
最低でも正四面体で描いて欲しかった。
分子軌道的に考えると、こんな角度の結合は酸素には不可能である。
ちなみに"マイナス水素イオン"はおかしい。
これがH-を指すのなら「ヒドリドイオン」と言うべきだ。
というか、この世に氾濫している「マイナスイオン」という言葉自体科学用語ではない。
陰イオン、もしくはアニオンというべきだ。
正しい科学用語を使わない・理論原理を明記しないのは、逆に正しい化学からの批判をしにくくするのにも役立っていそうだ。
このようにインチキ化学はかなり身の回りに溢れている。
しかしちょっと化学の知識を持っていれば騙されないだろう。
もちろん必ずしもインチキだとは言い切れないし、今後の研究で効果が立証されるものもあるかもしれない。
しかし少なくとも疑うことはできるはずだ。
そして化学の知識が十分でない人にもっともらしいインチキ説明を付けて商売しようとする人間は、工学倫理に反していて化学者として最低である。
というか、化学じゃないから化学者ですらない。
"勉強する"というのは、"騙されないようになる"ということである。(って大学の先生が言ってた!!)
「専門でもないのにただの高校生が何で化学なんて勉強しなきゃいけないんだ!将来に何の役立たん!」って思う方は多いかと思いますが、学校での勉強は基本的に「生きるため」にある。
騙されないように知識をつけましょう。
特にダイエットや健康食品にインチキが多いです。
ゲルマニウム、活性水、ホメオパシー・・・・
自分の身は、まず自分で守らないと駄目なのです。
そして検索を進めていくと・・・
「活性水素水」と「活性水素水」は別物??
水素ラジカルH・の理論もある?
でも結局"疑似科学"??
知らんわ!!!(笑)
昨日・今日は大学のいろんな先生たちが講義毎に「ノーベル賞がノーベル賞が」と言うほど現在化け学専攻は活気付いています。
現在、少なくとも今回のノーベル賞の研究が発表されたときは、日本の化学のレベルは世界トップレベルにあるorあったと言えます。
正直そんな化学大国日本で化け学を勉強できている自分は幸せだなと思います。
しかしノーベル賞の根岸さんもテレビで言っていましたが、日本は居心地がいいがもっと留学などで世界に出ろと。
筆者も留学には興味はあるのですが、ちょっと英語に自信が・・・
ちゃんと英語勉強しよっと・・・
さて。昨晩以前掲載した雷酸の分子構造の画像を訂正しました。
というのも、どうも筆者がWinMOPACでの設定をミスっていたようで、要するに計算ミスです。。。
申し訳ございません・・・が、他にもミスをすることもあると思うので、そのときは言ってください。
しかし今回の計算ミスで面白いことに気づきました。
雷酸の"正しい"構造と"誤った"構造の計算結果を見てください。
"正しい"雷酸の構造WinMOPACで計算・描画
"誤った"雷酸の構造WinMOPACで計算・描画
要するに水素がCについているかOに付いているかです。
水素イオンが電離した雷酸イオンの構造は
-C三N+-O-
です。なので上の構造は水素イオンが炭素に帰ってきたか、酸素に帰ってきたかの違いです。
結論を言うと、水素イオンは炭素に帰ってきます。
また、珍しいことに炭素についている水素が電離しています。
なぜ雷酸イオンは炭素が水素イオンを受け入れるのでしょうか。
なぜ雷酸は本来あまり電離する例のない炭素の水素が電離するのでしょうか。
あともうひとつ気づきました。
"正しい"構造では H-C三N+-O-
"誤った"構造では -C三N+-O-H
です。この構造式を見ると、どちらもC-O-Nは直線のはずなのですが、上の構造の計算結果を見ると"誤った"構造は少し曲がっています。
なぜでしょうか。
この二点について昨晩ひたすら考え、計算し、研究しました。
するといくつか仮説がたちました。
それはできればそのうち研究レポートとしてまとめてアップしたいと思います。
で、言いたいことは、こんなしょうもない計算ミスでも考えてみれば面白い発見ができるということ。
ノーベル賞もそういうことが多いですよね。
たとえばクラウンエーテルの発見など。
これも違うものを作ろうとしていたとき偶然見つかったらしいです。
このように偶然発見することを「セレンディピティー」といいます。
今回ちょっとしたそんなのが体験できたので、いい経験になったと思います。
失敗は成功の素
皆さん有難うございます・・・
このサイトを設立して1日半しか経ってない現在でなんと27人も来てくれています!
もっと内容があって、もっと読みやすいページ作りに精進いたします。
さてさて、ホームページといえば、友達のブログに
「俺んちでケミスが泥酔して○×△□・・・・」
っとプライベートな筆者の失態が書き込まれていました。
ぐぬぬぬ・・・恥ずかしい・・・
飲みすぎは禁物、あと未成年は飲むこともダメです!
しかし、お酒を飲みながらも化学のことを考えるのがワタクシの仕事です。
お酒には"アルコール"が入っていますが、これは一体なんでしょうか。
アルコールとはR-OH (Rはアルキル基)の構造を持つ物質の総称です。
例えば
名前 | 化学式 |
メタノール | CH3OH |
エタノール | CH3CH2OH |
1-プロパノール | CH3CH2CH2OH |
エチレングリコール | HOCH2CH2OH |
グリセリン | HOCH2CH(OH)CH2OH |
等たくさんの種類があります。
お酒に入っているのはこの中のエタノールというアルコールです。
実は多くのアルコール類は毒性があり、エタノールもその1つです。
ただしエタノールの毒性は低いので少し飲んだくらいでは平気です。
しかしメタノールやエチレングリコールには強い毒性があり、少量でも飲むと失明したり中毒になったりします。
一方毒性のとても低いアルコールもあります。
例えばグリセリンは普段食べる脂肪が体内で分解されると生じますが、油物をいっぱい食べても二日酔いにはなりません。
化粧品や食品に添加しても平気です。
また1-プロパノールも毒性が低く、食品に添加されたり香料として用いられます。
等等、アルコールにも色んな種類があるので「昨晩はアルコールを飲みすぎた」と言う人が多いですが、化学的に「昨晩はエタノールを摂取しすぎた」というべきでしょう。
また、毒性の高い低いという言い方がありますが、"無毒"な食塩だってバケツ一杯食べれば死ぬだろうから、
酒にしても他のものにしても摂りすぎは厳禁。
よく「天然素材で無害!」とか「美容と健康にコレ!」みたいな商品がありますが、ホントに安全でしょうか?
っと言うように疑う必要があります。
化学を学ぶと言うことは身の回りのことを疑うことである(と先生が言ってた!)
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