一般向け/高校生向け楽しい化け学
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もうすぐ新年度に付きトップ画像を一新!!
年一回は変えるようにしようかな。
ちなみにトップ画像の分子はインジゴ(インディゴとも)。
後ろに書いてるアルファベットはインディゴの化学式や融点などの物性です。
インジゴはトップ画像の色のように青色の染料。
筆者の高校の化学の教科書には構造は載っていないが、「建て染め」の染料であると書いてある。
これだけではよくわからないので、今日はそれを説明。
今日の分子 No.43 インディゴ C16H10N2O2
Jmolで描画
藍から採れる天然の青色染料。
ジーンズの青色はこの色である。
分子の構造を見ると、単結合と二重結合が交互に長く繋がっている。
これを共役系といい、これによりインジゴは光に応答し発色している。
インジゴで染めるときは建て染めという染め方をする。
というのも、インジゴは水に不溶であるので何か工夫をしないと染物ができないからである。
建て染めとは;
①まず染料分子を還元する。
このとき生成物はある種の酸になる。
②アルカリで中和して塩にする。
こうすることにより水溶性になる。
③水溶液で繊維を染める。
④酸化して元の染料分子に戻す。
すると不溶になるので色落ちしにくい美しい染め物ができる。
ちなみに、実際はアルカリ性還元液を使うことにより①と②を同時に行っている。
この操作を「建てる」という。
インジゴの場合は次のような反応になる。
(カルボニル基の部分が反応します。)
インジゴの建て染めの反応
ちなみに最近のインジゴは人工合成品である。
また、インジゴをスルホン化したりして改良して使われることも多い。
◎ 参考
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あぁ、もうこんな時間、塾へバイトに行かないと・・・
筆者は二つの塾を掛け持ってますが、どちらの塾も中学生の私立高校入試は全員合格でした!
めでたいめでたい。
まあ、実は私立高校の入試はあまり大きな声では言えない裏システムがあるから、本人の実力だけが合格を決めるのではないのが引っかかるが・・・
ま、あんまり気にしないでおきましょう。
あまり時間がないのでさらっと更新します。
先日チラッと出てきたフェノバルビタールという分子、コイツを紹介しておきましょう。
今日の分子 No.42 フェノバルビタール C12H12N2O3
Jmolで描画
高校では出てこないマニアックな薬の分子。
「バルビツール系薬剤」とか「非バルビツール酸系」、「バルビツール酸誘導体」等の言葉はもしかしたら日常生活の中でも聞いたことがあるかもしれない。
フェノバルビタールはバルビツール酸の誘導体である。
不眠症や"てんかん"の治療薬らしい。
ようするに鎮静・麻酔剤。
バルビツール酸の誘導体や、その他似たような非バルビツール酸系の物質は中枢神経に働く麻酔薬である。
医薬品はさまざまな役立つ分子の中でもその恩恵がわかりやすい物質である。
が、医薬品にも色々「裏」があるようで、筆者の父親曰く
フェノバルビタールは「あんまり良くない」
らしい。
が、医薬品が専門でない筆者にはよくわからない。
ちなみに筆者の父親は薬屋である。
◎ 参考
・ 筆者の大学の先生の有難い講義
今日自転車でバイト先に向かっていると、ダッサイことにコケてしまった。
とっさに膝で受身を取ったので被害は小さかったが、膝は擦りむけ血まみれに・・・
そして、なんと、
この前硫酸で穴開いたから買い換えたジーンズが破れた。
かなりのショックである。
傷はほっといたら治るが、ジーンズは直らない。
バイト先に行き、塾生がケガをしたときのための救急セットを借りました。
新品でした。
生徒用なのに・・・申し訳ない・・・
オキシドールで消毒して、絆創膏を貼りました。
しかし転んでもただでは起きない筆者です(ぉ
今日はこのオキシドールの正体、過酸化水素について紹介しましょう。
今日の分子 No.41 過酸化水素 H2O2
WinMOPACで描画
水よりもわずかに粘度のある無色透明な弱酸性な液体。
過マンガン酸カリウムなどの強酸化剤には酸化されて酸素になるので酸化剤としてショボイと思われがちだが、本当は非常に強力な酸化剤であり多くの場合は酸化剤として働き水になる。
ゆえに第六類危険物酸化性液体で危険等級Ⅰ(←超危険)に指定されていて、可燃物と接触すると爆発する恐れがある。
皮膚に付くと刺激性があり劇物としても指定されている。
酸化還元反応は次の通りである。
○酸化剤として働くとき
H2O2 + 2H+ + 2e- → 2H2O
○還元剤として働くとき
H2O2 → O2 + 2H+ + 2e-
酸素の実験室的製法に過酸化水素の分解がある。
これには触媒として二酸化マンガンや酵素のカタラーゼが用いられる。
2H2O2 → 2H2O + O2
この式は実は酸化還元反応の、酸化剤として働くときと還元剤として働くときの2つの式を足し合わせたものである。
このように物質が同じ物質を酸化し、同じ物質に還元される反応を自己酸化還元反応という。
この場合など、制御に失敗すれば爆発的なものになってしまうことが多い。
またこのように単一の物質が二種類以上の物質になることを不均化反応ということもある。(逆は"均化反応")
過酸化水素は活性酸素の一物質であり、容易にヒドロキシラジカル(・OH)になるので生物に悪い。
そのため体内では過酸化水素を分解するためカタラーゼという酵素が作られ、上の式の反応を起こして体を酸化から守っているわけである。
重量パーセントで3%の過酸化水素水はオキシドールと呼ばれ消毒液として使われる。
多くの人がやんちゃな子供時代に膝をすりむいたとき使ったことがあると思います。
ちなみにオキシドールを傷口につけたとき、泡が出たという経験はないでしょうか。
これはこのときまさに体内のカタラーゼが上の分解反応を起こして生じた酸素の気泡なのです。
◎ 参考
- 『チャレンジライセンス乙種1・2・3・5・6類危険物取扱者テキスト』, 工業資格教育研究会, 実教出版; 改訂版 (2005/10)
現在午前二時過ぎ。
今日(厳密には昨日だけど)は朝から講義を受けて、午後は授業の実験をして、その後学校が施錠される午後9時まで友達とレポート&勉強でした。
帰ってきて色々やって一段落着いたらもうこんな時間。
昨日も一昨日もバイトして帰ってきたら午前1時前だったし、筆者は週の中ごろはいつも寝不足である。
しかし今日の実験は面白かったです。
高校の化学Ⅱの教科書におそらく載っている、ナイロンを作る実験でした。
ジカルボン酸ジクロリド(筆者の高校の教科書ではセバシン酸ジクロリド)の溶液(油系)とヘキサメチレンジアミンの溶液(水系)を、水と油の層が分離するようにビーカーに入れて、その境界面をピンセットで引っ張るとあら不思議、ナイロンの糸が出来る、という実験。
今日筆者はアジピン酸ジクロリドとヘキサメチレンジアミンを同じように反応させてナイロン66を、次にテレフタル酸ジクロリドとヘキサメチレンジアミンでナイロン6Tを得ました。
ムービーを撮ってしまったほどあまりにも糸を引くのが面白かったです。
そのムービーもこのサイトにもUPしたいと思います。
(サーバー的な問題で動画が直接UPできないのでYouTubeとかに投稿して見るしかないかも。とりあえず今日は時間がないです。。。)
ナイロンを作り終わるまでは良かったのです。
できた2種類のナイロンを比較するため手触りを確かめていたのですが、感触が面白くて無駄に触ったため生成物に残留していた薬品に手のひらをやられました・・・
たぶん主にダメージを与えてきたのは溶液に混ぜていた水酸化ナトリウム。
アルカリは皮膚がボロボロになります・・・
後反応性の高い有毒な酸クロリドもいくらか残っていたでしょうから、それにも手のひらをやられたかもしれません。
触りたぐっていたら手のひらから謎の黄色い汁が出てきて気づくという・・・恐ろしい・・・
まぁちょっと薬品が残ってたくらいだから特に大したことでもないのだけれども、洗浄不足と調子に乗ったことを反省。
※ 薬品は危ないので決してこんなことがないようにしましょう!!!
ついでなので、教科書の実験のところだけに出てくる得体の知れない「カルボン酸クロリド」のひとつ、酢酸クロリドについて紹介します。
今日の分子 No.40 酢酸クロリド CH3COCl
WinMOPACで計算・描画。 ※二重結合省略
別名アセチルクロリド、塩化アセチル、塩化エタノイル。
非常に反応性に富み、腐食性があり人体に有毒で、引火性もあり危険。
酢酸CH3COOHの「-OH」が「-Cl」に置き換わった分子。
一般にカルボン酸の「-OH」が「-Cl」に置き換わった物質をカルボン酸クロリドと言います。
カルボン酸と塩化チオニルSOCl2(←これも高校では出てこない)等を反応させて得る。
反応性が高く色々な反応をすることができ有用だが、危険性も高いので取り扱いには注意が必要。
ポリアミド(=ナイロン)を作るとき高校の教科書にある「ジカルボン酸とジアミンを縮合重合させて得る」のは、実際にはかなり困難である。
ポリエステルの場合も同じで、このサイトの 「ペットボトルは作れない!?[応用]」 の項に出てくるように、化学平衡があるからです。
一方、ジカルボン酸の両末端の「-OH」を「-Cl」に変えたジカルボン酸ジクロリドを用いると、反応性が高いのでとてもスムーズに縮合重合します。
n ClCO-R-COCl + n H2N-R'-NH2 → [-CO-R-CO-NH-R'-NH-]n + HCl
だから教科書の実験の反応ではこのジカルボン酸ジクロリドを用いているのです。
高校の教科書で「実は普通のジカルボン酸ではうまくいかない」ということを書くとややこしくなるので、ぼかしてこっそりジカルボン酸ジクロリドを登場させているのです。
◎ 参考
- 『ボルハルト・ショアー現代有機化学〈上〉』, K.Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore著, 野依良治監訳, 化学同人; 第4版 (2004/03)
明日からセンター試験ですね。
うちの大学も会場になっています。
試験の大敵はテンパることとプレッシャーからの腹痛。
筆者はセンターは体調は良かったのですが、国公立前期入試でテンパったようで思うように結果が出せませんでした。
さて、今日はウェブフォームに高校で先生をしていらっしゃる方から投稿がありました。
しかも気に入ってくれたようで、生徒にも勧めたと・・・
とってもありがたいと同時に凄いプレッシャー!!腹痛くなりそう!!
とりあえず頑張ります!
さて、今日は昨日の天然ゴムと対比される物質:ガタパーチャ(グッタペルカ)について紹介します。
今日の分子 No.39 trans-1,4-ポリイソプレン [-CH2C(CH3)=CH-CH2-]n
Jmolで描画 ※ピンクの部分でこの構造を繰り返します。
(関連:今日の分子No.37、38)
cis-1,4-ポリイソプレンと化学式は同じだが、繰り返し単位が繋がる-CH2-が二重結合に対して反対にあるtrans体である。
南国に生育するガタパーチャノキと呼ばれる樹木の樹液からこのイソプレン単位が100%トランス体で繋がったtrans-1,4-ポリイソプレンが得られます。
ちなみにこの樹液も「ラテックス」と呼ばれるのでややこしい。
すごくややこしいですが「ガタパーチャノキ」から得られる樹液「ラテックス」を「ガタパーチャ」(グッタペルカ)と呼ぶのです。
そしてこのガタパーチャから作られるゴム状樹脂をペルカゴム、もしくはそのままガタパーチャと言います。
ちなみにガタパーチャは「gutta-percha」と綴られるので、読み方を変えると「グッタペルカ」になり、そのゴムだから「ペルカゴム」。
ガタパーチャから作られるゴムも多くの場合ガタパーチャと呼ばれているため、以後ペルカゴムのことをガタパーチャと呼びます。
またガタパーチャも天然に得られるゴムなので「天然ゴム」に分類されそう呼ばれることもありますが、後述のように普通のゴムとはかなり違うので、
以後「天然ゴム」をcis-1,4-ポリイソプレンを主成分とする普通のゴムとします。
ガタパーチャは普通の天然ゴム(パラゴムノキの樹液から作られるパラゴム)と違い、硬くて強靭で弾性が低い。
カチカチの樹脂の様。
だからいわゆるゴムとしては使われない。
天然ゴムはイソプレン単位がシス型に繋がったcis-1,4-ポリイソプレンであるが、ガタパーチャはただそれがトランス型であるだけの違いである。
なぜトランス体になっただけでこれだけ性質が変わってしまうかというと、それは分子の形の違いにある。
シス体は分子が曲がっているが、トランス体は真っ直ぐである。
物質の硬さや融点はその分子同士の凝集力に関係する。
分子鎖がきっちり並ぶと分子間力が大きく働き分子同士は強く結びつき、硬かったり融点が高くなったりする。
分子が曲がっているシス体はきっちり並ばせることが難しく分子間力は弱い。
これは不飽和脂肪酸で構成される油脂の融点が低いことと同じ理由である。
一方トランス体は真っ直ぐなため、分子は平行にきっちり並ぶことができ、分子間力は大きく働く。
なので天然ゴムはやわらかいが、ガタパーチャは硬い。
ガタパーチャはゴムとしては使われませんが、他の用途で大活躍しています。
ゴルフボールの外皮が主な用途。
他にも、ライカ等の高級カメラのボディーに本革の代わりに使われたりするようです。
これは、グッタペルカは吸湿性が低く耐腐食性が高いからです。
また「ガタパーチャは空気中では酸化しやすいが,水中では無限の寿命をもっているため,海底電線用の絶縁体として重要であった。
しかし,現在は合成樹脂に置きかわっている。」らしいです。(出典:社団法人日本ゴム協会HP)
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