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一般向け/高校生向け楽しい化け学


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化学反応式と言うものはまず中学で習います。

「化学反応式とは何ですか?」と聞かれたら、答えられますか?

たぶん化学を習っている高校一年生以上の多くの方は

「どんな物質が反応してどんな物質ができるかを表した式」

と答えられるはずです。

しかし、化学反応式が持つ"量的"な意味を理解できていない方が意外と多いのです。

また、化学反応式には"見方"によって色んな種類があるということで混乱している方も多いです。

化学反応式が自在に使えないと化学の計算問題/化学物質の変化の概念が壊滅的なものになってしまうほど、化学反応式の意味を理解することは重要なのです。

この二点について考えてみましょう。



○ 化学反応式の持つ根本的・量的な意味


簡単な例を挙げて説明します。

小学校で習う
「水素は燃えて水になる。」
ということを例に挙げます。

これを中学生レベルにして物質的に考えると
「水素は酸素と反応して水になる。」
となります。

中学では量的なものも習います。
量的に考えると、
「水素2分子は酸素1分子と反応して水2分子になる。」
となります。

この日本語をそのまま化学反応式で表すと

2H2 + O2 → 2H2O ・・・・(1)

となります。

ただし、「酸素1分子」は「1O2」ですがこの1は省略して単に「O2」と書きます。
(数学で「1x」を「x」と書くのと一緒。)


化学反応式が書けるようになると、逆に(1)式は

「水素2分子は酸素1分子と反応して水2分子になる。」

と日本語に変えることができます。

これだけできるのなら化学反応式は読み書きできます。


例えば「水素1分子と塩素1分子が反応して塩化水素2分子になる。」

と言われれば、同じように訳して

「H2 + Cl2 → 2HCl」

と書けます。


逆に

「2NO + O2 → 2NO2

と書かれていれば

「一酸化窒素2分子と酸素1分子が反応して二酸化窒素2分子になる。」

と日本語訳することができます。


また、重要なルールに「化学反応のそれぞれの分子の係数はもっとも簡単な整数比で書く」というものがあります。

例えば(1)式では

「水素2分子は酸素1分子と反応して水2分子になる。」

なので

「水素4分子は酸素2分子と反応して水4分子になる。」

とも言えます。

しかし

「4H2 + 2O2 → 4H2O」

と書くのは、両辺の係数が全て2で割れるのでダメ、と言うことです。


また化学反応式の右辺と左辺では原子の種類と個数は変わりません。
(◎ 質量保存則

その法則を使えば、両辺の原子の数が合うように係数を考え、何分子ずつ反応するかを考えることができます。


また、高校生レベルで考えると、「分子(原子・イオン)の個数の比」は「分子(原子・イオン)の物質量の比」と読み替えることができるようになるので、例えば(1)式では

「水素2molは酸素1molと反応して水2molになる。」

と読みかえることができます。


これだけできれば化学反応式の根本的な意味はほぼ理解できたと思っていいでしょう。



!注意!

化学反応式」と「熱化学方程式」は全くをもって別の概念です!

例えば

C + O2 → CO2



C + O2 = CO2 + 393.51 kJ ・・・・(*)

は非常に似ているけれども全く違うことを表しています!!

化学反応式は物質の変化を表していますが、熱化学方程式は数学的な「方程式」です。

方程式(5x+3=2yみたいなの)なので、(*)式のCやO2数字を表しています(具体的にはその物質の生成エンタルピー)。

しかし化学反応式のCやO2物質を表しているので、もちろん数字は代入できません。

「→」と「=」を絶対に間違えて書かないようにしましょう。

※ 化学反応式の中には、反応熱がわかりやすいように熱化学方程式のように○○kJと右辺に書いているものもあります。



○ 化学反応(式)の種類


化学反応は見方によって色んな種類があります。

というのも、例えば

C + O2 → CO2 ・・・・(2)

は炭素が酸素と反応して燃える反応なので、燃焼反応です。


また、

H2 + Cl2 → 2HCl ・・・・(3)

は水素と塩素が結びつく反応なので化合です。

しかし、同様に考えると(2)式も2種類の分子が結びつく反応なので化合と言えるのではないでしょうか?

答えは、その通り、です。

ではなぜ呼び方が2つもあるのでしょうか。

それは反応の「見方」が違うからです。

「化合」は、その名の通り2つ以上の物質が「合わさる・くっつく」こと、すなわち分子の反応前後での組み合わさり方に着目しています。

一方「燃焼」反応は、その名の通り「燃える」という反応での現象に着目しています。

その着目の仕方で色んな反応を分類すると、以下のようになります。

簡単な説明と例も付けます。


(1) 組み合わさり方による分類

化合
  1種類の物質が複数の物質から生成する
   例 H2 + Cl2 → 2HCl

分解
  1種類の物質が複数の物質に変化する
   例 2H2O → 2H2 + O2

複分解(あまり一般的な言葉ではない)
  2種類以上の物質が2種類以上の物質に変化する。
   例 Na2CO3 + CaCl2 → CaCO3 + 2NaCl


(2) 現象的(視覚的)な分類

燃焼
  物質が炎を出して燃える
  例 C + O2 → CO2

爆発反応
  急速な燃焼反応や、分解反応のこと
  C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O

沈殿生成反応
  溶液から沈殿が生じる反応。「」は沈殿が生じるということを表す。省略可。
 (参考;「」は気体の発生。)
  CuCl2 + 2NaOH → Cu(OH)2↓ + 2NaCl

                                    等

(3) 反応の本質による分類

酸化反応
  酸素と結びつく/水素を奪われる/電子を奪われる
  2Mg + O2 → 2MgO (マグネシウムの酸化) ・・・・(4)

還元反応
  水素と結びつく/酸素を奪われる/電子をもらう
  CuO + H2 → Cu + H2O (酸化銅の還元) ・・・・(5)

中和反応
  H+の受け渡しを伴う反応
  HCl + NaOH → NaCl + H2O
                     等


(4) その他

 分子の特定の一部分が変わる反応(置換反応等)や、分子を構成する原子の位置が変わること(転移反応等)等、他にも色んな着眼点がある。


以上のように、色々分類できる。

また上記の「燃焼でもあるし化合でもある」ように同じ反応でも着眼点によって複数の分類ができるものもある。


さらに、化学反応には"主人公"がいる。

例えば(4)式を見てもらいたい。

マグネシウムからみると酸素と化合しているので酸化反応である。

しかし酸素からみると電子をもらっているので還元反応である。

(5)式でも、酸化銅からみると還元反応であるが、水素から見ると酸化反応である。

この"主人公"の概念は反応を分類するときに重要であることと、熱化学方程式を考えるときなどにかなり重要になってくる。


※ 上記の分類の定義はその反応を取り扱う分野や状況によって変わることがあります。
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かなり多くの人が「モル」が理解できず化学に苦手意識を持ちます。

未知の言葉、「モル」。

では一体「モル」とは何なんでしょう?



コップ一杯には約10モルの水分子が入っている。



―「モル」≒「ダース」―


「モル」と「ダース」は実は非常に似ています。

ではまずダースから考えてみましょう。


「鉛筆1ダースは鉛筆何本ですか?」と聞かれたら

「12本」と簡単に答えられるでしょう。

知っての通りダースとは或る物12個の束ですね。


では鉛筆2ダースでは?

24本ですね。

これは

12本/ダース × 2ダース = 24本

という計算をしたのです。


では3.5ダースでは?

12本/ダース × 3.5ダース = 42本


では48本は何ダースですか?

48本 ÷ 12本/ダース = 4ダース

ですね。


ではここで「1ダースは12本」というのに対して「1モルは6×1023個」という新しい束の単位があるとしましょう。

まだこの段階では原子も分子も考えないでください。

ではダースのときと同じように考えてみましょう。

鉛筆1モルは何本ですか?

上で定義したとおり「6×1023本」ですね。


では2モルでは?

12 ×1023本 (=1.2×1024本)

ですね。


では24×1023本(=2.4×1024本)は何モルでしょうか?

(24×1023本) ÷ (6×1023本/モル) = 4モル

ですね。


モルというものはダースと全く同じく物の束の数をあらわす単位なのです。

ただ「ダース」という言葉が「モル」に変わって、

「12」という数字が「6×1023」に変わっただけなのです。


ではなぜ原子や分子の個数を表すとき「モル」を使うのでしょう?

まず、なぜダースという言葉を使うかというと、

「鉛筆120本を仕入れた」というと数が大きすぎてよくわからないですが、

「鉛筆10ダース仕入れた」というとわかりやすいからです。

同じように、原子や分子の個数は非常に多いので、「モル」という束で考えたほうが計算がしやすいのです。

「このコップの中には6×1024個の水分子が入っている」

と言うより

「このコップの中には10モルの水分子が入っている」

と言ったほうが格段に楽です。

このように、要するに「モル」とは「ダース」と同じで物の束の数を表すものなのです。


―モルとアボガドロ定数―


では「モル」をもう少し専門的に見ていきましょう。

先ほど述べたように、「1モル」は物質「6×1023個」のことです。

物質の量なので物質量といい単位は mol です。


1molは必ず物質6×1023個です。

「酸素分子1mol」は酸素分子が6×1023個で

「水素原子1mol」でも水素原子の数は6×1023個です。


ではこの「6×1023個」とはどこから出てきた数なんでしょうか。

この数のことをアボガドロ定数と言います。

これは質量数12の炭素12gに含まれる炭素原子の数として定義されていて、より詳しい値は

6.02214179....×1023個/molです。(単位の"個"は省略可)

です。


他にも「モル」には

「0℃1気圧の気体分子1molはその種類によらず22.4Lの体積を占める。」

という法則(アボガドロの法則)等、色々な面白い性質があります。



◎ 補足;コップの中の水分子は何モル?


冒頭に「コップ一杯には約10 molの水分子」があると述べました。

試しに本当にそうかどうか計算してみましょう。

水の密度は1 g/mLなので、コップ一杯(約200 mL)には約200 gの水が入っています。

一方水分子の分子量は18、すなわち18 gの水中に1 molの水分子が入っているので

(コップ中の水分子の物質量) = 200 g ÷ 18 g/mol ≒ 10 mol

となるわけです。

言いかえれば、コップ一杯には

6×1023 個/mol × 10 mol = 6×1024

の水分子が入っているというわけです。

コップの中には膨大な量の水分子が入っているとわかります。
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