一般向け/高校生向け楽しい化け学
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エーテルの合成法に関するレポート書いてたら現在午前四時・・・
しかしレポート書いてたら気分が高揚するので眠気が吹っ飛ぶよね。
え?俺だけ・・・?
ってことでエーテルが今日の分子。
今日の分子 No.23、ジメチルエーテル CH3OCH3
Jmolで描画
ジエチルエーテルCH3CH2OCH2CH3と同じく溶媒として使われたり、燃料として使われたりする。
芳香があって水にあまり溶けない液体。
沸点、引火点、発火点が低いため加熱や火気の取り扱いには注意。
エーテルとは R-O-R' の構造を持つ有機化合物で、またこの -O- をエーテル結合という。
アルコールの構造異性体(一般式が同じ)なのは高校化学で重要。
ジメチルエーテルはメタノールCH3OHに硫酸を加えて加熱すると、メタノール二分子から水H2Oが取れてくっついて生成する。(脱水縮合)
2CH3OH → CH3OCH3 + H2O
ジエチルエーテルの合成反応と同じく、これは重要な反応である。
ジメチルエーテルやジエチルエーテルのときはこの反応がうまくいくのだが、他の場合はそうとも限らないというのが大学レベルの化学。
予想外なものができたり、やたらと副生成物ができたりしてしまうことがある。
っというのをひたすらレポートに書いてたらこんな時間・・・
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ここんとこ難しい分子ばかりだったので、また簡単な分子に話題を切り替えます。
今日の分子 No.22、アンモニア NH3
Jmolで描画
中学校の理科の実験でほとんどの人がこのアンモニアの激臭を体験したと思います。
鼻を刺すような強烈な臭気を持ち、非常に水に溶けやすい気体分子である。重要!
以下のように電離してアンモニウムイオンになり、水酸化物イオンを出すので水溶液はアルカリ性である。重要!
NH3 + H2O → NH4+ + OH-
※ アンモニア水はアルカリ性なので目に入ると角膜を溶かすので危険!
分子の形は三角錐型。重要!(詳しくは 分子のカタチ を参照)
なんとも「重要!」な分子である。
実際大学の実験でもアンモニア水をよく使うので、あの匂いを嗅ぐハメになる。
アンモニア水と、強酸との塩との混合物は緩衝溶液になるので非常に重要なのである。
アンモニアに関する高校で習う化学反応で重要なものに、例えばアンモニアの工業的製法(ハーバー・ボッシュ法)がある。
N2 + 3H2 → 2NH3
これは四酸化三鉄の触媒下で気体の窒素からアンモニアを作れるという重要な製法である。
またこれに続いて、アンモニアを白金触媒下で酸素と反応させると一酸化窒素になる。
4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O
さらに一酸化窒素は容易に酸化されて二酸化窒素になる。
2NO + O2 → 2NO2
そして二酸化窒素を水に溶かすと硝酸と一酸化窒素を生じる。
3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
このようにして硝酸を製造する方法をオストワルト法という。重要!
他にも、アンモニアは二酸化炭素と高温高圧で反応させると脱水縮合して
2NH3 + CO2 → CO(NH2)2 + H2O
となり、尿素になる。
体内の余分なたんぱく質などを排出するとき、アンモニアは人体に有害なので無害な尿素にされて排泄物(尿)として捨てられます。
昨日・一昨日とたんぱく質の話だったので、今日はそれに関連してアミノ酸を紹介します。
今日の分子 No.21、グリシン H2NCH2COOH
Jmolで描画
最も簡単なアミノ酸。
アミノ酸とは RCH(NH2)COOH の構造を持つ分子で、置換基Rによってたくさんの種類がある。
アミノ基(-NH2)を持つカルボン酸(-COOH)だからアミノ酸。
グリシン等普通のアミノ酸はカルボキシル基から数えて1つ目(α位)の炭素にアミノ基が付いているα-アミノ酸である。
アミノ酸のアミノ基と、他のアミノ酸のカルボキシル基が脱水縮合してできた分子をペプチドといい、これがさらに長くなっていったものをたんぱく質という。
このときできた結合はアミド結合 R-CO-NH2-R' であるが、アミノ酸同士のときはペプチド結合と呼ばれる。
また、RがH以外のときは不正炭素原子になるので光学異性体(D体、L体)が存在する。
しかし自然界には基本的に片方のL体だけが存在し、D体は特殊な菌などが持つ他はないという不思議な性質を持つ。
グリシンはアミノ酸の一般式 RCH(NH2)COOH のRがHで、唯一光学異性体を持たないアミノ酸である。
有名なたんぱく質のコラーゲン等に多く含まれる。
ちなみに甘いらしい。
コンビニのおにぎりの裏の表示を見ても大体入ってると書いてあります。
グリシンは調味量・保存料になり、食品添加物として使われているのです。
有機合成薬品株式会社さんの このページ にわかりやすく載っているのを見つけました。
◎ 参考
・ 有機合成薬品株式会社HP
昨日のクロロフィルで、実際に生物がもつ分子は非常に複雑であることが多いことを紹介しました。
ついでなので今日もたんぱく質でいってみましょう。
今日の分子 No.20、プリオン
Jmolで描画 ※多重結合省略
問題になった牛海綿状脳症(狂牛病、BSE)の原因物質と言われるたんぱく質。
健康な牛の体内には正常プリオンと呼ばれる普通のたんぱく質があるのだが、これが立体的に変性して異常プリオンになるという。
この異常プリオンが原因で発症するという説がプリオン説であるが、まだ確証はないらしい。
しかし上のモデルを見てもちっとも構造がわからない。
たんぱく質を構成しているのは種々のアミノ酸であるが、議論したいのはたんぱく質の立体的な形である。
筆者が使っている分子描画ソフトJmolにはこんな機能がある。
Jmolで描画
これは上と同じプリオンである。
ぱっと見劇的に変わったが、これはたんぱく質の立体的な構造のみに着目した表示方法なのである。
ピンク色のクルクル巻いたような構造を「α-ヘリックス構造」、黄色のシート状の構造を「β-シート構造」といい、またこれらの立体的構造を「二次構造」という。
構成するアミノ酸の水素結合の仕方によって立体的な形が決まり、このような構造になる。
ちなみにα-ヘリックスもβ-シートも二次構造も高校の化学Ⅱに出てくるので何気に重要。
もう一つわかっていなければならないことは、たんぱく質はあまり強くない水素結合により立体的に形作られた脆い分子であること。
だから熱をかけたり重金属イオンが入ってくると構造が壊れてしまう。
たんぱく質は立体構造が崩れると機能を果たさなくなり、狂牛病や重金属障害などの症状を起こす。
◎ 参考
昨日太陽の話でクロロフィルの部分構造を示しました。
今日はそれをもう少し深く紹介しましょう。
今日の分子 No.19、クロロフィル
Jmolで描画, クリックで拡大 ※水素原子・多重結合省略
植物の葉の葉緑体に含まれている緑色の色素で葉緑素とも言う。
これに光が当たると光合成の反応を起こしてくれる。
毎日のように緑の葉っぱを見ているだろうがまさにこの分子の色であり、また我々は光合成の恩恵で
お米も食べれているわけなので、非常に身近な分子といえよう。
しかし・・・上の分子モデルを見ても全くわけがわからない!
というのも、クロロフィルは本来光合成を起こす部分と複雑なたんぱく質がくっついたもので、非常にややこしい大分子なのだ。
上のモデルを見ると緑色(マグネシウム)原子が青色(窒素)原子に囲まれた部分がある。
この部分を拡大すると下のような分子(クロロフィルa)になり、この部分が直接光合成に関係している。
この分子は単結合と二重結合が交互に長くつながっている構造(共役π電子系)を持っている。
アゾ染料もそうであるが、実は単結合と二重結合が交互に長くつながっている構造を持つ分子は色が付いていることが多い。
そして「色がある=光を吸収している」ので、そのような分子は光が当たると吸収したその光エネルギーを使って面白い反応を起こしたりする。
クロロフィルの場合は吸収した光エネルギーを使って
6CO2 + 6H2O → C6H12O6 + 6O2
の反応、すなわち光合成を行ってくれる。
筆者はこのような単結合と二重結合が交互に長くつながっているような分子に光を当てて光エネルギーを変換するという研究分野にとても興味がある。
◎ 参考
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