一般向け/高校生向け楽しい化け学
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子供のころ、誰しも必ずと言っていいほど遊んだことのあるスライム。
作ったことはありますか?
授業やお楽しみ会的な催し物とかで作ったことのある人も多いでしょう。
簡単に出来るので、一度自分で作ってみましょう。
[材料]
PVA(洗濯糊/化学糊)、 ホウ砂 、水、絵の具(お好み)
これだけです。
PVA(上に"化学糊"、下に"PVA"と書いてある。)
ホウ砂(結晶)
※ 注意:ホウ砂は有毒です。
普通に触っている分には問題ないですが、傷口に触れると体内へ吸収され中毒を起こしたりするそうです。
本来は水溶液を目の消毒薬として使ったりするので、必要以上に怖がる必要はありません。
[作り方]
・ まずホウ砂の飽和水溶液を作ります。
容器(ペットボトルなど)に水を入れ、ホウ砂を溶けなくなるまで溶かします。
しばらくたっても底の沈殿が消えないくらいまで入れましょう。
・ 次にフィルムケースなどを容器にして、水1体積を入れます。
これに絵の具を加えて色を付けておくと鮮やかなスライムが出来ます。
・ 同じ大きさの別のフィルムケースにPVA1体積を入れます。
・ 同じように、別のフィルムケースにホウ砂の飽和水溶液0.8体積を入れます。
このとき沈殿が入らないようにしてください。
・ 最後にこれらをプリンの容器等で混ぜます。
→ 出来上がり!
☆ PVAとホウ砂の割合を変えると硬さの異なるスライムが出来ます。
理想の硬さを目指しましょう!
この前バイト先の塾で昔スライム作りのお楽しみ会で使った材料をもらってきました♪
・・・というかゴミを押し付けられたんですよね(^^;)
っということで上記の方法で作ってみました。
これがなかなか難しい。
好みの硬さになかなかならない。
手を離した直後は形があるんですが・・・
重力に負けてしばらくするとぺったんこ
これはこれで綺麗。
面白いから顔を付けてドラクエのスライムにしてみた。
題名;重力に負けたスライム
我ながら会心の出来・・・!?
スライムの理論
さて、遊んでばかりじゃなくて化学的にスライムを見てみましょう。
なぜPVAにホウ砂水溶液を入れると固まるのか?
まず、PVAとはポリビニルアルコール([-CH(OH)CH2-]n)の略です。
構造は以下のように、長い炭素鎖にヒドロキシ基がたくさんぶら下がっています。
PVAの構造
一方、ホウ砂はメタホウ酸ナトリウム(Na2B4O7・10H2O)です。
ちなみにメタホウ酸イオンは下の構造をしています。
メタホウ酸イオン[B4O7・2H2O]2-の構造
B-OHの部分はアルコールのR-OHと出会うとB-O-Rの無機酸エステル結合を作ります。
特に、炭素1つ飛ばしにヒドロキシ基を持つPVAは、ホウ酸イオンB(OH)4-と下式のように反応し都合良く安定な六員環構造を作ります。
ポリビニルアルコール-ホウ砂結合の構造と生成反応
(最後に示す二つ目の参考文献より。)
このようして2本のPVA鎖がホウ酸イオンによって結びつけられます。(架橋反応)
架橋される部分がたくさんあり、複数のPVA鎖同士が結びつけられるため、下図のような網目構造が形成されます。
PVAとメタホウ酸イオンから生じる網目構造
このように架橋すると分子は網のようになり、最初の分子鎖が自由でどろどろのPVAと比べると硬くなりスライムとなります。
またこの網の中に大量の水を取り込みあのひんやりぷよぷよ感が生まれます。
また無機酸エステル結合がこのほどよい硬さを保っているため、スライムに酸を加えるとこのエステル結合は分解されて元のB-OHとR-OHに戻ってどろどろになってしまいます。
なので服についたりして取れなくなった場合は酢をかけると取ることができます。
◎ 参考
- 『リー無機化学』, リー (著), 浜口 博 (翻訳), 菅野 等 (翻訳), 東京化学同人 (1982/01)
- "Morphology-reology relationship in hyaluronate/poly(vinyl alcohol)/borax polymer blends", Sook Heum Kim et al.,Polymer 46 (2005) 7156-7163
- 『Slime』, IRUKAさんのページ ←すばらしいです!!
◎ 参考品
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